◎　総法号による念願の仕方を、御宝前（御仏前）で念願できる場合と外出時の場合との二つに分けて説明します。

　【ご注意】
　1、総法号による念願は毎日朝晩行います。御宝前で読経できる場合は「念願の仕方（１）｣を、外出時で読経できない場合は、（２）のように読み上げます。
　2、総法号は「試してみよう」のページと「総法号による念願の仕方」（このページ）を参照して、実践してくださるようお願いいたします。また、あなたのお名前、年令等で言い換えて下さい。また総法号は、個人の状態に応じて、より適切に具体的になるように変えてください。
　3、読み上げる総法号がいくつもある時は「…に関交する悪業障因縁一切の諸精霊」並びに「…に関交する悪業障因縁一切の諸精霊」並びに…、 というように続けて読み上げるようにします。不明な点は、メールでお問い合わせ下さい。

　　１、念願の仕方(御宝前での場合)　　２、念願の仕方(外出時の場合)

（右の総法号の見本を使って、実際に読経してみましょう。佛説観普賢菩薩行法経、無量義経、妙法蓮華経提婆達多品第十二、如来神力品第二十一、觀世音菩薩普門品第二十五を順に読誦します。）

　【大乗方等経典】(要結)

　南無先祖養道なむせんそぎょうようどう（三唱）
　　帰　依　文きえもん
　我われ今大乗方等経典甚深いまだいじょうほうとうきょうてんじんじんの妙義みょうぎに依よって、
　佛ほとけに南無なむし。
　法ほうに南無し。
　大士だいじに南無したてまつる。（三返）
　南無先祖養道(数十百返唱え、ここで先ず我が身心を浄きよめしずめる)

　　懴 悔 勧 請 文さんげかんじょうもん（要結品 P2〜P4を読誦します。）
　南無東方善�ｺ佛なむとうほうぜんとくぶつ
　三世さんぜの諸佛しょぶつの守護しゅごしたまふ所ところなり。衆魔群道得入しゅうまぐんどうとくにゅうす
ること、有あること無なし。一切いっさいの邪見生死じゃけんしょうじに壊敗えはいせら
れず。
　南無先祖養道なむせんそぎょうようどう（一唱）
　南無大御父久遠實成なむおおみちちくおんじつじょう釈迦牟尼世尊しゃかむにせーそん
　南無大御母天照なむおおみははあまてらします大御神おおみかみ
　南無末法救済なむまっぽうきゅうさい大導師凡有所見だいどうしぼんぬしょけん大慈悲深義だいじひしんぎ常不軽無學大士じょうふぎょうむがくだいじ
　南無先祖養道なむせんそぎょうようどう（一唱）
　南無大御本営なむだいごほんえい御本尊本化ごほんそんほんげ淨行大菩薩じょうぎょうだいぼさつ
　南無當分営なむとうぶんえい御本尊並ごほんそんならびに當家御本尊とうけごほんそん
　南無末世行法なむまっせぎょうほう大導師だいどうし観普賢院かんふげんいん常不軽じょうふぎょう録學大士ろくがくだいじ
　南無世界なむせかい各聖賢宗祖大士かくせいけんしゅうそだいじ並ならびに先師先�ｺ諸精霊せんしせんとくしょしょうれい
　南無諸大菩薩なむしょだいぼさつ諸天善神しょてんぜんじん
　南無先祖養道なむせんそぎょうようどう（一唱）
　我われの心得違こころえちがひ、思ひ違ひ等おもいちがいとうは赦し給ゆる　たまへ。知しらず識しら
ずに犯おかしたる罪咎つみとがは、霜露そうろの如ごとく作なさ令しめ給たまへ。
諸佛諸天しょぶつしょてん。来臨擁護らいりんおうごなさしめ給たまへ。南無先祖養道なむせんそぎょうようどう(一唱)

　　懴 悔 回 向 唱さんげかいこうしょう（P5〜P7）
　先祖代々せんぞだいだい過去帳一切かこちょういっさいの精霊しょうれい。今日命日こんにちめいにちに當あたる精霊しょうれい。
　志こころざす所ところの精霊しょうれい。(並ならびに、
　倉田 修一当とう七十才所有の大和市○○の○の○の家屋に巣食うシロアリに関交かんこうする悪業障あくごうしょう因縁一切いんねんいっさいの諸精霊しょしょうれい、
並ならびに、)
　十方法界じゅっぽうほうかい一切諸佛之いっさいしょぶつの諸精霊しょしょうれい。本日所ほんじつしょ
縁一切之えんいっさいの諸精霊しょしょうれい。家内一同かないいちどうの者もの。心得違こころえちがひ思ひ違おもいちがひ
不知不識しらずしらずに犯おかしたる罪咎つみとがを赦ゆるし給たまへ。我われの力ちからにあら
ず。末法救済大導師まっぽうきゅうさいだいどうし凡有所見ぼんぬしょけん常不軽じょうふぎょう無学大士むがくだいじ、御大おんだい
慈悲深義並じひしんぎならびに諸佛諸天しょぶつしょてんの功�ｺくどくを以もって、大御寶號並だいごほうごうならびに
大乗方等経典だいじようほうとうきょうてんを読誦どくじゅし奉たてまつる。是この因縁功�ｺ力いんねんくどくりきを以もって
の故ゆえに。
　一には、久遠本佛くおんほんぶつ　我身如來がしんにょらいを信行しんぎょうし、
　二には、父母孝養ふぼこうよう　師長恭敬しちょうくぎょうを信行しんぎょうし、
　三には、東方善�ｺとうほうぜんとく　淨妙國土じょうみょうこくどを信行しんぎょうし、
　四には、十方世界じゅっぽうせかい　皆和養かいわぎょうようを信行しんぎょうし、
　五には、因果一實いんがいちじつ　知佛不滅ちぶつふめつを信行しんぎょうするの心こころを起おこ（P7-8）
さ令しめ給たまへ。
南無先祖養道なむせんそぎょうようどう（ここに於おいて、末法萬年まっぽうまんねんの闇やみをおん照てらしたもう大御寶號だいごほうごう
南無先祖養道なむせんそぎょうようどうを数十百千萬返すうじゅうひゃくせんまんべんおん唱となえ奉たてまつり、久遠劫来くおんこうらい、謗法ぼうほう、
五逆ごぎゃく、十悪等じゅうあくとうの諸罪しょざいを至心懴悔ししんさんげたてまつる。）

