☆無量義経十功德品第三
『仏の言(のたま)わく。善男子、第一に、是の経は能(よ)く菩薩の未(いま)だ発心せざる者をして菩提心を発(おこ)さしめ、慈仁(じにん)なき者には慈心を起こさしめ、
殺戮(せつりく)を好む者には大悲の心を起こさしめ、
嫉妬(しっと)を生ずる者には随喜(ずいき)の心を起こさしめ、
愛著ある者には能捨(のうしゃ)の心を起こさしめ、
諸(もろもろ)の慳貪(けんどん)の者には布施の心を起こさしめ、
慢(きょうまん)多き者には持戒の心を起こさしめ、瞋恚(しんに)盛んなる者には忍辱(にんにく)の心を起こさしめ、
懈怠(けだい)を生ずる者には精進の心を起こさしめ、
諸の散乱の者には禅定(ぜんじょう)の心を起こさしめ、
愚癡(ぐち)多き者には智慧の心を起こさしめ、
未だ彼を度すること能(あた)わざる者には彼を度する心を起こさしめ、
十悪を行ずる者には十善の心を起こさしめ、
有為を楽(ねが)う者には無為の心を志さしめ、
退心ある者には不退の心を作さしめ、
有漏(うろ)を為す者には無漏の心を起こさしめ、
煩悩多き者には除滅の心を起こさしむ。
善男子、是れを是の経の第一の功德不思議の力と名づく。』
注 釈
☆ 慈仁（じにん）…なさけ深いこと。
☆ 慈心（じしん）…なさけ深い心。慈愛の心。慈悲の心。
☆ 大悲（だいひ）…衆生の苦しみを救う仏の広大な慈悲。菩薩にもいう。
☆ 随喜（ずいき）…他人のなす善を見て、これに従い、喜びの心を生ずる事。
☆ 愛著（あいじゃく）…愛情に執着すること。人や物に心がとらわれて、どうしても思い切れないこと。
☆ 慳貪（けんどん）…「慳」は物惜しみをすること、「貪」はむさぼること。
☆
慢（きょうまん）…偉ぶって人を見くだすこと。おごりたかぶったさま。☆ 瞋恚（しんに）…怒りうらむこと。
☆ 忍辱（にんにく）…外からの種々の侮辱や迫害を耐えしのんで、心を動かさないこと。
☆ 懈怠（けだい）…善を修する積極性がなく、また、悪は進んで行なう心の状態。精進に対していう。
☆ 散乱（さんらん）…煩悩のために心が落ち着かないで、不安定であること。
☆ 禅定（ぜんじょう）…心を一点に集中し、雑念を退け、絶対の境地に達するための瞑想。
☆ 愚癡（ぐち）…愚かで思い迷い、ものの理非のわからないこと。
☆ 智慧（ちえ）…物事の道理を悟り、是非・善悪をわきまえる心のはたらき。
☆ 度する…菩提心を起こさせる。
☆ 十悪（じゅうあく）…身・口・意の三業（さんごう）が作る十種の罪悪。すなわち、
殺生・偸盗・邪淫の「身三」、妄語・両舌・悪口・綺語の「口四」、貪欲・瞋恚・邪見の「意三」の総称。
☆ 十善（じゅうぜん）…十悪を犯さないこと。
☆ 退