　佛説観普賢菩薩ぶっせつかんふげんぼさつ行法経ぎょうほうきょう（要結）
是かくの如ごときを我聞われききき。一時いちじ、佛ほとけ、舍離國びしゃりこく・大林精だいりんしょう
舍・重閣講堂じゃじゅうかくこうどうに在ましまして、諸もろもろの比丘びくに告つげたまはく、
却さって後三月のちさんがつあって、我當われまさに般涅槃はつねはんすべし。尊者阿そんじゃあ
難、即なんすなわち座ざより起たって衣服えぶくを整ととのえ、手てを叉あざへ合掌がっしょうし
て、佛ほとけを遶めぐること三さんそうして、佛ほとけの爲ために禮らいを作なし、胡こ
（P9-10）
跪きし合掌がっしょうして、諦あきらかに如來にょらいを観みたてまつりて目暫めしばらく
も捨すてず。長老摩訶迦葉ちょうろうまかかしょう・彌勒菩薩摩訶薩みろくぼさつまかさつも亦座またざよ
り起たって、合掌がっしょうし禮らいを作なして尊顔そんげんを瞻仰せんごうしたてまつ
る。時ときに三大士さんだいじ、異口同音いくどうおんにして佛ほとけに白もうして言もうさく、
世尊せそん、如来にょらいの滅後めつごに云何いかにしてか衆生しゅじょう、菩薩ぼさつの心こころを起おこ
し、大乗方等経典だいじょうほうとうきょうてんを修行しゅぎょうし、正念しょうねんに一實いちじつの境界きょうがいを思し
惟ゆいせん。云何いかにしてか無上菩提むじょうぼだいの心こころを失うしなわざらん。云いか
何にしてか復當またまさに煩悩ぼんのうを断だんぜず五欲ごよくを離はなれずして、諸しょ
根こんを浄きよめ諸罪しょざいを滅除めつじょすることを得え、父母所生ぶもしょしょうの清浄しょうじょう
の常つねの眼まなこ、五欲ごよくを断だんぜずして而しかも能よく諸もろもろの障外しょうげの事じ
を見みることを得うべき。
佛ほとけ、阿難あなんに告つげたまはく、諦あきらかに聴きけ、諦あきらかに聴きけ、
善よく之これを思念しねんせよ。如來昔にょらいむかし、耆闍崛山及ぎしゃくせんおよび餘よの住處じゅうしょ
に於おいて、已すでに廣ひろく一實いちじつの道どうを分別ふんべつせしかども、今此いまこ
（P11-12）
の處ところに於おいて、未來世みらいせの諸もろもろの衆生等しゅじょうとうの大乗無上だいじょうむじょうの法ほうを
行ぎょうぜんと欲ほっせん者もの、普賢ふげんの行ぎょうを學がくし普賢の行を行ぎょうぜ
んと欲せん者の爲ために、我今當われいままさに其その所念しょねんの法ほうを説とく
べし。若もしは普賢ふげんを見み、及および見ざる者の罪数ざいしゅを除却じょきゃく
せんこと、今汝等いまなんだちが爲ために當まさに廣ひろく分別ふんべつすべし。阿難あなん、
普賢菩薩ふげんぼさつは乃すなわち東方とうほうの淨妙國土じょうみょうこくどに生しょうぜり。其その國土こくど
の相そうは雑華経ざっけきょうの中なかに已すでに廣ひろく分別ふんべつせり。我今此われいまこの経きょう
に於おいて略りゃくして解説げせつせん。阿難あなん、若もし比丘びく・比丘尼びくに・
優婆塞うばそく・優婆夷うばい・天龍八部てんりゅうはちぶ・一切衆生いっさいしゅじょうの大乗だいじょうを誦じゅせ
ん者もの、大乗を修しゅせん者、大乗の意こころを發ほっせん者、普賢ふげん
菩薩ぼさつの色身しきしんを見みんと楽ねがはん者もの、多寶佛たほうぶつの塔とうを見みたて
まつらんと樂ねがはん者もの、釈迦牟尼佛及しゃかむにぶつおよび分身ぶんじんの諸佛しょぶつを
見みたてまつらんと樂ねがはん者もの、六根清浄ろっこんしょうじょうを得えんと樂ねがは
ん者ものは當まさに是この観かんを學がくすべし、此この観かんの功�ｺくどくは諸もろもろの
（P13-14）
障礙しょうげを除のぞいて上妙じょうみょうの色しきを見みる。三昧さんまいに入いらざれども
但誦持ただじゅじするが故ゆえに、心こころを専もっぱらにして修習しゅしゅうし、心心相しんじんあい
次ついで大乗だいじょうを離はなれざること、一日いちにちより三七日さんしちにちに至いたれ
ば普賢ふげんを見みることを得う。重おもき障さわりある者ものは、七七日しちしちにちの
後のち、然しかして後のちに見みることを得え、復重またおもきことある者は
一生いっしょうに見ることを得え、復重またおもきことある者ものは二生にしょうに見み
ることを得え、復重またおもきことある者ものは三生さんしょうに見みることを
得う。是かくの如ごとく種種しゅじゅに業報不同ごうほうふどうなり、是この故ゆえに異説いせつす。
南無先祖養道なむせんそぎょうようどう
是この願がんを作なし已おわって、晝夜六時ちゅうやろくじに十方じゅっぽうの佛ほとけを禮らいし懴さん
悔げの法ほうを行ぎょうじ、大乗経だいじょうきょうを読よみ大乗経を誦じゅし、大乗の
義ぎを思おもい大乗だいじょうの事じを念ねんじ、大乗を持たもつ者ものを恭敬くぎょうしぎょう
養ようし、一切いっさいの人ひとを視みること猶なほ佛ほとけの想おもいの如ごとくし、諸もろもろ
の衆生しゅじょうに於おいて父母ぶもの想おもいの如ごとくせよ。是この念ねんを作なし已おわ
（P15-16）
りなば、普賢菩薩即ふげんぼさつすなわち眉間みけんより大人相白毫だいにんそうびゃくごうの光明こうみょうを
放はなたん。
南無先祖養道なむせんそぎょうようどう
是かくの如ごとく懴悔さんげすること、一日いちにちより三七日さんしちにちに至いたらん。
諸佛現前三昧しょぶつげんぜんさんまいの力ちからを以もっての故ゆえに、普賢菩薩ふげんぼさつの説法荘せっぽうしょう
嚴ごんの故ゆえに、耳漸漸みみぜんぜんに障外しょうげの聲こえを聞きき、眼漸漸まなこぜんぜんに障外しょうげ
の事じを見み、鼻漸漸はなぜんぜんに障外しょうげの香かを聞かがん。廣ひろく説とくこ
と妙法華経みょうほけきょうの如ごとし。是この六根清浄ろっこんしょうじょうを得已えおわって、身心しんじん
歓喜かんぎして諸もろもろの悪想あくそうなけん。心こころを是この法ほうに純もっぱらにして
法ほうと相應そうおうせん。復更またさらに百千萬億ひゃくせんまんのくの施陀羅尼せんだらにを得え、復また
更さらに廣ひろく百千萬億無量ひゃくせんまんのくむりょうの諸佛しょぶつを見みたてまつらん。是こ
の諸もろもろの世尊各右せそんおのおのみぎの手みてを申のべて、行者ぎょうしゃの頭こうべを摩なでて、
是この言みことを作なしたまはん、善哉善哉ぜんざいぜんざい、大乗だいじょうを行ぎょうずる者もの、
大荘嚴だいしょうごんの心こころを發おこせる者もの、大乗だいじょうを念ねんずる者なり。我等われら
（P17-18）
昔日菩提心むかしぼだいしんを發おこせし時とき、皆亦是みなまたかくの如ごとし。汝慇懃なんじおんごんにし
て失うしなはざれ。我等先世われらせんぜに大乗だいじょうを行ぎょうぜしが故ゆえに、今清いましょう
淨正遍知じょうしょうへんちの身みと成なれり。汝今亦當なんじいままたまさに勤修ごんしゅして懈おこたらざ
るべし。此この大乗経典だいじょうきょうでんは諸佛しょぶつの寶藏ほうぞうなり。十方三世じゅっぽうさんぜ
の諸佛しょぶつの眼目げんもくなり。三世さんぜの諸もろもろの如来にょらいを出生しゅっしょうする種たねな
り。此この経きょうを持たもつ者ものは即すなわち佛身ぶっしんを持たもち、即すなわち佛事ぶつじを
行ぎょうずるなり。當まさに知しるべし、是この人ひとは即すなわち是これ諸佛しょぶつ
の所使しょしなり。諸佛世尊しょぶつせそんの衣ころもに覆おおはれ、諸佛如來しょぶつにょらいの真しん
實じつの法ほうの子みこなり。汝大乗なんじだいじょうを行ぎょうじて法種ほっしゅを断たたざれ。
汝今諦なんじいまあきらかに東方とうほうの諸佛しょぶつを観かんじたてまつれ。
南無先祖養道なむせんそぎょうようどう
時ときに諸もろもろの菩薩ぼさつ、異口同音いくどうおんに行者ぎょうしゃをして六根ろっこんを清浄しょうじょうな
らしめん。
或あるいは説言せつごんあらん、汝當なんじまさに佛ほとけを念ねんずべし。或あるいは説言せつごんあ
（P19-20）
らん、汝當なんじまさに法ほうを念ねんずべし。或あるいは説言せつごんあらん、汝當なんじまさ
に僧そうを念ねんずべし。或あるいは説言せつごんあらん、汝當なんじまさに戒かいを念ず
べし。或あるいは説言せつごんあらん、汝當なんじまさに施せを念ねんずべし。或あるいは
説言せつごんあらん、汝當なんじまさに天てんを念ねんずべし。此かくの如ごとき六法ろっぽうは
是これ菩提心ぼだいしんなり、菩薩ぼさつを生しょうずる法ほうなり。汝今應當なんじいままさに
諸佛しょぶつの前みまえに於おいて、先さきの罪つみを發露ほつろし至誠しじょうに懴悔さんげすべし。
南無先祖養道なむせんそぎょうようどう
身みとは殺・盗・婬、心せつとういんこころとは諸もろもろの不善ふぜんを念ねんずる、十悪業じゅうあくごう
及および五無間ごむけんを造つくること、猶なほ猿猴おんこうの如ごとく、亦黐膠またちきょうの
如ごとく、處處しょしょに貪著とんぢゃくして遍あまねく一切六情根いっさいろくじょうこんの中なかに至いたる。
此この六根ろっこんの業、枝・條・華・葉悉ごう し じょう け よう ことごとく三界さんがい・二十五有にじゅうごう
・一切いっさいの生處しょうしょに満みてり。亦能またよく無明・老・死・十二むみょうろうしじゅうに
の苦事くじを増長ぞうちょうす。八邪・八難中はちじゃはちなんなかに経へざることなし。
汝今應當なんじいままさに是かくの如ごとき悪不善あくふぜんの業ごうを懴悔さんげすべし。爾その
（P21-22）
時ときに行者此ぎょうしゃこの語ことばを聞きき已おわって、空中くうちゅうの聲こえに問といたて
まつる、我今何われいまいずれの處ところにしてか懴悔さんげの法ほうを行ぎょうぜんと。
時ときに空中くうちゅうの聲即こえすなわち是この語ことばを説とかん、釈迦牟尼佛しゃかむにぶつをび
盧遮那遍一切處るしゃなへんいっさいしょと名なづけたてまつる。其その佛ほとけの住處じゅうしょを
常寂光じょうじゃっこうと名なづく。常波羅蜜じょうはらみつに摂成しょうじょうせられたる處、我波ところ がは
羅蜜らみつに安立あんりゅうせられたる處、浄波羅蜜ところ じょうはらみつの有相うそうを滅めつせる
處、楽波羅蜜ところ らくはらみつの身心しんじんの相そうに住じゅうせざる處、有無ところ　うむの諸法しょほう
の相そうを見みざる處、如寂解脱・乃至般若波羅蜜ところ にょじゃくげだつ ないしはんにゃはらみつなり。
是この色常住しきじょうじゅうの法ほうなるが故ゆえに。是かくの如ごとく應當まさに十方じゅっぽうの
佛ほとけを観かんじたてまつるべし。
時ときに十方じゅっぽうの佛、各右ほとけおのおのみぎの手みてを申のべて行者ぎょうしゃの頭こうべを摩なでて、
是かくの如ごとき言ことばを作なしたまはん、善哉善哉ぜんざいぜんざい、善男子、汝ぜんなんしなんじ
今大乗経いまだいじょうきょうを読誦どくじゅするが故ゆえに、十方じゅっぽうの諸佛懴悔しょぶつさんげの法ほうを
説ときたもう。菩薩ぼさつの所行しょぎょうは結使けっしを断だんぜず使海しかいに住じゅうせ
（P23-24）
ず。心こころを観かんずるに心こころなし、顛倒てんどうの想おもいより起おこる。此かくの
如ごとき相そうの心こころは妄想もうぞうより起おこる。空中くうちゅうの風かぜの依止えしする處ところ
なきが如ごとし。是の如ごとき法相ほっそうは生しょうぜず没もっせず。何者なにものか
是これ罪つみ、何者なにものか是これ福ふく、我わが心自こころおのずから空くうなれば罪・福ざい ふく
も主しゅなし。一切いっさいの法ほうは是かくの如ごとく住じゅうなく壌えなし。是かくの
如ごとき懴悔さんげは心こころを観かんずるに心こころなし。法ほうも法ほうの中なかに住じゅうせ
ず。諸法しょほうは解脱げだつなり、滅諦めったいなり、寂静じゃくじょうなり。是かくの如ごと
き相そうをば大懴悔だいさんげと名なづけ、大荘嚴懴悔だいしょうごんさんげと名なづけ、無罪相むざいそう
懴悔さんげと名なづけ、破壊心識はえしんしきと名なづく。此この懴悔さんげを行ぎょうずる者もの
は、身心清浄しんじんしょうじょうにして法ほうの中なかに住じゅうせざること、猶なほ流る
水すいの如ごとし。念念ねんねんの中なかに普賢菩薩及ふげんぼさつおよび十方じゅっぽうの佛ほとけを見た
てまつることを得えん。時ときに諸もろもろの世尊せそん、大悲光明だいひこうみょうを以もっ
て行者ぎょうしゃの爲ために無相むそうの法ほうを説ときたもう。行者、第一義ぎょうしゃだいいちぎ
空くうを説ときたもうを聞ききたてまつらん。行者聞ぎょうしゃきき已おわっ
（P25-26）
て心驚怖こころきょうふせず。時ときに應おうじて即すなわち菩薩ぼさつの正位しょういに入いらん。
佛、阿難ほとけ あなんに告げたまはく、是かくの如ごとく行ぎょうずるをば名なづけ
て懴悔さんげとす。此この懴悔さんげとは十方じゅっぽうの諸佛・諸大菩薩の
所行の懴悔さんげの法ほうなり。佛、阿難ほとけ あなんに告つげたまはく、佛ほとけ
の滅度めつどの後、佛のち ほとけの諸もろもろの弟子、若でし もし悪不善業あくふぜんごうを懴悔さんげす
ることあらば、但當ただまさに大乗経典だいじょうきょうでんを読誦どくじゅすべし。此この
方等経ほうとうきょうは是これ諸佛しょぶつの眼まなこなり。諸佛しょぶつは是これに因よって五
眼げんを具ぐすることを得えたまへり。佛ほとけの三種さんじゅの身みは方等ほうとう
より生しょうず。是これ大法印だいほういんなり、涅槃海ねはんかいを印いんす。此かくの如ごと
き海中かいちゅうより能よく三種さんじゅの佛ほとけの清浄しょうじょうの身みを生しょうず。此この三
種じゅの身みは人・天にん でんの福田・應供ふくでん おうぐの中なかの最さいなり。其それ大乗だいじょう
方等経典ほうとうきょうてんを誦読じゅどくすることあらば、當まさに知しるべし、此こ
の人ひとは佛ほとけの功�ｺくどくを具ぐし、諸悪永しょあくながく滅めっして佛慧ぶってより生しょう
ずるなり。爾その時ときに世尊、而せそん しかも偈げを説といて言のたまはく
（P27-28）
若もし眼根げんこんの悪あくあって　業障ごうしょうの眼不浄まなこふじょうならば　但當ただまさに
大乗だいじょうを誦じゅし　第一義だいいちぎを思念しねんすべし　是これを眼まなこを懴悔さんげ
して　諸もろもろの不善業ふぜんごうを盡つくすと名なづく　耳根にこんは亂聲らんしょうを聞き
いて　和合わごうの義ぎを壊亂えらんす　是これに由よって狂心おうしんを起おこす
こと　猶なほ癡おろかなる猿猴おんこうの如ごとし　但當ただまさに大乗だいじょうを誦じゅし　
法ほうの空無相くうむそうを観かんずべし　永ながく一切いっさいの悪あくを盡つくして
天耳をもって十方じゅっぽうを聞きかん　鼻根びこんは諸香しょこうに著じゃくして
染ぜんに隨したがって諸もろもろの觸そくを起おこす　此かくの如ごとき狂惑おうわくの鼻はな　染ぜんに
隨したがって諸塵しょじんを生しょうず　若もし大乗経だいじょうきょうを誦じゅし　法ほうの如實際にょじっさい
を観かんぜば　永ながく諸もろもろの悪業あくごうを離はなれて　後世ごせに復生またしょうぜじ
舌根ぜっこんは五種ごしゅの　悪口あっくの不善業ふぜんごうを起おこす　若もし自みずから調順ちょうじゅん
せんと欲ほっせば　勤つとめて慈悲じひを修しゅし　法ほうの眞寂しんじゃくの義ぎを
思おもふて　諸もろもろの分別ふんべつの想おもいなかるべし　心根しんこんは猿猴おんこうの如ごと
くにして　暫しばらくも停とどまる時ときあることなし　若もし折伏しゃくぶく
（P29-30）
せんと欲ほっせば　當まさに勤つとめて大乗だいじょうを誦じゅし　佛ほとけの大覺身だいかくしん
力・無畏りき　むいの所成しょじょうを念ねんじたてまつるべし　身みは爲これ機き
關かんの主しゅ　塵ちりの風かぜに隨したがって轉てんずるが如ごとし　六賊中ろくぞくなかに遊ゆ
戯けして　自在じざいにして礙さわりなし　若もし此この悪あくを滅めっして
永ながく諸もろもろの塵労じんろうを離はなれ　常つねに涅槃ねはんの城しろに處しょし　安楽あんらくに
して心憺怕こころたんぱくならんと欲ほっせば　當まさに大乗経だいじょうきょうを誦じゅして
諸もろもろの菩薩ぼさつの母ははを念ねんずベし　無量むりょうの勝方便しょうほうべんは　實相じっそうを
思おもふに從よって得う　此かくの如ごとき等らの六法ろくほうを　名なづけて六情ろくじょう
根こんとす　一切いっさいの業障海ごうしょうかいは　皆妄想みなもうぞうより生しょうず　若もし懴さん
悔げせんと欲ほっせば　端坐たんざして實相じっそうを思おもへ　衆罪しゅざいは霜露そうろ
の如ごとし　慧日能えにちよく消除しょうじょす　是この故ゆえに至心ししんに　六情根ろくじょうこん
を懴悔さんげすべし
是この偈げを説とき已おわって、佛、阿難ほとけ あなんに告つげたまはく、汝なんじ
今是いまこの六根ろっこんを懴悔さんげし、普賢菩薩ふげんぼさつを観かんずる法ほうを持たもって、
（P31-32）
普あまねく十方じゅっぽうの諸天・世人しょてん せにんの爲ために廣ひろく分別ふんべつして説とけ。佛ほとけ
の滅度めつどの後、佛のち ほとけの諸もろもろの弟子、若でし　もし方等経典ほうとうきょうてんを受持じゅじし
読誦どくじゅし解説げせつすることあらば、静處じょうしょの若もしは塚間、若ちょけん も
しは樹下・阿練若處じゅげ あれんにゃしょに於おいて、方等ほうとうを読誦どくじゅし大乗だいじょうの義ぎ
を思おもふべし。念力強ねんりきつよきが故ゆえに我わが身及みおよび多寶佛塔たほうぶっとう・
十方分身じゅっぽうふんじんの無量むりょうの諸佛・普賢菩薩・文殊師利菩薩しょぶつ ふげんぼさつ もんじゅしりぼさつ・
藥王菩薩・藥上菩薩やくおうぼさつ やくじょうぼさつを見みたてまつることを得えん。法ほうを
恭敬くぎょうするが故ゆえに、諸もろもろの妙華みょうけを持もって空中くうちゅうに住立じゅうりゅうして、
行持法ぎょうじほうの者ものを讃歎さんだんし恭敬くぎょうせん。但大乗方等経ただだいじょうほうとうきょうを誦じゅす
るが故ゆえに、諸佛・菩薩昼夜しょぶつぼさつちゅうやに是この持法じほうの者ものを養ぎょうようし
たまはん。
佛、阿難ほとけ あなんに告つげたまはく、我賢劫われけんこうの諸もろもろの菩薩及ぼさつおよび十じゅっ
方ぽうの佛ほとけと、大乗真だいじょうしんの實義じつぎを思おもふに因よるが故ゆえに、百萬ひゃくまん
億阿僧祇劫のくあそうぎこうの生死しょうじの罪つみを除却じょきゃくしき。此この勝妙しょうみょうの懴悔さんげ
（P33-34）
の法ほうに因よるが故ゆえに、今十方いまじゅっぽうに於おいて各佛おのおのほとけとなることを
得えたり。若もし疾とく阿耨多羅三藐三菩提あのくたらさんみゃくさんぼだいを成じょうぜんと欲ほっ
せん者もの、若もし現身げんしんに十方じゅっぽうの佛及ほとけおよび普賢菩薩ふげんぼさつを見みんと
欲ほっせば、當まさに淨きよく澡浴そうよくして淨潔じょうけつの衣ころもを著、衆き もろもろの名香みょうこう
を焼たき、空閑くうげんの處ところに在あるべし。應當まさに大乗経典だいじょうきょうでんを誦じゅ
読どくし大乗だいじょうの義ぎを思おもふべし。佛、阿難ほとけ あなんに告つげたまはく、
若もし衆生しゅじょうあって普賢菩薩ふげんぼさつを観かんぜんと欲ほっせん者ものは、當まさ
に是この観かんを作なすべし。是この観かんを作なす者是ものこれを正観しょうかんと
名なづく。若もし他観たかんする者もの、是これを邪観じゃかんと名なづく。佛ほとけの滅めつ
度どの後、佛のち ほとけの諸もろもろの弟子、佛でし ほとけの語みことに隨順ずいじゅんして懴悔さんげを行ぎょう
ぜん者ものは、當まさに知しるべし、是この人ひとは普賢ふげんの行ぎょうを行ぎょうず
るなり。普賢ふげんの行ぎょうを行ぎょうぜん者ものは悪相及あくそうおよび悪業報あくごうほうを見み
じ。其それ衆生しゅじょうあって、晝夜六時ちゅうやろくじに十方じゅっぽうの佛ほとけを禮らいした
てまつり、大乗経だいじょうきょうを誦じゅし、第一義甚深だいいちぎじんじんの空法くうほうを思おもは
（P35-36）
ば、一弾指いちだんじの頃あいだに百萬億阿僧祇劫ひゃくまんのくあそうぎこうの生死しょうじの罪つみを除じょ
却きゃくせん。此この行ぎょうを行ぎょうずる者ものは眞しんに是これ佛子ぶっしなり。諸しょ
佛ぶつより生しょうず。十方じゅっぽうの諸佛及しょぶつおよび諸もろもろの菩薩、其ぼさつ　その和上わじょうと
なりたまはん。是これを菩薩戒ぼさつかいを具足ぐそくせる者ものと名なづく。
羯磨かつまを須もちひずして自然じねんに成就じょうじゅし、一切人・天いっさいにん でんの養ぎょうよう
を受うくべし。
南無先祖養道なむせんそぎょうようどう
若もし優婆塞、諸うばそくもろもろの威儀いぎを犯おかし不善ふぜんの事じを作なさん。不
善の事じを作なすとは、所謂佛法いわゆるぶっぽうの過悪かあくを説とき、四衆ししゅの
所犯しょぼんの悪事あくじを論説ろんぜつし、偸盗・婬ちゅうとう いんいつにして漸愧ざんぎあるこ
となきなり。若もし懴悔さんげして諸罪しょざいを滅めっせんと欲ほっせば、
當まさに勤つとめて方等経典ほうとうきょうてんを読誦どくじゅし第一義だいいちぎを思おもうべし。若も
し王者・大臣・婆羅門・居士・長者・宰官おうしゃ だいじん ばらもん こじ ちょうじゃ さいかん、是この諸しょ
人等貪求にんらどんぐして厭あくことなく、五逆罪ごぎゃくざいを作つくり、方等経ほうとうきょう
（P37-38）
を謗ほうし、十悪業じゅうあくごうを具ぐせらん。是この大悪報、悪道だいあくほう あくどうに堕お
つべきこと暴雨ぼううにも過すぎん。必定ひつじょうして當まさに阿鼻地獄あびじごく
に堕おつべし。若もし此この業障ごうしょうを滅除めつじょせんと欲ほっせば、慚ざん
愧ぎを生しょうじて諸罪しょざいを改悔かいげすべし。佛ほとけの言のたまはく、云何いかな
るをか刹利・居士せつり こじの懴悔さんげの法ほうと名なづくる。刹利・居士せつり こじ
の懴悔さんげの法ほうとは、但當ただまさに正心しょうしんにして三寶さんぼうを謗ほうせず、
出家しゅっけを障ささへず、梵行人ぼんぎょうにんの爲ために悪留難あくるなんを作なさざるべし。
應當まさに繋念けねんして六念ろくねんの法ほうを修しゅすべし。亦當またまさに大乗だいじょうを
持たもつ者ものを給ぎょうきゅうし養ぎょうようし、必かならず禮拝らいはいすべし。應當まさに甚じん
深じんの経法・第一義空きょうほう だいいちぎくうを憶念おくねんすべし。是この法ほうを思おもう者もの、
是これを刹利・居士せつり こじの第一だいいちの懴悔さんげを修しゅすと名なづく。第二だいに
の懴悔さんげとは、父母ぶもに孝養こうようし、師長しちょうを恭敬くぎょうする、是これ
を第二の懴悔さんげの法ほうを修しゅすと名なづく。第三だいさんの懴悔さんげとは、
正法しょうほうをもって國くにを治おさめ人民にんみんを邪枉じゃおうせざる、是これを第
（P39-40）
三の懴悔さんげを修しゅすと名なづく。第四だいしの懴悔さんげとは、六齊日ろくさいにちに
於おいて諸もろもろの境内きょうないに勅ちょくして、力ちからの及およぶ所ところの處ところに不殺ふせつを行ぎょう
ぜしめ、此かくの如ごとき法ほうを修しゅする、是これを第四の懴悔さんげを
修しゅすと名なづく。第五だいごの懴悔さんげとは、但當ただまさに深ふかく因果いんがを信しん
じ、一實いちじつの道どうを信じ、佛ほとけは滅めっしたまはずと知しるべし。
是これを第五の懴悔さんげを修しゅすと名なづく。佛、阿難ほとけ あなんに告つげた
まはく、未來世みらいせに於おいて、若もし此かくの如ごとき懴悔さんげの法ほうを修しゅ
習しゅうすることあらん時、當とき まさに知しるべし、此この人ひとは慚愧ざんき
の服ふくを著、諸佛き しょぶつに護助ごじょ せられ、久ひさしからずして當まさに
阿耨多羅三藐三菩提あのくたらさんみゃくさんぼだいを成じょうずべし。是この語みことを説ときたも
う時、十千とき じゅっせんの天子てんじは法眼淨ほうげんじょうを得、彌勒菩薩等え みろくぼさつとうの諸大しょだい
菩薩及ぼさつおよび阿難あなんは、佛ほとけの所説しょせつを聞ききたてまつりて歓喜かんぎ
し奉行ぶぎょうしき。
南無先祖養道なむせんそぎょうようどう

（P41-42）
　無量義経十功�ｺ品第三むりょうぎきょうじゅうくどくほんだいさん（要結）

爾その時ときに世尊、大荘嚴菩薩摩訶薩せそん だいしょうごんぼさつまかさつに告つげて言のたまはく。
善哉善哉、善男子ぜんざいぜんざい ぜんなんし、是かくの如ごとし是かくの如ごとし、汝なんじが説とく所ところ
の如ごとし。善男子、我是ぜんなんし われこの経きょうを説とくこと甚深甚深眞實じんじんじんじんしんじつ
甚深じんじんなり。所以ゆえは何いかん、衆しゅをして疾とく無上菩提むじょうぼだいを成じょう
ぜしむるが故ゆえに、一ひとたび聞きけば能よく一切いっさいの法ほうを持たもつ
が故ゆえに、諸もろもろの衆生しゅじょうに於おいて大おおいに利益りやくするが故ゆえに、大直だいじき
道どうを行ぎょうじて留難るなんなきが故ゆえに。善男子、汝、是ぜんなんし なんじ　この経きょうは
何いずれの所ところよりか來きたり、去さって何いずれの所ところにか至いたり、住とどま
って何いずれの所ところにか住じゅうすると問とはば、當まさに善よく諦あきらかに
聴きくべし。善男子、是ぜんなんし この経きょうは本諸佛もとしょぶつの室宅しったくの中うちより
來きたり、去さって一切衆生いっさいしゅじょうの發菩提心ほつぼだいしんに至いたり、諸もろもろの菩薩ぼさつ
所行しょぎょうの處ところに住じゅうす。善男子、是ぜんなんし　この経きょうは是かくの如ごとく來きたり是かく
（P43-44）
の如ごとく去り是かくの如ごとく住じゅうしたまへり。此この故ゆえに、此この
経きょうは能よく是かくの如ごとき無量むりょうの功�ｺ不思議くどくふしぎの力ちからあって、衆しゅ
をして疾とく無上菩提むじょうぼだいを成じょうぜしむ。善男子、汝、寧ぜんなんし なんじ むしろ
是この経きょうに復十またじゅうの不思議ふしぎの功�ｺ力くどくりきあるを聞きかんと欲ほっす
るや不いなや。大荘嚴菩薩だいしょうごんぼさつの言もうさく、願ねがはくは聞ききたて
まつらんと欲ほっす。佛ほとけの言のたまはく、善男子、第一ぜんなんし だいいちに、是こ
の経きょうは能よく菩薩ぼさつの未eいまだ發心ほっしんせざる者ものをして菩提心ぼだいしんを
發おこさしめ、慈仁じにんなき者ものには慈心じしんを起おこさしめ、殺戮せつりくを
好このむ者ものには大悲だいひの心こころを起おこさしめ、嫉妬しっとを生しょうずる者ものに
は隨喜ずいきの心こころを起おこさしめ、愛著あいぢゃくある者ものには能捨のうしゃの心こころを
起おこさしめ、諸もろもろの慳貪けんどんの者ものには布施ふせの心こころを起おこさしめ、
慢多きょうまんおおき者ものには持戒じかいの心こころを起おこさしめ、瞋恚盛しんにさかんなる
者ものには忍辱にんにくの心こころを起おこさしめ、懈怠けだいを生しょうずる者ものには精しょう
進じんの心こころを起おこさしめ、諸もろもろの散亂さんらんの者ものには禪定ぜんじょうの心こころを起おこ
（P45-46）
さしめ、愚癡多ぐちおおき者ものには智慧ちえの心こころを起おこさしめ、未eいまだ
彼かれを度どすること能あたはざる者ものには彼かれを度どする心こころを起おこさ
しめ、十悪じゅうあくを行ぎょうずる者ものには十善じゅうぜんの心こころを起おこさしめ、有う
爲いを樂ねがう者ものには無爲むいの心こころを志こころざさしめ、退心たいしんある者ものに
は不退ふたいの心こころを作なさしめ、有漏うろを爲なす者ものには無漏むろの心こころ
を起おこさしめ、煩悩多ぼんのうおおき者ものには除滅じょめつの心こころを起おこさしむ。
善男子、是ぜんなんし　これを是この経きょうの第一だいいちの功�ｺ不思議くどくふしぎの力ちからと名なづ
く。
善男子、第二ぜんなんし だいにに是この経きょうの不可思議ふかしぎの功�ｺ力くどくりきとは、若も
し衆生しゅじょうあって是この経きょうを聞きくことを得えん者もの、若もしは一
轉てん、若もしは一偈乃至一句いちげないしいっくもせば、則すなわち能よく百千億ひゃくせんのくの
義ぎに通達つうだつして、無量数劫むりょうしゅこうにも受持じゅじする所ところの法ほうを演説えんぜつ
すること能あたはじ、所以ゆえは何いかん、其それ是この法ほうは義無量ぎむりょう
なるを以もっての故ゆえに。善男子、是ぜんなんし　この経きょうは、譬たとへば一いちの
（P47-48）
種子しゅしより百千萬ひゃくせんまんを生しょうじ、百千萬ひゃくせんまんの中なかより一一いちいちに復百またひゃく
千萬数せんまんじゅを生しょうじ、是かくの如ごとく展轉てんでんして乃至無量ないしむりょうなるが如ごと
く、是この経典きょうでんも亦復是またまたかくの如ごとし。一法より百千の義ぎを
生しょうじ、百千の義ぎの中なかより一一いちいちに復百千萬数またひゃくせんまんじゅを生しょうじ、
是かくの如ごとく展轉てんでんして乃至無量無邊ないしむりょうむへんの義ぎあり。是この故ゆえに
此この経きょうを無量義むりょうぎと名なづく。善男子、是ぜんなんし　これを是この経きょうの第
二の功�ｺ不思議くどくふしぎの力ちからと名なづく。
善男子、第三ぜんなんし だいさんに是この経きょうの不可思議ふかしぎの功�ｺ力くどくりきとは、若も
し衆生しゅじょうあって是この経きょうを聞きくことを得えて、若もしは一轉いってん、
若もしは一偈乃至一句いちげないしいっくもせば、百千萬億ひゃくせんまんのくの義ぎに通達つうだつし
已おわって、煩悩ぼんのうありと雖いえども煩悩ぼんのうなきが如ごとく、生死しょうじに出しゅつ
入にゅうすれども怖畏ふいの想おもいなけん。諸もろもろの衆生しゅじょうに於おいて憐愍れんみんの
心こころを生しょうじ、一切いっさいの法ほうに於おいて勇健ゆうごんの想おもいを得えん。壮さかんなる
力士りきしの諸有しょうの重おもき者ものを能よく擔にない能よく持たもつが如ごと<、是こ
（P49-50）
の持経じきょうの人ひとも亦復是またまたかくの如ごとし。能よく無上菩提むじょうぼだいの重おもき寶たから
を荷になひ、衆生しゅじょうを擔負たんぶして生死しょうじの道どうを出いだす。未eいまだ自みずから
度どすること能あたはざれども、已すでに能よく彼かれを度どせん。猶な
ほ船師せんしの身重病みじゅうびょうに嬰かかり、四體御したいおさまらずして此この岸きしに
安止あんしすれども、好よき堅牢けんろうの舟船常しゅうせんつねに諸もろもろの彼かれを度どする
者ものの具ぐを辨べんぜることあるを、給たまひ與あたへて去さらしむる
が如ごとく、是この持経者じきょうしゃも亦復是またまたかくの如ごとし。五道諸有ごどうしょうの身み
百八ひゃくはちの重病じゅうびょうに嬰かかり、恒常つねに相纏あいまとはされて無明・老・死むみょう ろう し
の此この岸きしに安止あんしせりと雖いえども、而しかも堅牢けんろうなる此この大乗だいじょう
経無量義きょうむりょうぎの能よく衆生しゅじょうを度どすることを辨べんずることある
を、説せつの如ごとく行ぎょうずる者ものは、生死しょうじを度どすることを得うる
なり。善男子、是ぜんなんし　これを是この経きょうの第三だいさんの功�ｺ不思議くどくふしぎの
力ちからと名なづく。
南無先祖養道なむせんそぎょうようどう
（P51-52）
善男子、第八ぜんなんし だいはちに是この経きょうの不可思議ふかしぎの功�ｺ力くどくりきとは、若も
し善男子・善女人ぜんなんし ぜんにょにん、若もしは佛ほとけの在世若ざいせ もしは滅度めつどの後のち
に、人ひとあって能よく是この経典きょうでんを得えたらん者ものは、敬信きょうしんす
ること佛身ぶっしんを視みたてまつるが如ごとく等ひとしくして異ことなるこ
となからしめ、是この経きょうを愛樂あいぎょうし、受持じゅじし読誦どくじゅし書写しょしゃ
し頂戴ちょうだいし、法ほうの如ごとく奉行ぶぎょうし、戒・忍かい にんを堅固けんごにし、兼か
ねて檀度だんどを行ぎょうじ、深ふかく慈悲じひを發おこして、此この無上大乗むじょうだいじょう
無量義経むりょうぎきょうを以もって、廣ひろく人ひとの爲ために説とかん。若もし人先ひとさきよ
り來このかた、都すべて罪��ざいふくあることを信しんぜざる者ものには、是この
経きょうを以もって之これを示しめして、種種しゅじゅの方便ほうべんを設もうけ強しいて化けして
信しんぜしめん。経きょうの威力いりきを以もっての故ゆえに、其その人ひとの信心しんじん
を發おこし然こつねんとして回えすることを得えん。信心既しんじんすでに發ほっし
て勇猛精進ゆうみょうしょうじんするが故ゆえに、能よく是この経きょうの威�ｺ勢力いとくせいりきを得え
て、得道・得果とくどう とっかせん。是この故ゆえに善男子・善女人、化ぜんなんし ぜんにょにん け
（P53-54）
を蒙こうむる功�ｺくどくを以もっての故ゆえに、男子・女人即なんし にょにんすなわち、是この身みに
於おいて無生法忍むしょうほうにんを得、上地え じょうぢに至いたることを得えて、諸もろもろの菩ぼ
薩さつと以もって眷属けんぞくと爲なして、速すみやかに能よく衆生しゅじょうを成就じょうじゅし佛ぶつ
國土こくどを淨きよめ、久ひさしからずして無上菩提むじょうぼだいを成じょうずること
を得えん。善男子、是ぜんなんし　これを是この経きょうの第八の功�ｺ不思議くどくふしぎ
の力ちからと名なづく。
善男子、第九ぜんなんし だいくに是この経きょうの不可思議ふかしぎの功�ｺ力くどくりきとは、若も
し善男子・善女人、若ぜんなんし ぜんにょにん もしは佛ほとけの在世若ざいせもしは滅度めつどの後のち
に、是この経きょうを得うることあって歓喜踊躍かんぎゆやくし、未曾有みぞうな
ることを得えて、受持じゅじし読誦どくじゅし書写しょしゃし養ぎょうようし、廣ひろく衆しゅ
人にんの爲ために是この経きょうの義ぎを分別ふんべつし解説げせつせん者ものは、即すなわち宿しゅく
業ごうの餘罪重障、一時よざいじゅうしょう いちじに滅盡めつじんすることを得え、便すなわち清淨しょうじょう
なることを得えて、大辯だいべんを逮得たいとくし、次第しだいに諸もろもろの波羅蜜はらみつ
を荘嚴しょうごんし、諸もろもろの三昧・首楞嚴三昧さんまい しゅりょうごんさんまいを獲、大總持門え だいそうじもんに
（P55-56）
入いり、勤精進力ごんしょうじんりきを得えて速すみやかに上地じょうぢに越こゆることを得え、
善よく分身散體ふんじんさんたいして十方じゅっぽうの國土こくどに遍へんじ、一切二十五有いっさいにじゅうごう
の極苦ごっくの衆生しゅじょうを抜済ばっさいして悉ことごとく解脱げだつせしめん。是この故ゆえ
に是この経きょうに此かくの如ごときの力ちからゐます。善男子、是ぜんなんし　これを是こ
の経きょうの第九の功�ｺ不思議くどくふしぎの力ちからと名なづく。
善男子、第十ぜんなんし だいじゅうに是この経きょうの不可思議ふかしぎの功�ｺ力くどくりきとは、若も
し善男子・善女人、若ぜんなんし ぜんにょにん もしは佛ほとけの在世若ざいせもしは滅度めつどの後のち
に、若もし是この経きょうを得えて大歓喜だいかんぎを發おこし、希有けうの心こころを生しょう
じ、既すでに自みずから受持じゅじし読誦どくじゅし書写しょしゃし養ぎょうようし説せつの如ごとく修しゅ
行ぎょうし、復能またよく廣ひろく在家出家ざいけ しゅっけの人ひとを勧すすめて、受持じゅじし読どく
誦じゅし書写しょしゃし養ぎょうようし解説げせつし、法ほうの如ごとく修行しゅぎょうせしめん。
既すでに餘人よにんをして是この経きょうを修行しゅぎょうせしむる力ちからの故ゆえに、得とく
道・得果どう とっかせんこと、皆是みなこの善男子・善女人ぜんなんし ぜんにょにんの慈心じしんを
もって勤ねんごろに化けする力ちからに由よるが故ゆえに、是この善男子ぜんなんし・
（P57-58）
善女人ぜんにょにんは即すなわち是この身みに於おいて便すなわち無量むりょうの諸もろもろの陀羅尼門だらにもん
を逮得たいとくせん。凡夫地ぼんぶぢに於おいて、自然じねんに初はじめの時ときに能よく
無数阿僧祇むしゅあそうぎの弘誓大願ぐぜいだいがんを發おこし、深ふかく能よく一切いっさい衆生しゅじょうを
救すくはんことを發おこし、大悲だいひを成就じょうじゅし、廣ひろく能よく衆もろもろの苦く
を抜ぬき、厚あつく善根ぜんごんを集あつめて一切いっさいを饒益にょうやくせん。而しこうして
法ほうの澤うるおいを演のべて洪おおいに枯涸こかくに潤うるおし、能よく法ほうの薬くすりを以もって
諸もろもろの衆生しゅじょうに施ほどこし、一切いっさいを安楽あんらくし、漸見超登ぜんけんちょうとうして法雲ほううん
地ぢに住じゅうせん。恩澤普おんたくあまねく潤うるおし慈被じひすること外ほかなく、苦く
の衆生しゅじょうを摂せっして道跡どうしゃくに入いらしめん。是この故ゆえに此この人ひと
は、久ひさしからずして阿耨多羅三藐三菩提あのくたらさんみゃくさんぼだいを成じょうずるこ
とを得えん。善男子、是ぜんなんし　これを是この経きょうの第十だいじゅうの功�ｺ不思くどくふし
議ぎの力ちからと名なづく。
南無先祖養道なむせんそぎょうようどう
世尊慈愍せそんじみんして快こころよく我等われらが爲ために是かくの如ごとき法ほうを説といて、
（P59-60）
我われをして大おおいに法利ほうりを獲えせしめたもう。甚はなはだ爲これ奇特きどく
に未曾有みぞうなり。世尊せそんの慈恩實じおんじつに報ほうずべきこと難かたし。
此語このことばを作なし已おわりし、爾その時ときに三千大千世界六種さんぜんだいせんせかいろくしゅに震しん
動どうし、上空じょうくうの中なかより復種種またしゅじゅの天華・天優鉢羅華・鉢てんげ てんうばつらけ はつ
曇摩華・拘物頭華・分陀利華どんまけ くもつづけ ふんだりけを雨ふらし、又無数種種またむしゅしゅじゅ
の天香・天衣・天瓔珞・天無價てんこう てんね てんようらく てんむげの寶たからを雨ふらして、上じょう
空くうの中なかより旋轉せんでんして來下らいげし、佛及ほとけおよび諸もろもろの菩薩・聲聞ぼさつ しょうもん・
大衆だいしゅに養ぎょうようす。天厨・天鉢器てんちゅう てんばっきに天百味充満盈溢てんひゃくみじゅうまんよういつせ
る、色しきを見香みこうを聞かぐに自然じねんに飽足ほうそくす。天幢・天旛てんどう てんばん・
天軒蓋・天妙樂具處處てんこんがい てんみょうらくぐしょしよに安置あんちし、天てんの伎樂ぎがくを作なして
佛ほとけを歌歎かたんす。又復六種またまたろくしゅに東方恒河沙等とうぼうごうがしゃとうの諸佛しょぶつの世界せかい
を震動しんどうす。亦天華・天香・天衣・天瓔珞・天無價またてんげ てんこう てんね てんようらく てんむげの
寶たからを雨ふらし、天厨・天鉢器・天百味、色てんちゅう てんばっき てんひゃくみ しきを見香nb4 を聞か
ぐに自然じねんに飽足ほうそくす。天幢・天旛・天軒蓋・天妙樂具てんどう てんばん てんこんがい てんみょうらくぐ
（P61-62）
處處しょしょに安置あんちし、天てんの伎樂ぎがくを作なして彼かの佛及ほとけおよび諸もろもろの菩ぼ
薩・聲聞・大衆さつ しょうもん だいしゅを歌歎かたんす。南西北方・四維・上下なんざい ほっぽう しゆい じょうげも
亦復是またまたかくの如ごとし。
爾その時ときに佛、大荘嚴菩薩摩訶薩及ほとけ だいしょうごんぼさつまかさつおよび八萬はちまんの菩薩摩訶ぼさつまか
薩さつに告つげて言のたまはく、汝等當なんだちまさに此この経きょうに於おいて深ふかく敬心きょうしん
を起おこし法ほうの如ごとく修行しゅぎょうし、廣ひろく一切いっさいを化けして勤心ごんしんに流る
布ふすべし。常つねに當まさに慇懃おんごんに昼夜守護ちゅうやしゅごして、諸もろもろの衆生しゅじょう
をして各法利おのおのほうりを獲えせしむべし。汝等、眞なんだち しんに是これ大慈だいじ
大悲だいひなり。以もって神通じんづうの願力がんりきを立たてて、是この経きょうを守護しゅご
して疑滞ぎたいせしむることなかれ。汝、當時なんじ そのときに於おいて必かならず
廣ひろく閻浮提えんぶだいに行ぎょうぜしめ、一切衆生いっさいしゅじょうをして見聞けんもんし読誦どくじゅ
し書写しょしゃし養ぎょうようすることを得えせしめよ。是これを以もっての
故ゆえに、亦疾またとく汝等なんだちをして速すみやかに阿耨多羅三藐三菩提あのくたらさんみゃくさんぼだい
を得えせしめん。是この時ときに大荘嚴菩薩摩訶薩、八萬だいしょうごんぼさつまかさつ はちまんの
（P63-64）
菩薩摩訶薩ぼさつまかさつと即すなわち座ざより起たって佛所ぶっしょに來詣らいけいして、頭ず
面めんに足あしを禮らいし遶めぐること百千ひゃくせんそうして、即すなわち前すすんで胡跪こき
し倶共ともに聲こえを同おなじうして佛ほとけに白もうして言もうさく、世尊、我せそん われ
等快らこころよく世尊せそんの慈愍じみんを蒙こうむりぬ。我等われらが爲ために是この甚深微じんじんみ
妙無上大乗無量義経みょうむじょうだいじょうむりょうぎきょうを説ときたもう。敬つつしんで佛勅ぶっちょくを受う
けて、如來にょらいの滅後に於おいて當まさに廣ひろく是この経典きょうでんを流布るふせ
しめ、普あまねく一切いっさいをして受持じゅじし読誦どくじゅし書写しょしゃし養ぎょうようせし
むべし。唯願ただねがはくは憂慮うりょを垂たれたもうことなかれ。
我等當われらまさに願力がんりきを以もって、普あまねく一切衆生いっさいしゅじょうをして此この経きょうを
見聞けんもんし読誦どくじゅし書写しょしゃし養ぎょうようすることを得え、是この経きょうの威い
神じんの��ふくを得えせしむべし。爾その時ときに佛讃ほとけほめて言のたまはく、
善哉善哉ぜんざいぜんざい、諸もろもろの善男子、汝等今者眞ぜんなんし なんだちいましんに是これ佛子ぶっしなり。
弘ひろき大慈大悲だいじだいひをもって深ふかく能よく苦くを抜ぬき厄やくを救すくう者もの
なり。一切衆生いっさいしゅじょうの良�ｓcろうふくでんなり。廣ひろく一切いっさいの爲ために大良だいろう
（P65-66）
導師どうしと作なれり。一切衆生いっさいしゅじょうの大依止處だいえししょなり。一切衆生いっさいしゅじょう
の大施主だいせしゅなり。常つねに法利ほうりを以もって廣ひろく一切いっさいに施ほどこせと。
爾その時ときに大會皆大だいえみなおおいに歓喜かんぎして、佛ほとけの爲ために禮らいを作なし、
受持じゅじして去さりにき。
南無先祖養道なむせんそぎょうようどう（三唱）


　妙法蓮華経提婆達多品第十二みょうほうれんげきょうだいばだったほんだいじゅうに…（恨みを取る経文）

そ　　とき　 ほとけ　もろもろ　ぼ さつ およ　てん　にん　　ししゅ　　 　つ　　　　　　　　　　　われ かこ　む りょうこう
爾の時に佛、諸 の菩薩及び天・人・四衆に告げたまわく、我過去無量劫の
なか　おい　 　ほ け きょう　　もと　　　　　 　け げん　　　　　　　　　　　　　た こう　　なか　おい　　つね　　こくおう
中に於て法華経を求めしに、懈倦あることなし。多劫の中に於て常に國王と
な　　　　　　がん　　おこ　　　む じょう ぼ だい　もと　　　　　　　こころたいてん　　　　ろく はら みつ　　まんぞく
作って、願を發して無上菩提を求めしに、心退転せず。六波羅蜜を満足せん
　　ほっ　　　　　　　　　　 ふ　せ　　 ごんぎょう　　　　　こころ　 ぞう め　　しちちん　 こくじょう　さい し　　ぬ　び
と欲するをもって布施を勤行せしに、心に象馬・七珍・國城・妻子・奴碑・
ぼくじゅう　ず もく　ずいのう　 しんにく　　しゅそく　りんじゃく　　　　　　　　　　　 く みょう　　　おし
僕從・頭目・髄脳・身肉・手足を悋惜することなく、命をも惜まざりき。
とき　　よ　　 にんみんじゅみょう む りょう　　　　ほう　ため　　ゆえ　　こく い　　す　　　　まつりごと　たい し　　まか
時に世の 人民 壽命 無量なり。法の爲の故に国位を捨てて 政 を 太子に委せ、
つづみ　 う　　　しほう　　せんりょう　　　ほう　　もと　　　　　たれ　　よ　　 わ　　ため　 だいじょう　 と　　　　もの
鼓を撃って四方に宣令して法を求めき。誰か能く我が爲に大乗を説かん者な
　　　われまさ　　み　おう　　　　ぎょうきゅう　そう し　　　　　　　とき　 せんにん　　　　　 きた　　　 おう　　もう
る。我當に身終るまで供給し 走使すべし。時に仙人あり、來って王に白して
もう　　　　　われだいじょう　たも　　　　みょうほうれんげきょう　なづ　　　　　　　　　　　　　も　　われ　 たが
言さく、我大乗を有てり、妙法 蓮華経と名けたてまつる。若し我に違わずん
　　　 まさ　　ため　 せんぜつ　　　　　　　おう　 せん　ことば　　き　　　　かんぎ ゆやく　　　すなわ　 せんにん　 したが
ば、當に爲に宣説すべし。王、仙の言を聞いて歓喜踊躍し、即ち仙人に随っ

　　しょしゅ　ぎょうきゅう　このみ　　と　　　　みず　　 く　　　たきぎ　 ひろ　　　じき　　もう　　　ない し　み　　もっ
て所須を 供給し、果を採り、水を汲み、薪を拾い、食を設け、乃至身を以て
じょうざ　　な　　　　　　　しん じんものう　　　　　　　　　　　　　とき　　ぶ　じ　　　　　　　せんざい　　へ　　　　 ほう
牀座と作せしに、身心 倦きことなかりき、時に奉事すること千歳を経て、法
　　ため　 ゆえ　しょうごん　きゅうじ　　　　　 とぼ　　　ところ　　　　　　　　　　　　そ　　とき　　せ そん　　 かさ
の為の故に精勤し 給侍して、乏しき所なからしめき。爾の時に世尊、重ねて
こ　　　ぎ　　 の　　　　　　ほっ　　　　　　げ　　と　　　　のたま
此の義を宣べんと欲して、偈を説いて言わく
　　われ かこ　　　こう　 おも　　　　　だいほう　　もと　　　　　　　　　　　　ゆえ　　　 よ　　こくおう　　な
　我過去の劫を念うに　大法を求むるをもっての故に　世の國王と作れりと
　 いえど　　　ごよく　　らく　むさぼ　　　　　　　　かね　　 つ　　　　しほう　　　つ　　　　たれ　　だいほう　たも
　雖も　五欲の楽を貪らざりき　鐘を椎いて四方に告ぐ　誰か大法を有てる
　　もの　　　　　も　　　わ　　 ため　　げ せつ　　　　　み　まさ　　ぬ ぼく　 な　　　　　　 　とき　　 あ　し　せん　
　者なる　若し我が爲に解説せば　身當に奴僕と爲るべし　時に阿私仙あり
　　　 きた　　　　だいおう　もう　　　　　われ み みょう　ほう　たも　　　　　　せ けん　　け　う　　　ところ　　　　　も
　　來って大王に白さく　我微妙の法を有てり　世間に希有なる所なり　若
　　　　 よ　しゅぎょう　　　　　われまさ　なんじ　ため　　と　　　　　　　 とき　 おうせん　ことば　 き　　　　　　こころ
　し能く修行せば　我當に汝が爲に説くべし　時に王仙の言を聞いて　心に
　　だい きえつ　 しょう　　すなわち せんにん　したが　　　　 しょしゅ　ぎょうきゅう　 たきぎおよ　　このみ くさのみ　と
　大喜悦を生じ　即便仙人に隨って　所須を供給し　薪及び　果　を採って
　　　とき　　したが　　　くぎょう　　　あた　　　　こころ　みょうほう　ぞん　　　　　ゆえ　　　しん じん け げん
　　時に随って恭敬して與えき　情に妙法を存ぜるが故に　身心懈倦なかり
　　　　　あまね もろもろ しゅじょう ため　　　 だいほう　 ごん ぐ　　　　　 またおの　　み　　およ　　ご よく　　らく
　き　普く諸の衆生の爲に　大法を勤求して　亦己が身　及び五欲の樂の

　　ため　　　　かるがゆえ　だいこく　　おう　　な　　　　　　ごん ぐ　　　こ　　　ほう　　え　　　　つい　じょうぶつ
　爲にせず　故に大國の王と爲って　勤求して此の法を獲て　遂に成佛を
　　う　　　　　　　　いた　　　　 いま かるがゆえ　なんじ　 ため　　と
　得ることを致せり　今　 故 に汝が爲に説く
ほとけもろもろ　 び　く　　つ　　　　　　　　　　　　そ　　とき　 おう　　 すなわ　　わ　　　み　こ　　　　　　　とき　　せん
佛　諸 の比丘に告げたまわく、爾の時の王とは則ち我が身是れなり。時の仙
にん　　　いま　　だい ば だっ た　こ　　　　　　　だい ば だっ た　　ぜん ち しき　　よ　　　　ゆえ　　　われ　　　　　ろく
人とは今の提婆達多是れなり。提婆達多が善知識に由るが故に、我をして六
は　 ら みつ　　じ　ひ き しゃ　さんじゅうにそう　 はちじゅうしゅごう　し ま こんじき　じゅうりき　し　む　しょ い　　ししょう
波羅蜜・慈悲喜捨・三十二相・八十種好・紫磨金色・十力・四無所畏・四摂
ほう　 じゅうはちふ ぐ　　じんづうどうりき　ぐ そく　　　　　　　　　　 とうしょうがく じょう　　ひろ　しゅじょう　　ど
法・十八不共・�~通道力を具足せしめたり。等正覚を成じて廣く衆生を度す
　　　　　　　みな だい ば だった 　　ぜん ち しき　よ　　　　ゆえ　　　　もろもろ　し しゅ　　つ
ること、皆提婆達多が善知識に因るが故なり。諸の四衆に告げたまわく、
だい ばだった　さ　　　　のち む りょうこう　す　　　　　　まさ　じょうぶつ　　　　　　　　う　　　　　　な　　てんのうにょ
提婆達多却って後無量劫を過ぎて、當に成佛することを得べし。號を天王如
らい　　おう ぐ　 しょうへん ち　　みょうぎょうそく　 　ぜんぜい　　　 せ けん げ　　む じょう じ　　　じょうご じょうぶ　　てんにん し　 ぶつ
來・應供・ 正知　・明行足・　善逝・　世間解・無上士・　調御丈夫・ 天人師・佛・
せ そん　　　　　　　　　 せ かい　てんどう　　なづ　　　　　とき　てんのうぶつ　　　よ　じゅう　　　　　　にじゅうちゅうこう
世尊といわん。世界を天道と名けん。時に天王佛、世に住すること二十中劫、
ひろ　しゅじょう　ため　みょうほう　と　　　　　　ごう が しゃ　しゅじょう あ ら かん が　　　え　　む りょう しゅじょうえんがく
廣く衆生の爲に妙法を説かん。恒河沙の衆生 阿羅漢果を得、無量の衆生 縁覚
　 こころ　おこ　　　ごう が しゃ　しゅじょう むじょうどう こころ　おこ　 む しょうにん　 え　　　ふ たいてん　じゅう
の心を發し、恒河沙の衆生 無上道の心を發し無生忍を得、不退轉に住せん。

とき　 てんのうぶつ はつ ね はん　のち　 しょうほう よ　じゅう　　　　　　にじゅうちゅうこう　 ぜんしん　しゃ り　　しちほう
時に天王佛 般涅槃の後、正法世に住すること二十中劫、 全身の舍利に七寶の
とう　　た　　　　　　たか　ろくじゅうゆじゅん じゅうこうしじゅうゆじゅん　　　　　しょてん　　にんみん ことごと　ざっ け　　まつ
塔を起てて、高さ六十由旬、 縦廣 四十由旬ならん。諸天・人民　悉く雑華・抹
こう　しょうこう　ず こう　　え ぶく　　ようらく　　どうばん　　ほうがい　 ぎ がく　　か じゅ　　 もっ　　　しちほう　 みょうとう
香・焼香・塗香・衣服・瓔珞・ 幢旛・ 寶葢・伎楽・歌頌を以て、七寶の妙塔
　　らいはい　ぎょうよう　　　　む りょう しゅじょう あ ら かん が　　 え　　む しゅ　 しゅじょうびゃくしぶつ　 さと　　　 ふ
を礼拝し供養せん。無量の衆生阿羅漢果を得、無数の衆生 辟支佛を悟り、不
か　し　ぎ　 しゅじょうぼだいしん　　 おこ　　　 ふ　たいてん　いた　　　　 ほとけもろもろ び　く　　つ
可思議の衆生 菩提心を發して不退轉に至らん。佛 諸の比丘に告げたまわく、
み らい せ　　なか　　も　　ぜんなん し　　ぜんにょにん　　　　　　みょう ほ け きょう　だい ば だっ た ほん　　き
未來世の中に若し善男子・善女人あって、妙法華経の提婆達多品を聞いて、
じょうしん しんきょう　　ぎ　わく　 しょう　　　　　　もの　　　 じ ごく　　が　き　　ちくしょう　 お　　　　　　 じゅっぽう
浄心に信敬して疑惑を生ぜざらん者は、地獄・餓鬼・畜生に堕ちずして十方
　　ぶつぜん　しょう　　　　しょしょう ところ　　 つね　　こ　 きょう　　き　　　　　　も　　 にん でん　　なか　　うま
の佛前に生ぜん。所生の處には常に此の経を聞かん。若し人･天の中に生るれ
　しょうみょう らく　　う　　　　 も　　ぶつぜん　　　　　　　れん げ　　　　け しょう　　　　とき　　げ ほう　　た ほう せ
ば勝妙の楽を受け、若し佛前にあらば蓮華より化生せん。時に下方の多寶世
そん　 しょじゅう　ぼ さつ　　な　　ち しゃく　　　　　　　た ほうぶつ　 もう　　　　　 まさ　ほん ど　　　かえ
尊の所從の菩薩、名を智積という。多寶佛に啓さく、當に本土に還りたもう
　　　　　しゃ か　む に ぶつ　　ち しゃく　 つ　　　　のたま　　　　ぜんなん し　　しばら　しゅ ゆ　　ま　　　　ここ　　ぼ
べし。釈迦牟尼佛、智積に告げて曰わく、善男子、且く須臾を待て。此に菩
さつ　　　　　もんじゅ し り　　なづ　　　 とも　　あい み　　　　　　 みょうほう　ろんぜつ　　　 ほん ど　　かえ
薩あり、文殊師利と名く。與に相見るべし。妙法を論説して本土に還るべし。

そ　　とき　　もんじゅ し り　　せんよう　　れん げ　おおい　しゃりん　 ごと　　　　　　　 ざ　　　　とも　　きた　　　 ぼ
爾の時に文殊師利、千葉の蓮華の大さ車輪の如くなるに坐し、倶に來れる菩
さつ　 またほうれん げ　　ざ　　　　　　だいかい　しゃ か ら りゅうぐう　　　じ ねん　　ゆ じゅつ　　　　 こ くう　　なか
薩も亦寶蓮華に坐して、大海の娑竭羅龍宮より自然に涌出して、虚空の中に
じゅう　　りょうじゅせん　もう　　　 れん げ　　　　お　　　　ぶつぜん　　 いた　　　 ず めん　　に せ そん　　みあし きょうらい
住し、 霊鷲山に詣でて蓮華より下りて佛前に至り、頭面に二世尊の足を敬禮
　　 うやまい　 しゅ　　　　　　　すで　　おわ　　　　　ち しゃく　ところ　ゆ　　　　とも　あい い もん　　　　　 さ
し、敬 を修すること已に畢って、智積の所に住いて共に相慰問して、却っ
　　いちめん　 ざ　　　　　　ち しゃくぼ さつ　もんじゅ し り　　　と　　　　　　きみ　りゅうぐう　ゆ　　　　 け　　　ところ
て一面に坐しぬ。智積菩薩、文殊師利に問わく、仁、龍宮に往いて化する所
　 しゅじょう　そ　　 かずいくばく　　　もんじゅ し り　　 い　　　　　　 そ　　 かず む りょう　　　 しょうけい　 べ
の衆生、其の数幾何ぞ。文殊師利の言わく、其の数無量にして稱計す可から
　　　 くち　　の　　　　ところ　あら　　こころ　 はか　ところ　 あら　　　しばら　 しゅ ゆ　　ま　　　おのずか　 まさ
ず。口の宣ぶる所に非ず、心の測る所に非ず。且く須臾を待て。自 ら當に
しょう　　　　　　　しょごん　いま　おわ　　　　　　　　　む しゅ　　ぼ さつ ほうれん げ　　ざ　　　　うみ　　　ゆ じゅつ
證あるべし。所言未だ竟らざるに、無数の菩薩寶蓮華に坐して海より涌出し、
りょうじゅせん もう　　　こ くう　じゅうざい　　　　　 こ　　もろもろ　ぼ さつ　　　　 みな こ　 もんじゅ し り　　　け　ど
霊鷲山に詣でて虚空に住在せり。此の 諸 の菩薩は、皆是れ文殊師利の化度
　　　ところ　　　　　ぼ さつ　ぎょう　　ぐ　　　みなとも　　ろく は ら みつ　　 ろんぜつ　　　もとしょうもん　　　　 ひと
せる所なり。菩薩の行を具して皆共に六波羅蜜を論説す。本 聲聞なりし人は
こ くう　　なか　　あ　　　しょうもん　ぎょう　と　　　　いまみなだいじょう くう　　ぎ　　しゅぎょう　　もんじゅ し り
虚空の中に在って聲聞の行を説く。今皆大乗の空の義を修行す。文殊師利、
ち しゃく　い　　　　いわ　　　 うみ　　おい　きょうけ　　　　　　　　そ　　じ　かく　ごと　　　　そ　　とき　　ちしゃく ぼ
智積に謂って曰く、海に於て教化せること其の事此の如し。爾の時に智積菩

さつ　　 げ　　もっ　　ほ　　　　いわ
薩、偈を以て讃めて曰く
　　だい ちとくゆうごん　　　　　　む りょう　しゅ　　け　ど　　　　　　いま こ　もろもろ　だい え　　　およ　われみなすで
　大智�ｺ勇健にして　無量の衆を化度せり　今此の 諸 の大會　及び我皆已
　　　　 み　　　じっそう　　 ぎ　　えんちょう　　いちじょう　ほう　かいせん　　　　　 ひろ　 もろもろ　ぐんじょう みちび
　に見つ　實相の義を演暢し　一乗の法を開闡して　廣く 諸 の群生を導い
　　　　　すみや　　　ぼ だい　　じょう
　て　速かに菩提を成ぜしむ
もんじゅ し り　　 い　　　　　 われかいちゅう　おい　 ただつね　みょうほけきょう　せんぜつ　　　ち しゃく ぼ さつ　　もんじゅ
文殊師利の言わく、我海中に於て唯常に妙法華経を宣説す。智積菩薩、文殊
し　り　　 と　　　　　い　　　　　　こ　 きょう　じんじん みみょう　　　　しょきょう　なか　たから　　よ　　け う
師利に問うて言わく、此の経は甚深微妙にして諸経の中の寶、世に希有なる
ところ　　　　 も　 しゅじょう　 ごんか しょうじん　こ　　きょう しゅぎょう　　　　すみや　　ほとけ　 う　　　　　　　　いな
所なり。頗し衆生の勤加精進し此の経を修行して、速かに佛を得るありや不
　　　 もんじゅ し り　　　い　　　　　　あ　　　　しゃ か ら りゅうおう むすめとしはじ　　　はっさい　　　　　ち　え　り こん
や。文殊師利の言わく、有り。娑竭羅龍王の女 年始めて八歳なり。智慧利根
　　　　　　 　よ　　しゅじょう しょこん　ぎょうごう　 し　　　　 だ　ら　に　　 え　　しょぶつ　しょせつ　 じんじん　 ひ ぞう
にして、善く衆生の諸根の行業を知り、陀羅尼を得、諸佛の所説･人深の秘蔵、
ことごと　よ　　じゅ じ　　　ふか　ぜんじょう　　い　　　　しょほう　 りょうだつ　　せつ な　　あいだ　おい　 ぼ だいしん
悉 く能く受持し、深く禅定に入って諸法を了達し、刹那の頃に於て菩提心
　 おこ　　　　ふ たいてん　　え　　　　　 べんざい む　げ　　　　　　　しゅじょう　じ ねん　　　　　　　 な　 しゃくし
を發して不退轉を得たり。辯才無礙にして、衆生を慈念すること猶お赤子の
ごと　　　　くどくぐ そく　　　　　こころ　おも　くち　　の　　　　　　　　みみょうこうだい　　　　 じ　ひ にんじょう　し
如し。功�ｺ具足して、心に念い口に演ぶること微妙廣大なり。慈悲仁譲・志

い　わ　げ　　　　　　よ　　 ぼ だい　　 いた　　　　　ちしゃくぼ さつ　　い　　　　　　われしゃかにょらい　　み
意知雅にして能く菩提に至れり。智積菩薩の言わく、我釈迦如來を見たてま
　　　　　　　むりょうこう　おい　 なんぎょうくぎょう こう　　つ　　とく　 かさ　　　　　　ぼ さつ　どう　　もと
つれば、無量劫に於て難行苦行し功を積み�ｺを累ねて、菩薩の道を求むるこ
　　いま　かっ　　し そく　　　　　　　　　　 さんぜんだいせん せ かい　　み　　　　　 ない し　け し　　 ごと　 ばか
と未だ曾て止息したまわず。三千大千世界を観るに、乃至芥子の如き許りも、
こ　　　ぼ さつ　　　　　しんみょう　す　　　　　　　ところ あらざ　　　　　　　　　　　　　　　　　しゅじょう　ため　ゆえ
是れ菩薩にして身命を捨てたもう處に非ることあることなし。衆生の爲の故
　　　　　しこう　　 のち　 すなわ　 ぼ だい　　どう　じょう　　　　　　　　　え　　　　　　　　　しん　　　　　こ　　にょ
なり。然して後に乃ち菩提の道を成ずることを得たまえり。信ぜじ、此の女
　　しゅ ゆ　 あいだ　おい　すなわ しょうがく　じょう　　　　　　　　　　ごんろんいま 　おわ　　　　　　　　　とき　りゅうおう
の須臾の頃に於て便ち正覚を成ずることを。言論 未だ訖らざるに、時に龍王
　 むすめ たちま　　 みまえ　 げん　　　　　ず めん　　らいきょう　　さ　　　　　いちめん　じゅう　　　　　げ　　もっ　　ほ
の女、忽ちに前に現じて、頭面に禮敬し、却って一面に住して、偈を以て讃
　　　 もう
めて曰さく
　 ふか　　ざいふく　そう　　たっ　　　あまね じゅっぽう　てら　　　　　　　　 み みょう　 きよ　 ほっしん　　そう　ぐ
　深く罪�ｂﾌ相を達してく十方を照したもう　微妙の浄き法身　相を具
　　　　　　　　さんじゅうに　 はちじゅうしゅごう もっ　　　 　も　　　　ほっしん　しょうごん　　　　てん　 にん　 たいごう
　せること三十二　八十種好を以て　用って法身を荘厳せり　天・人の戴仰
　　　　　ところ りゅうじん ことごと く ぎょう　　いっさいしゅじょう るい　　しゅうぶ　　　　　もの　　　　　また き
　する所　龍�~も咸く恭敬す　一切衆生の類　宗奉せざる者なし　又聞いて
　　 ぼ だい　 じょう　　　　　　　ただほとけ　　　まさ　 しょうち　　　　　　　　　　　　われだいじょう きょう　ひら
　菩提を成ずること　唯佛のみ當に證知したもうべし　我大乗の教を闡いて

　　 く　　しゅじょう　ど だつ
　苦の衆生を度脱せん
そ　　 とき　　しゃ り ほつ　りゅうにょ　かた　　　 い　　　　　なんじひさ　　　　　　　　　　むじょうどう　　え
爾の時に舍利弗、龍女に語って言わく、汝久しからずして無上道を得たりと
おも　　　　　　こ　　じ　しん　がた　　　 ゆ　え　　 いか　　　 にょしん　　く　え　　　　　　こ　　ほう き　　あら
謂える。是の事信じ難し。所以は何ん、女身は垢穢にして是れ法器に非ず。
い　か　　　　　よ　　むじょうぼ だい　　え　　　　ぶつどう　はる か　　　　　　むりょうこう　 へ　　ごん く　　　　ぎょう
云何んぞ能く無上菩提を得ん。佛道は懸曠なり。無量劫を経て勤苦して行を
つ　　　　 つぶ　　　 しょ ど　　 しゅ　　　しこう　　　のち　すなわ じょう　　　またにょにん　み　　　　 な　　ごしょう
積み、具さに諸度を修し、然して後に乃ち成ず。又女人の身には猶お五障
　　　　　いち　　　ぼんでんのう　　　　　　　　　　　え　　　　　に　　　たいしゃく　さん　　　ま おう　　 し　　　　てん
あり、一には梵天王となることを得ず、二には帝釈、三には魔王、四には轉
りんじょうおう ご　　　　ぶっしん　　　　　い かん　　 にょしんすみや　　じょうぶつ　　　　　　　　え　　　　そ　　とき
輪聖王、五には佛身なり。云何ぞ女身速かに成佛することを得ん。爾の時に
りゅうにょひと　　ほうじゅ　　　　　　け じきさんぜんだいせんせかい　　　　　も　　　　もっ　　ほとけ　たてまつ　　　ほとけすなわ
龍女 一つの寶珠あり、價直三千大千世界なり。持って以て佛に 上 る。　佛即
　　これ　　う　　　　　　　　　りゅうにょ ち しゃくぼ さつ　そんじゃ しゃ り ほつ　い　　　　　い　　　　　 われほうじゅ
ち之を受けたもう。龍女、智積菩薩・尊者舍利弗に謂って言わく、我寶珠を
たてまつ　　 せ そん　のうじゅ こ　　　じ　と　　　　いな　　　こた　　　　い　　　　　 はなは　と　　　　にょ　　い
献 る。世尊の納受是の事疾しや不や。答えて言わく、甚だ疾し。女の言わ
　　 なんじ　　じんりき　もっ　　わ　　じょうぶつ　み　　　　また こ　　　　　　　すみや　　　　　　　　とう じ　　しゅ え
く、汝が神力を以て我が成佛を観よ。復此れよりも速かならん。當時の衆會、
みなりゅうにょ こつねん　あいだ　へん　　　 なん し　　　　　　　　　ぼ さつ　ぎょう　　ぐ　　　　　　すなわ なんぽう む く
皆龍女の忽然の間に変じて男子となって、菩薩の行を具して、即ち南方無垢

せ かい　　ゆ　　　　 ほうれんげ　　　ざ　　　とうしょうがく　じょう　　さんじゅうにそう はちじゅうしゅごう　　　　　　あまね
世界に往いて寶蓮華に坐して等正覚を成じ、三十二相・八十種好あって、普
　じゅっぽう いっさいしゅじょう ため　 みょうほう　えんぜつ　　　　　 み　　　　そ　　 とき　　しゃ ば せ かい　　 ぼ さつ
く十方の一切衆生の為に妙法を演説するを見る。爾の時に娑婆世界の菩薩・
しょうもん　 　てん　りゅう　はちぶ　　にん　　ひ にん　 みなはる　　　　か　 りゅうにょ　じょうぶつ　　　　あまね　とき　　え
聲聞　・天・龍・八部・人と非人と皆遙かに彼の龍女の成佛して、普く時の曾
　　にん　 でん　ため　　ほう　　と　　　　 み　　　こころおおい かん ぎ　　　ことごと　　はる　　　きょうらい　　む りょう
の人・天の爲に法を説くを見て、心大に歓喜して 悉 く遙かに敬禮す。無量
　 しゅじょう ほう　き　　　　げ　ご　　　 ふ たいてん　　え　　むりょう しゅじょうどう　　き　　 う　　　　　　　　　　え
の衆生 法を聞いて解悟し不退轉を得、無量の衆生 道の記を受くることを得た
　　　　 む く せ かい ろくぺん　 しんどう　　　しゃ ば せ かい　　さんぜん しゅじょう ふ たい　　じ　　じゅう　　 さんぜん
り。無垢世界六反に震動す。娑婆世界の三千の衆生不退の地に住し、三千の
しゅじょう ぼ だいしん　　おこ　　　じゅ き　　　え　　　　　 ちしゃくぼ さつおよ　 しゃ り ほつ　　いっさい　しゅ え もくねん
衆生、菩提心を發して受記を得たり。智積菩薩及び舍利弗、一切の衆會黙然
　　　　　 しんじゅ
として信受す。

南無先祖養道なむせんそぎょうようどう（三唱）

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　　妙法蓮華経如来神力品第二十一みょうほうれんげきょうにょらいじんりきほんだいにじゅういち…（力ちからをつけるお経きょう）

そ　　とき　　せんせかい み じんとう　　 ぼ さつ ま か さつ　　 じ　　　　ゆ じゅつ　　　 もの　 みなぶつぜん　おい　 いっしん
爾の時に千世界微塵等の菩薩摩訶薩の地より涌出せる者、皆佛前に於て一心
　 がっしょう　そんげん　せんごう　　　　　ほとけ　もう　　　もう　　　　 　せ そん　 　われら ほとけ めつ ご　　 せ そんふん
に合掌し尊顏を瞻仰して、佛に白して言さく、世尊、我等佛の滅後、世尊分
じんしょざい　こく ど　　めつ ど　　ところ　おい　　　 まさ　ひろ　　 こ　　きょう　と　　　　　　　　ゆ　え　　いか
身所在の国土、滅度の處に於て、當に廣く此の経を説くべし。所以は何ん、
われ ら　　またみずか こ　　しんじょう　 たいほう　 え　　　　じゅ じ　　どくじゅ　　　げ せつ　　しょしゃ　　　　　 これ
我等も亦自ら是の眞浄の大法を得て、受持・読誦し、解説・書写して、之を
ぎょうよう　　　　ほっ　　　 そ　　 とき　　せ そん　　もんじゅ し り とう　 むりょうひゃくせんまんのく　くじゅうしゃば せかい
供養せんと欲す。爾の時に世尊、文殊師利等の無量 百千萬億の舊住娑婆世界
　　ぼ さつ ま か さつ　　およ　　　もろもろ　び　く　　び　く　に　　 う　ば そく　　う　ば　い　　てん　りゅう　 や しゃ
の菩薩摩訶薩、及び　諸 の比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷・天・龍・夜叉・
けんだつ ば　　あ　しゅ ら　　か　る　ら　　きん な ら　 　ま　ご　ら　が　　にん　　ひ にんとう　いっさい　 しゅ　 まえ
乾闥婆・阿修羅・迦樓羅・緊那羅・摩羅伽・人・非人等の一切の衆の前に
おい　　　だいじんりき　 げん　　　　　　　　こうちようぜつ　いだ　　　　かみぼんぜ　　いた　　　　　　　いっさい　 もう く
於て、大神力を現じたもう。廣長舌を出して上梵世に至らしめ、一切の毛孔
　　　　むりょうむしゅしき　ひかり　はな　　　　　みな　ことごと　 あまね じゅっぼうせかい　 てら　　　　　　　　もろもろ
より無量無数色の光を放って、皆　悉く　く十方世界を照したもう。衆 の
ほうじゅげ　　し　し　ざじょう　しょぶつ　　またまたかく　ごと　　 こうちようぜつ　いだ　　　 む りょう ひかり　はな
寶樹下の師子座上の諸佛も亦復是の如く、廣長舌を出し、無量の光を放ちた

　　　　　しゃ か　む　に ぶつおよ　ほうじゅ げ　　しょぶつ　 じんりき　げん　　　　　　　ときひゃくせんざい　まん　　　しこう
もう。釈迦牟尼佛及び寶樹下の諸佛、神力を現じたもう時 百千歳を満ず。然
　　　のち　　かえ　　　　ぜつそう　おさ　　　　　いち じ　きょうがい　　　 と　も　　たん じ　　　　　　　　　　こ　　ふた
して後に還って舌相を摂めて、一時に謦し、倶共に弾指したもう。是の二
　　　おんじょう あまね じゅっぽう　しょぶつ　　せ かい　　いた　　　　　じ みなろくしゅ　しんどう　　　　そ　　なか　 しゅ
つの音聲、く十方の諸佛の世界に至って、地皆六種に震動す。其の中の衆
じょう てん　りゅう　　や しゃ　 けんだつ ば　　あ　しゅ ら　　か　る　ら　　きん な　ら　　ま　ご　ら　が　　にん　 ひ にん
生、天・龍・夜叉・乾闥婆・阿修羅・迦樓羅・緊那羅・摩羅伽・人・非人
とう　 ほとけ　じんりき　もっ　　　ゆえ　　　　みな こ　　しゃ ば せ かい　　むりょうむへんひゃくせんまんのく　もろもろ　ほう
等、佛の神力を以ての故に、皆此の娑婆世界の無量無邊 百千萬億の　衆の寶
じゅ げ　　し　し　ざじょう　しょぶつ　 み　　 およ　 しゃ か　む　に ぶつ　 た ほう にょらい　 とも　　ほうとう　うち　ましま
樹下の師子座上の諸佛を見、及び釈迦牟尼佛、多寶如來と共に寶塔の中に在
　　　　　　し　し　　ざ　　　ざ　　　　　　　　　　　み　　　　　　　　　　　また むりょうむへんひゃくせんまんのく　ぼ さつ
して、師子の座に坐したまえるを見たてまつり、又無量無辺 百千萬億の菩薩
ま　か さつ およ　もろもろ　し　しゅ　　　しゃ　か む に ぶつ　　く ぎょう　い にょう　　　　　　　　　　　　み　　　　すで
摩訶薩及び 諸 の四衆の、釈迦牟尼佛を恭敬し圍繞したてまつるを見る。既
　　こ　　　　　み おわ　　　　 みなおおい　かん き　　　　み　ぞ　う　　　　　　　　　　う　　そく じ　　しょてん　こ くう
に是れを見已って、皆大に歓喜して未曾有なることを得。即時に諸天、虚空
　　なか　おい　　こうしょう とな　　　　い　　　　　　こ　　むりょうむへんひゃくせんまんのくあそう ぎ　　　せ かい　　す
の中に於て高聲に唱えて言わく、此の無量無辺 百千萬億 阿僧祇の世界を過ぎ
　　　くに　　　　しゃ ば　　なづ　　　　こ　　なか　ほとけ　　　　　　　しゃ か む に　　なづ　　　　　　　　　　　　　いま
て、國あり娑婆と名く、是の中に佛います、釈迦牟尼と名けたてまつる。今
もろもろ　　ぼ さつ ま か さつ　　ため　　　だいじょうきょう みょうほうれんげ　　 きょうぼさつぽう　ぶっしょごねん　　なづ
諸　の菩薩摩訶薩の爲に、大乗経の　妙法蓮華・ 教菩薩法・佛所護念と名くる

　　と　　　　　　　　　なんだちまさ　 じんしん　　ずい き　　　　　　　またまさ　 しゃ か　む にぶつ　　らいはい　ぎょうよう
を説きたもう。汝等當に深心に随喜すべし。亦當に釈迦牟尼佛を禮拝し供養
　　　　　　　か　　もろもろ　 しゅじょう　こ くう　 なか　　こえ　　 き　　おわ　　　　　がっしょう　　しゃ ば せ かい
すベし。彼の 諸 の衆生、虚空の中の聲を聞き已って、合掌して娑婆世界に
むか　　　　　かく　 ごと　 ことば　 な　　　　　　な　む しゃ か　む　に ぶつ　　な　む しゃ か む に ぶつ　　　　しゅじゅ
向って、是の如き言を作さく、南無釈迦牟尼佛・南無釈迦牟尼佛と。種種の
け　　 こう　　ようらく　 ばんがいおよ　 　もろもろごんしん　 ぐ　　ちんぽう　みょうもつ　 もっ　　　 みなとも　　はる
華・香・瓔珞・旛葢及び　諸の嚴身の具・珍寶・妙物を以て、皆共に遙かに
しゃ ば　せ かい　 さん　　　しょさん　 しょもつじゅっぽう　　きた　　　　　　　たと　　　くも　　あつま　　 ごと　　　へん
娑婆世界に散ず。所散の諸物十方より來ること、譬えば雲の集るが如し。変
　　　ほうちょう　　　　　　　　あまね　 こ　あいだ　しょぶつ　 みうえ　 おお　　　 とき　じゅっぽうせかい　 つうだつ む げ
じて寶帳となって、く此の間の諸佛の上に覆う。時に十方世界、通達無礙
　　　　　いちぶつ ど　　ごと　　　　 そ　　とき　ほとけじょうぎょうとう ぼ さつ だいしゅ　つ　　　　　　　　　　　しょぶつ
にして一佛土の如し。爾の時に佛、上行等の菩薩大衆に告げたまわく、諸佛
　　じんりき　かく　　ごと　 むりょう む へん ふ か　し ぎ　　　　　　も　　　われ こ　　じんりき　もっ　　　むりょう むへん
の神力は是の如く無量無辺不可思議なり。若し我是の神力を以て、無量無辺
ひゃくせんまんのくあそうぎこう　　おい　　　ぞくるい　 ため　 ゆえ　　こ　　きょう　く どく　　と　　　　　　　　な　　　つ
百千萬億 阿僧祇劫に於て、属累の爲の故に此の経の功�ｺを説かんに、猶お尽
　　　　　　　あた　　　　　 よう　 もっ　 これ　　 い　　　　　　にょらい　いっさい　　しょ う　ほう　　にょらい　いっさい
くすこと能わじ。要を以て之を言わば、如來の一切の所有の法・如來の一切
　 じ ざい　　 じんりき　 にょらい　 いっさい　　ひよう　　ぞう　　にょらい　いっさい　じんじん　　 じ　　みな こ　　きょう
の自在の神力・如來の一切の秘要の藏・如來の一切の甚深の事・皆此の経に
おい　 せん じ けんぜつ　　　　こ　　ゆえ　なんだちにょらい　めつ ご　　おい　　　　 ま さ　　いっしん 　じゅ じ　　 どくじゅ
於て宣示顕説す。是の故に汝等如来の滅後に於て、應當に一心に受持・読誦

　　　　げ せつ　しょしゃ　　　せつ　 ごと　 しゅぎょう　　　　　　しょざい　　こく ど　　　　も　　　　じゅ じ　どくじゅ
し、解説･書写し、説の如く修行すべし。所在の国土に、若しは受持･読誦し、
げ せつ　　 しょしゃ　　　せつ　ごと　　しゅぎょう　　　も　　 きょうがんしょじゅう ところ　　　　　　も　　　　おんちゅう
解説・書写し、説の如く修行し、若しは経巻所住の處あらん。若しは園中に
おい　　　　　 も　　　　りんちゅう　おい　　　　　も　　　　じゅ げ　　 おい　　　　　 も　　　　そうぼう　　おい
於ても、若しは林中に於ても、若しは樹下に於ても、若しは僧房に於ても、
も　　　 びゃくえ　　 いえ　　　　　　　も　　　　でんどう　　 あ　　　　　　　　も　　　せんごく　　こう や
若しは白衣の舍にても、若しは殿堂に在っても、若しは山谷・曠野にても、
こ　　 なか　　みな とう　　た　　　ぎょうよう　　　　　　 ゆ　え　　いか　　　 まさ　　 し　　　　　　　 こ　 ところ　すなわ
是の中に皆塔を起てて供養すべし。所以は何ん、當に知るべし、是の處は即
　　こ　　どうじょう　　　　しょぶつここ　 おい　　 あ のくたらさんみゃくさんぼ だい　　え　　しょぶつここ　　おい　ほうりん
ち是れ道場なり。諸佛此に於て阿耨多羅三藐三菩提を得、諸佛此に於て法輪
　　てん　　　 しょぶつここ　おい　　はつ ねはん　　　　　　　　　そ　　 とき　 せ そん　 　かさ　　　 こ　　　ぎ　　 の
を轉じ、諸佛此に於て般涅槃したもう。爾の時に世尊、重ねて此の義を宣べ
　　　　ほっ　　　　　げ　　　と　　　 のたま
んと欲して、偈を説いて言わく
　　しょぶつ く せ しゃ　 だいじんづう　じゅう　　　　しゅじょう よろこ　　　　　　　　ため　　ゆえ　　　む りょう　 じんりき
　諸佛救世者　大神通に住して　衆生を悦ばしめんが爲の故に　無量の神力
　　　　げん　　　　　　　　ぜっそう ぼんでん　いた　　　　み　　　　　む しゅ　 ひかり はな　　　　　ぶつどう　　もと
　を現じたもう　舌相梵天に至り　 身より無数の光を放って　佛道を求むる
　　もの　 ため　　　　こ　　 け　う　　じ　　　げん　　　　　　　　しょぶつきょうがい みこえ およ　　たん じ　 こえ　 あまね
　者の爲に　此の希有の事を現じたもう　諸佛謦の聲　及び弾指の聲　周
　　　じゅっぽう　くに　 きこ　　　　　 じ みな ろくしゅ　どう　　　ほとけ　めつ ど　　のち　　　　よ　　 こ　　きょう　 たも
　く十方の国に聞えて　地皆六種に動ず　佛の滅度の後に　能く此の経を持

　　　　　　　もっ　　　ゆえ　　　　しょぶつみなかんぎ　　　　　 む りょう　じんりき　げん　　　　　　　　　 こ　 きょう
　たんを以ての故に　諸佛皆歓喜して　無量の神力を現じたもう　是の経を
　　ぞくるい　　　　　ゆえ　　　じゅ じ　　もの　 さんみ　　　　　　　　　　むりょうこう　なか　 おい　　　　　　　　　な
　属累せんが故に　受持の者を讃美すること　無量劫の中に於てすとも　猶
　　 お　つ　　　　　　　あた　　　　　　こ　　ひと　　く どく　　　 む へん　　　　　きわ
　故尽くすこと能わじ　是の人の功�ｺは　無邊にして窮まりあることなけん
　　　じゅっぽうこくう　　　 へんざい　　う　　　　　　　　　　　ごと　　　 よ　　 こ　　 きょう　 たも　　　もの　　　すなわ
　　十方虚空の　辺際を得べからざるが如し　能く是の経を持たん者は　則
　　　　 こ　　すで　　われ　み　 　また た ほうぶつ　　およ　もろもろ　ふんじんしゃ　み　　　また わ　　こんにち　きょうけ
　ち為れ已に我を見　亦多寶佛　及び 諸 の分身者を見　又我が今日　教化
　　　　　もろもろ　ぼさつ　　 　み　　　　　　　　よ　　こ　　きょう　たも　　　もの　　　　われ およ　ふんじん　 めつ ど
　せる 諸 の菩薩を見るなり　能く是の経を持たん者は　我及び分身　滅度
　　　　た ほうぶつ　　　　　　 いっさいみなかんぎ　　　　　　 じゅっぽうげんざい ほとけ ならび　　か　こ　　み らい　　また
　の多寶佛をして　一切皆歓喜せしめ　十方現在の佛　並に過去・未來　亦
　　　　み また　ぎょうよう　　 また　　かん ぎ　　　　　　　　　 え　　　　　　　　　しょぶつどうじょう　ざ　　　　　　え
　は見亦は供養し　亦は歓喜することを得せしめん　諸佛道場に坐して　得
　　　　　　　　ところ　　ひ よう　 ほう　　よ　　　こ　 きょう　 たも　　　もの　　　 ひさ　　　　　　　　　　　またまさ
　たまえる所の秘要の法　能く是の経を持たん者は　久しからずして亦當に
　　う　　　　　　 よ　　 こ　　 きょう　たも　　　もの　　　しょほう　　 ぎ　　みょうじおよ　ごん じ　　おい　　　 ぎょうせつ
　得べし　能く是の経を持たん者は　諸法の義　名字及び言辭に於て　楽説
　　ぐうじん　　　　　　　　 かぜ　くうちゅう　おい　　　いっさいしょうげ　　　　　ごと　　　　　　　　　にょらい　めつ ご
　窮尽なきこと　風の空中に於て　一切障礙なきが如くならん　如來の滅後
　　　　おい　　　ほとけ しょせつ　きょう　　　いんねんおよ　し だい　　　し　　　　　　ぎ　したが　　　じつ　　ごと　　と
　に於て　佛の所説の経の　因縁及び次第を知って　義に隨って實の如く説

　　　　　　　にちがつ　こうみょう　　　よ　 もろもろ　 ゆうみょう　のぞ　　　 ごと　　　 こ　　ひと せ けん　 ぎょう
　かん　日月の光明の　能く 諸 の幽冥を除くが如く　斯の人世間に行じて
　　　　よ　　しゅじょう やみ　 めっ　　　 むりょう　　ぼさつ　　　　　　　ひっきょう　　 いちじょう じゅう
　　能く衆生の闇を滅し　無量の菩薩をして　畢竟して一乗に住せしめん
　　こ　　ゆえ　　 ち　　　　　　もの　　こ　　く どく　　り　　 き　　　　　　わが　　めつ ど　　のち　おい　　　　こ
　是の故に智あらん者　此の功�ｺの利を聞いて　我が滅度の後に於て　斯の
　 きょう　じゅ じ　　　　　　　　こ　　ひと ぶつどう　おい　　　けつじょう　　 うたがい
　経を受持すべし　是の人佛道に於て　決定して 疑 あることなけん

南無先祖養道なむせんそぎょうようどう（三唱）

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　　妙法蓮華経観世音菩薩普門品かんぜおんぼさつふもんほん第二十五 (P357〜)

　　そ　　とき　　む じん に ぼ さつ　　すなわ　ざ　　　　 た　　　 ひとえ　みぎ　　かた　あらわ　　　　 がっしょう ほとけ　 むか
　爾の時に無盡意菩薩、即ち座より起って偏に右の肩を袒にし、合掌し佛に向
　　　　　　　　　　　　　　　こ　 ことば　 な　　　　　　せ そん　　かんぜ おん ぼさつ　　なん　　いんねん　もっ　　　かん
いたてまつりて、是の言を作さく、世尊、観世音菩薩は何の因縁を以てか観
ぜ　おん　 なづ　　　　　ほとけ　む じん に ぼ さつ　　 つ　　　　　　　　　　　 ぜんなんし　　 も　　むりょうひゃくせんまんのく
世音と名くる。佛、無盡意菩薩に告げたまわく、善男子、若し無量百千萬億
　 しゅじょう　　　もろもろ　 く のう　　う　　　　　　　　こ　　かん ぜ おん ぼ さつ　　き　　　　いっしん　　な　　しょう
の衆生あって諸の苦悩を受けんに、是の観世音菩薩を聞いて一心に名を稱
　　　　　かん ぜ おん ぼ さつ　　そく じ　　そ　　おんじょう　かん　　　　　みな げ だつ　　　　　　　　　 え
せば、観世音菩薩、即時に其の音聲を観じて、皆解脱することを得せしめん。
も　　　こ　　 かん ぜ おん ぼ さつ　　な　　たも　　　　　　　　　　もの　　　 たと　　だいか　　　い　　　　　　ひ　　や
若し是の観世音菩薩の名を持つことあらん者は、設い大火に入るとも火も焼
　　　　　 あた　　　　　　こ　　ぼさつ　　い じんりき　　 よ　　　　ゆえ　　　　も　　だいすい　ただよ
くこと能わじ、是の菩薩の威神力に由るが故に、若し大水に漂わされんに、
そ　 みょうごう　しょう　　　すなわ　あさ　ところ　 え　　　　も　　ひゃくせんまんのく しゅじょう　　　　こん　　ごん　　る
其の名號を稱せば即ち浅き處を得ん。若し百千萬億の衆生あって金・銀・瑠
り　　　しゃ こ　　め のう　　さん ご　　 こ はく　 しんじゅとう　たから　 もと　　　　　もっ　　だいかい　 い
璃・・碼碯・珊瑚・琥珀・真珠等の寶を求むるを爲て大海に入らんに、
たと い こくふう そ　　せんぼう　 ふ　　　　　　ら せつ き　　くに　ひょうだ　　　　　　 そ　　 なか　　も　　ない し いちにん
假使黒風其の船舫を吹いて、羅刹鬼の國に飄墮せん。其の中に若し乃至一人
　(P358〜359)
　　　　　かん ぜ おん ぼ さつ　　 な　　しょう　　　　 こ　　しょにん ら みな ら せつ　　なん　 げ だつ　　　　　　　　　 え
あって観世音菩薩の名を稱せば、是の諸人等皆羅刹の難を解脱することを得
　　　　こ　　いんねん　　もっ　 かんぜ おん　 なづ
ん。是の因縁を以て観世音と名く。
も　　またひと　　　　　　まさ　 がい　　　　　　　　　　 のぞ　　　　　 かん ぜ おん ぼ さつ　　な　しょう　　　　　か
若し復人あって當に害せらるべきに臨んで、観世音菩薩の名を稱せば、彼の
と　　　　ところ　とうじょう　つ　　　　だんだん　お　　　　　　げ だつ　　　　　　　　　　え　　　　 も　 さんぜんだいせん
執れる所の刀杖、尋いで段段に壊れて、解脱することを得ん。若し三千大千
こく ど　　なか　　み　　　　や しゃ　　ら せつきた　　　　　　ひと　なやま　　　　ほっ　　　　　　　　そ　 かん ぜ おん ぼ
国土に中に満てる夜叉・羅刹來って、人を悩さんと欲せんに、其の観世音菩
さつ　　な　　しょう　　　　　き　　　　　　こ　もろもろ　あっ き　　な　　あくげん　　もっ　これ　　み　　　　　　あた
薩の名を稱するを聞かば、是の諸の悪鬼、尚お悪眼を以て之を視ること能
　　　　　 いわ　　　 またがい　くわ
わじ、況んや復害を加えんや。
たと　 またひと　　　　　 も　　　　つみ　　　　　　も　　　　つみ　　　　　　 ちゅうかい　　か さ　そ　　 み　　 けん げ
設い復人あって若しは罪あリ、若しは罪なきに、械・枷鎖其の身を検繋せん。
かん ぜ おん ぼ さつ　　な　　しょう　　　　みなことごと だんね　　　　　すなわ　げだつ　　　　　　　　　　え　　　　も
観世音菩薩の名を稱せば、皆悉く断壌して、即ち解脱することを得ん。若
　 さんぜんだいせんこくど　　なか　　み　　　　おんぞく　　　　　　　　 ひと　　　しょうしゅ　　　 もろもろ しょうにん
し三千大千国土に中に満てる怨賊あらんに、一りの商主あって諸の商人を
ひき　　　じゅうほう　さいじ　　　　けんろ　　きょうか　　　　　 そ　　なか　 いちにん　こ　 しょうごん　 な　　　　　もろもろ　　
將い、重寶を齋持して険路を経過せん。其の中に一人是の唱言を作さん、諸
　　ぜんなんし　　く　ふ　　　　　　 う　　　　　　なか　　　なんだち ま さ　　いっしん　かん ぜ おん ぼ さつ　　みょうごう
の善男子、恐怖するを得ること勿れ。汝等應當に一心に観世音菩薩の名號を

しょう　　　　　　こ　　 ぼさつ　　 よ　　　む　い　　もっ　　しゅじょう ほどこ　　　　　　　 なんだち も　　みな　 しょう
稱すべし。是の菩薩は能く無畏を以て衆生に施したもう。汝等若し名を稱せ
　　　　こ　　おんぞく　　おい　まさ　　げだつ　　　　　　　　　　う　　　　 もろもろ しょうにん き　　　とも　　こえ
ば、此の怨賊に於て當に解脱することを得べし。衆の商人聞いて倶に聲を
ほっ　　　　　　な む かん ぜ おん ぼ さつ　　い　　　　　　そ　　　な　 しょう　　　　 ゆえ　すなわ　　げだつ
發して、南無観世音菩薩と言わん。其の名を稱するが故に即ち解脱すること
　　え　　　　 む じん に　　かん ぜ おん ぼ さつ ま か さつ　　い じん　ちから ぎ ぎ　　　　　　　　かく　　ごと
を得ん。無盡意、観世音菩薩摩訶薩は威神の力巍巍たること是の如し。
も　　しゅじょう　　　　 いんよくおお　　　　　　　　つね　　ねん　　　 かん ぜ おん ぼ さつ　 くぎょう　　　　　すなわ　よく
若し衆生あって婬欲多からんに、常に念じて観世音菩薩を恭敬せば、便ち欲
　　はな　　　　　　　　　え　　　　も　　しん に おお　　　　　　　　　つね　　ねん　　　かん ぜ おん ぼ さつ　　くぎょう
を離るることを得ん。若し瞋恚多からんに、常に念じて観世音菩薩を恭敬せ
　　　すなわ　しん　　はな　　　　　　　　　え　　　　も　　　ぐ ち おお　　　　　　　　　つね　　ねん　　　かんぜ おん ぼ
ば、便ち瞋を離るることを得ん。若し愚癡多からんに、常に念じて観世音菩
さつ　　くぎょう　　　　すなわ　 ち　　はな　　　　　　　　　 え　　　　 む じん に　　かん ぜ おん ぼ さつ　　かく　 ごと
薩を恭敬せば、便ち癡を離るることを得ん。無盡意、観世音菩薩は是の如き
ら　　 だい いじんりき　　　　　　 にょうやく　　ところおお　　　 こ　　ゆえ　しゅじょうつね　こころ　ねん
等の大威神力あって、饒益する所多し。是の故に衆生常に心に念ずべし。
も　　にょにん　　　　　たと　　なん　　もと　　　　　ほっ　　　かん ぜ おん ぼ さつ　らいはい　ぎょうよう　　　　　すなわ
若し女人あって設い男を求めんと欲し、観世音菩薩を禮拝し供養せば、便ち
ふくとく　 ち　え　　なん　　う　　　　　　たと　 にょ　　もと　　　　　ほっ　　　　　すなわ たんじょううそう　にょ　 むかし
福�ｺ・智慧の男を生まん。設い女を求めんと欲せば、便ち端正有相の女の宿
とくほん　う　　　　しゅにん　　あいきょう　　　　　　　　う　　　　　　む じんに　　かん ぜ おん ぼ さつ　　かく　ごと
�ｺ本を植えて衆人に愛敬せらるるを生まん。無盡意、観世音菩薩は是の如き
　(P360〜361)
ちから　　　　 も　 しゅじょう　　　　　かん ぜ おん ぼ さつ　 くぎょうらいはい　　　　　ふくとうえん　　　　　　 こ　　ゆえ
力あり。若し衆生あって観世音菩薩を恭敬禮拝せば、福唐捐ならじ。是の故
　 しゅじょうみなかんぜおんぼさつ　みょうごう　じゅ じ　　　　　　　 む じん に　　　も　　ひと　　　　　ろくじゅうにおくごう
に衆生皆観世音菩薩の名號を受持すべし。無盡意、若し人あって六十二億恒
がしゃ　　　ぼさつ　 みょうじ　　じゅじ　　　　またかたち　つ　　　　　　　おんじき　　 え ぶく　　が ぐ　　 い やく　 ぎょう
河沙の菩薩の名字を受持し、復形を尽くすまで飲食・衣服・臥具・醫薬を供
よう　　　　　なんじ こころ　おい　　い かん　　こ　　ぜんなんし　　ぜんにょにん　　く どくおお　　　いな　　　 む じん に
養せん。汝が意に於て云何、是の善男子・善女人の功�ｺ多しや不や。無盡意
　　もう　　　　　はなは　おお　　　 せそん　 ほとけ　のたま　　　　　も　　またひと　　　　　かん ぜ おん ぼ さつ みょうごう
の言さく、甚だ多し、世尊。佛の言わく、若し復人あって観世音菩薩の名號
　　じゅじ　　　　ないし いちじ　　らいはい　 ぎょうよう　　　　　こ　　に にん　　ふく　しょうとう　　　　 ことな
を受持し、乃至一時も禮拝し供養せん、是の二人の福、正等にして異ること
　　　　　　 ひゃくせんまんのくこう おい　　　 きわ　　つ　　　　　　　　　　　　　む じん に　　かん ぜ おん ぼ さつ　みょう
なけん、百千萬億劫に於ても窮め尽くすべからず。無盡意、観世音菩薩の名
ごう　　じゅじ　　　　　　かく　ごと　　むりょうむへん　 ふくとく　　り　　え
號を受持せば、是の如き無量無邊の福�ｺの利を得ん。
む じん に ぼ さつ　 ほとけ　もう　　　　もう　　　　　せ そん　　かん ぜ おん ぼ さつ　　いかに　　　　　　こ　　しゃ ば せ
無盡意菩薩、佛に白して言さく、世尊、観世音菩薩は云何してか此の娑婆世
かい　　あそ　　　いかに　　　　　しゅじょう　ため　　ほう　　と　　　　ほうべん　ちからそ　　じ いかん　 ほとけ　　む じん
界に遊び、云何してか衆生の爲に法を説く、方便の力其の事云何。佛、無盡
に ぼ さつ　　 つ　　　　　　　　　　　　ぜんなんし　　も　　こく ど　 しゅじょう　　　　　ぶっしん　 もっ　　とくど
意菩薩に告げたまわく、善男子、若し国土の衆生あって佛身を以て得度すべ
　　もの　　　　　かん ぜ おん ぼさつすなわ ぶっしん　 げん　　　 ため　　ほう　　と　　　びゃくしぶつ　　み　　もっ　　とく
き者には、観世音菩薩即ち佛身を現じて爲に法を説き、辟支佛の身を以て得

ど　　　　　　 もの　　　　 すなわ　びゃくしぶつ　　み　　げん　　　ため　　ほう　　と　　　しょうもん　　み　　もっ　 とく
度すべき者には、即ち辟支佛の身を現じて爲に法を説き、聲聞の身を以て得
ど　　　　　　もの　　　　　すなわ しょうもん　み　　 げん　　　ため　　ほう　　と　　　　ぼんのう　　み　　もっ　　とくど
度すべき者には、即ち聲聞の身を現じて爲に法を説き、梵王の身を以て得度
　　　　　 もの　　　　　すなわ　ぼんのう　 み　　 げん　　　ため　　ほう　　と　　　　たいしゃく　み　　もっ　　とくど
すべき者には、即ち梵王の身を現じて爲に法を説き、帝釈の身を以て得度す
　　　 もの　　　　　すなわ たいしゃく　 み　　げん　　　 ため　　ほう　　と　　　　じざいてん　　 み　　もっ　　とくど
べき者には、即ち帝釈の身を現じて爲に法を説き、自在天の身を以て得度す
　　　　もの　　　　すなわ　 じ ざいてん　　み　　 げん　　　 ため　　ほう　　と　　　　だいじざいてん　　み　　もっ　　とく
べき者には、即ち自在天の身を現じて為に法を説き、大自在天の身を以て得
ど　　　　　　 もの　　　　 すなわ　だいじざいてん　　 み　　 げん　　　 ため　　ほう　　と　　　 てんだいしょうぐん　み
度すべき者には、即ち大自在天の身を現じて爲に法を説き、天大将軍の身を
もっ　　とくど　　　　　　もの　　　　すなわ　てんだいしょうぐん　み　　げん　　　 ため　 ほう　　と　　　　びしゃもん
以て得度すべき者には、即ち天大將軍の身を現じて為に法を説き、沙門の
み　　 もっ　　 とくど　　　　　 もの　　　　　すなわ　びしゃもん　　み　　げん　　　　ため　 ほう　　と　　　 しょうおう
身を以て得度すべき者には、即ち沙門の身を現じて爲に法を説き、小王の
み　　 もっ　　とくど　　　　　　もの　　　　 すなわ しょうおう　　み　　げん　　　ため　 ほう　　　　　　　ちょうじゃ　 み
身を以て得度すべき者には、即ち小王の身を現じて爲に法をとき、長者の身
　 もっ　　とくど　　　　　　もの　　　　　すなわ ちょうじゃ　み　　げん　　　 ため　　ほう　　と　　　　こ　じ　　　み
を以て得度すべき者には、即ち長者の身を現じて爲に法を説き、居士の身を
もっ　 とくど　　　　　　もの　　　　　すなわ　 こ　じ　 　み　　げん　　　ため　　ほう　　と　　　　さいかん　 　み　　もっ
以て得度すべき者には、即ち居士の身を現じて爲に法を説き、宰官の身を以
　　とくど　　　　　 もの　　　　　すなわ　さいかん　　み　　げん　　　ため　　ほう　　と　　　　 ば ら もん　　 み　　もっ
て得度すべき者には、即ち宰官の身を現じて爲に法を説き、婆羅門の身を以
　(P362〜363)
　　とくど　　　　　 もの　　　　　すなわ　 ば ら もん　　 み　　 げん　　　ため　　ほう　　と　　　　び　く　　 び　く　に
て得度すべき者には、即ち婆羅門の身を現じて為に法を説き、比丘・比丘尼・
う　ば そく　　う　ば　い　　 み　　もっ　　とくど　　　　　　もの　　　　すなわ　　び　く　　び　く　に　　う　ば そく
優婆塞・優婆夷の身を以て得度すべき者には、即ち比丘・比丘尼・優婆塞・
う　ば　い　　 み　　 げん　　　ため　　ほう　　と　　　 ちょうじゃ　こ　じ　　 さいかん　 ば　ら もん　　ぶ にょ　　み
優婆夷の身を現じて爲に法を説き、長者・居土・宰官・婆羅門の婦女の身を
もっ　 とくど　　　　　　もの　　　　　すなわ　ぶ にょ　　 み　　げん　　　 ため　　ほう　　と　　　　どうなん　どうにょ
以て得度すべき者には、即ち婦女の身を現じて爲に法を説き、童男・童女の
み　　 もっ　　　 とくど　　　　　　もの　　　　 すなわ　 どうなん　 どうにょ　　み　　 げん　　　 ため　 ほう　　と
身を以って得度すべき者には、即ち童男・童女の身を現じて爲に法を説き、
てん　 りゅう　やしゃ　　けんだっば　 　あ しゅ ら　　 か　る　ら　 　きん な ら　 　ま　ご　ら　が　　にん　　ひにんとう
天・龍・夜叉・乾闥婆・阿修羅・迦樓羅・緊那羅・摩羅伽・人・非人等の
み　　 もっ　　とくど　　　　　　もの　　　　 すなわ　みなこれ　　げん　　　ため　 ほう　　と　　　しゅうこんごうじん　もっ
身を以て得度すべき者には、即ち皆之を現じて爲に法を説き、執金剛神を以
　 とくど　　　　　　もの　　　　 すなわ　しゅうこんごうじん　げん　　　ため　 ほう　　と　　　　 む じん に　　　こ　　かん
て得度すべき者には、即ち執金剛神を現じて爲に法を説く。無盡意、是の観
ぜ おん ぼ さつ　　かく　 ごと　　くどく　じょうじゅ　　　　 しゅじゅ　かたち　もっ　もろもろ こくど　　あそ
世音菩薩は是の如き功�ｺを成就して、種種の形を以て諸の国土に遊んで、
しゅじょう　どだつ　　　　こ　　ゆえ　 なんだち　　ま　さ　　いっしん　 かん ぜ おん ぼ さつ　ぎょうよう　　　　　　 こ
衆生を度脱す。是の故に汝等、應當に一心に観世音菩薩を供養すべし。是の
かん ぜ おん ぼ さつ ま か さつ　　　　ふ いきゅうなん　 なか　 おい　　よ　　 む　い　 ほどこ　　　 こ　　ゆえ　　こ　　 しゃ
観世音菩薩摩訶薩は、怖畏急難の中に於て能く無畏を施す。是の故に此の娑
ば　せ かい　　　みなこれ　 ごう　　　　せ　む　いしゃ　　　　　　む じん に ぼ さつ　 ほとけ　 もう　　　もう　　　　　　せ
婆世界に、皆之を號して施無畏者とす。無盡意菩薩、佛に白して言さく、世

そん　 われいままさ　 かん ぜ おん ぼ さつ　 ぎょうよう　　　　　 すなわ　くび　 しゅほうじゅ　 ようらく　 けじきひゃくせんりょう
尊、我今當に観世音菩薩を供養すべし。即ち頸の衆寶珠の瓔珞の價直百千両
こん　　　　　 と　　　　もっ　 これ　　あた　　　　こ　ことぱ　 な　　　　　　にんしゃ　　こ　　 ほうせ　　ちんぽう　 よう
金なるを解いて以て之を與え、是の言を作さく、仁者、是の法施の珍寶の瓔
らく　　う　　　　　　　　　とき　　かん ぜ おん ぼ さつあえ　これ　　う　　　　　　む じん に　　またかん ぜ おん ぼ さつ
珞を受けたまえ。時に観世音菩薩肯て之を受けず。無盡意、復観世音菩薩に
もう　　　 もう　　　　　 にんしゃ　 われら　　あわれ　　 ゆえ　　こ　　ようらく　　う　　　　　　　　　　そ　　とき　ほとけ
白して言さく、仁者、我等を愍むが故に此の瓔珞を受けたまえ、爾の時に佛、
かん ぜ おん ぼ さつ　　つ　　　　　　　　　　　まさ　　こ　　 む じん に ぼ さつおよ　　ししゅ　　 てん　りゅう　 やしゃ
観世音菩薩に告げたまわく、當に此の無盡意菩薩及び四衆・天・龍・夜叉・
けんだっば　 　あ しゅ ら　　 か　る　ら　 　きん な ら　 　ま　ご　ら　が　　にん　　ひにんとう　 あわれ　　　ゆえ　 こ　　よう
乾闥婆・阿修羅・迦樓羅・緊那羅・摩羅伽・人・非人等を愍むが故に是の瓔
らく　　う　　　　　　　　そくじ　 かん ぜ おん ぼ さつ　もろもろ　ししゅ およ　 てん　りゅう　 にん　 ひにんとう　 あわれ
珞を受くべし。即時に観世音菩薩、諸の四衆及び天・龍・人・非人等を愍ん
　　そ　 　ようらく　 う　　　　わか　　　　に ぶん　　な　　　　いちぶん　 しゃ か　む に ぶつ　たてまつ　　いちぶん
で其の瓔珞を受け、分って二分と作して一分は釈迦牟尼佛に奉り、一分は
たほうぶっとう　たてまつ　　　む じん に　 かん ぜ おん ぼ さつ　　かく　 ごと　　じざいじんりき　　　　　しゃ ば せ かい
多寶佛塔に奉る。無盡意、観世音菩薩は是の如き自在神力あって娑婆世界
　　あそ　　　 そ　　とき　　む じん に ぼ さつ　　　げ　　もっ　　と　　　　もう
に遊ぶ。爾の時に無盡意菩薩、偈を以て問うて曰さく
　　せそん　 みょうそうそな　　　　　　　　　　　 われいまかさ　　　　か　　　　と　　　　　　　　　　　　　ぶっし なん
　世尊は妙相具わりたまえり　我今重ねて彼れを問いたてまつる　佛子何の
　 いんねん　　　　　　　　　なづ　　　かん ぜ おん　　　　　　　みょうそう　ぐそく　　　　　　　　　そん　　げ
　因縁あってか　名けて観世音とする　妙相を具足したまえる尊　偈をもっ
　(P364〜365)
　　　　む じん に　　こた　　　　　　　　　 なんじかんのん　ぎょう　 き　　　　 よ　もろもろ　ほうしょ　おう
　て無盡意に答えたまわく　汝観音の行を聴け　善く諸の方所に應ずる
　 ぐぜい　 ふか　　　　　　　 うみ　 ごと　　　 こう　 　ふ　　　　　し　ぎ　　　　　 た せんのく　ほとけ　つか　　　　　だい
　弘誓の深きこと　海の如し　劫をとも思議せじ　多千億の佛に侍えて　大
しょうじょう　 がん　 おこ　　　　　われなんじ ため　 りゃく　　　と　　　　　　 な　　 き　　およ　　 み　　 み　　こころ
　清浄の願を發せり　我汝が爲に略して説かん　名を聞き及び身を見　心に
　　ねん　　　 むな　　　 す　　　　　　　　　　よ　　しょ う　　 く　　めっ　　　　たといがい　こころ　 おこ　　　　　おおい
　念じて空しく過ぎざれば　能く諸有の苦を滅す　假使害の意を興して　大
　　　　　かきょう　　お　　おと　　　　　　　　　か　　かんのん　 ちから　 ねん　　　　　かきょうへん　　　いけ　　な
　なる火坑に推し落されんに　彼の観音の力を念ぜば　火坑変じて池と成ら
　　　　　あるい　 こかい　 ひょうる　　　　　りゅう　　ご　　しょき　　なん　　　　　　　　　か　　かんのん　 ちから　 ねん
　ん　或は巨海に漂流して　龍・魚・諸鬼の難あらんに　彼の観音の力を念ぜ
　　　　　は ろう　　もっ　　　　　　　あた　　　　 あるい　 しゅみ　　 みね　　あ　　　　　　ひと　　お　　 おと
　ば　波浪も没すること能わじ　或は須彌の峯に在って　人に推し堕されん
　　　　　 か　　かんのん　 ちから　 ねん　　　　　 ひ　　ごと　　　　　　　 こくう　 じゅう　　　　 あるい　 あくにん　　お
　に　彼の観音の力を念ぜば　日の如くにして虚空に住せん　或は悪人に逐
　　　　　　　　　こんごうせん　　　だ らく　　　　　　　 か　　かんのん　 ちから　 ねん　　　　　いちもう　　　そん
　われて　金剛山より堕落せんに　彼の観音の力を念ぜば　一毛をも損ずる
　　　　　あた　　　　　あるい　 おんぞく　 かこ　　　 おのおのつるぎ　と　　　　がい　 くわ　　　　　　あ
　こと能わじ　或は怨賊の繞んで　各 刀を執って害を加うるに値わんに　
　　か　　かんのん　 ちから　 ねん　　　 ことごと すなわ　じしん　　 おこ　　　　 あるい　 おうなん　　く　　 お
　彼の観音の力を念ぜば　咸く即ち慈心を起さん　或は王難の苦に遭うて
　　　 つみ　　　　　　　　 のぞ　　　いのちおわ　　　　　ほっ　　　　　　　か　　かんのん　 ちから　 ねん　　　　 つるぎつ
　　刑せらるるに臨んで壽終らんと欲せんに　彼の観音の力を念ぜば　刀尋

　　　　　だんだん　　お　　　　　　　あるい　 か　さ　 しゅうきん　　　　　　　　 しゅそく　 ちゅうかい　こうむ
　いで段段に壊れなん　或は枷鎖に囚禁せられて　手足に械を被らんに
　 か　　かんのん　ちから　 ねん　　　　しゃくねん　　　　　げだつ　　　　　　　　　　え　　　 しゅそもろもろ どくやく
　彼の観音の力を念ぜば　釈然として解脱することを得ん　呪誼諸の毒薬
　　　　　　み　　がい　　　　　ほっ　　　　　　　もの　　か　 かんのん　 ちから　 ねん　　　　　かえ　　　ほんにん　　つ
　に　身を害せんと欲せられん者　彼の観音の力を念ぜば　還って本人に著
　　　　　　　　　あるい　あくらせつ　 どくりゅう　しょきとう　　 あ　　　　　　　　か　 かんのん　ちから　 ねん
　きなん　或は悪羅刹　毒龍・諸鬼等に遇わんに　彼の観音の力を念ぜば
　　とき ことごと　　 あえ　　がい　　　　　も　　　あくじゅういにょう　　　　　と　　 げそう　　おそ　　　　　　　　　か
　時に悉　く敢て害せじ　若しは悪獣圍繞して　利き牙爪の怖るべきに　彼
　　　かんのん　ちから　 ねん　　　　　　と　　むへん　　ほう　　はし　　　　　　　がんじゃおよ　ふっかつ　　けどくえんか
　の観音の力を念ぜば　疾く無邊の方に走りなん　蛇及び蝮蠍　氣毒煙火
　　　　も　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 か　　かんのん　ちから　 ねん　　　　　 こえ　　つ　　　おのずか かえ
　の燃ゆるがごとくならんに　彼の観音の力を念ぜば　聲に尋いで自ら回
　　　　さ　　　　　　うんらいくせいでん　　　あられ　 ふ　　　おおい　　　あめ　　そそ　　　　　　　　か　 かんのん　ちから
　り去らん　雲雷鼓掣電し　雹を降らし大なる雨をがんに　彼の観音の力
　　　 ねん　　　　　とき　　おう　　 しょうさん　　　　　　　　　え　　　しゅじょうこんやく こうむ　　　　　むりょう　 く
　を念ぜば　時に應じて消散することを得ん　衆生困厄を被って　無量の苦
　　 み　　 せ　　　　　　　かんのんみょうち　ちから　　よ　　せ けん　　 く　　すく　　　じんづうりき　　ぐそく　　　　ひろ
　身を逼めんに　観音妙智の力　能く世間の苦を救う　神通力を具足し　廣
　　　　ち　　ほうべん　しゅう　　　　じゅっぽう もろもろ こくど　　　　くに　　　　　　み　 げん
　く智の方便を修して　十方の諸の国土に　刹として身を現ぜざることな
　　　　　しゅじゅ もろもろ　あくしゅ　 じごく　　 き　 ちくしょう　しょう　ろう　びょう　　し　　 く　　 もっ　ようや ことごと
　し　種種の諸の悪趣　地獄・鬼・畜生　生・老・病・死の苦　以て漸く悉く
　(P366〜)
　　めっ　　　　　　 しんかん しょうじょうかん　こうだいち え かん　　ひかんおよ　　じ かん　　　　　 つね　 ねが　　つね
　滅せしむ　真観・清浄観　廣大智慧観　悲観及び慈観あり　常に願い常に
　　せんごう　　　　　　 むくしょうじょう ひかり　　　　　　　えにちもろもろ やみ　 は　　　　 よ　　さい　　ふうか
　瞻仰すべし　無垢清浄の光あって　慧日諸の闇を破し　能く炎の風火を
　　ぶく　　　　あまね　あきら　　　せ けん　　て　　　　　　ひ たい　 かいらいしん　　　　　　　　　じ　い　 みょうだいうん
　伏して　普く明かに世間を照らす　悲體の戒雷震のごとく　慈意の妙大雲
　　　　　　　　　　　かんろ　　 ほうう　　そそ　　　 ぼんのう　ほのお　 めつじょ　　　　　じょうしょう　　かんしょ　　へ　　ぐん
　のごとく　甘露の法雨をぎ　煩悩のを滅除す　 　諍訟して官處を経　軍
　　じん　なか　　ふ　い　　　　　　　　か　　かんのん　ちから　 ねん　　　　もろもろ あだことごと たいさん
　陣の中に怖畏せんに　彼の観音の力を念ぜば　衆の怨 悉く退散せん
　みょうおんかんぜおん ぼんのんかいちょうおん しょうひ せけんのん　　　　　　こ　　 ゆえ　すべか　　 つね　　ねん
　妙音観世音　梵音海潮音　勝彼世間音あり　是の故に須らく常に念ずべし
　　　ねんねん　うたがい しょう　　　　　　　　　　　　　かんぜおんじょうしょう　　く のう　　し やく　　おい　　　　よ
　　念念に疑を生ずることなかれ　観世音浄聖は　苦悩・死厄に於て　能
　　　 ため　　え　こ　　 な　　　　　 いっさい　　く どく　　ぐ　　　　　　じ げん　　　　　　　しゅじょう　み　　　　ふく
　く為に依怙と作れり　一切の功�ｺを具して　慈眼をもって衆生を視る　福
　　じゅ　うみ むりょう　　　　　こ　　ゆえ　ちょうらい
　聚の海無量なり　是の故に頂禮すべし
そ　　とき　　 じ　ぢ ぼさつ　　すなわ　 ざ　　　　た　　　　　　すす　　　ほとけ　もう　　　もう　　　　　　せ そん　　も
爾の時に持地菩薩、即ち座より起って、前んで佛に白して言さく、世尊、若
　しゅじょう　　　　　こ　 　かん ぜ おん ぼ さつぼん　 じざい　　ごう　　 ふ もん じ げん　じんづうりき　　き　　　　もの
し衆生あって是の観世音菩薩品の自在の業・普門示現の神通力を聞かん者は、
まさ　　し　　　　　　　　こ　　ひと　　くどくすくな　　　　　 ほとけ　 こ　　 ふ もんぼん　　 と　　　　　　　とき　　しゅ
當に知るべし、是の人の功�ｺ少からじ。佛、是の普門品を説きたもう時、衆
ちゅう はちまん　　　　　しゅじょう みなむ とうとう　　あ のく た ら さんみゃくさんぼだい　こころ　おこ
中の八萬四千の衆生、皆無等等の阿耨多羅三藐三菩提の心を發しき。

南無先祖養道なむせんそぎょうようどう（三唱）

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　　念願の仕方（２）、（外出時の場合）

　南無なーむ、南無、南無
　南無先祖養道なむせんそぎょうようどう(三唱)
　我われ今大乗方等経典甚深いまだいじょうほうとうきょうてんじんじんの妙義みょうぎに依よって、
　佛よみに南無なむし、
　法ほうに南無し、
　大士だいじに南無したてまつる。(三唱)
　南無先祖養道(三唱)
☆　○○ ○○当とう○才の情緒不安定じょうちょふあんてい、並ならびに不規則ふきそくな生活、並びに○○学校不登校に関交かんこうする悪業障あくごうしょう因縁一切いんねんいっさいの諸精霊しょしょうれい、大慈大悲真實義浄妙�ｺ発起菩提心だいじだいひしんじつぎじょうみょうとくほっきぼだいしん、何なにとぞ速すみやかに御成仏ごじょうぶつおんなさしめ給たまえ。
　南無先祖養道(三百回以上熱心に唱える。三百回で十分程度です。)

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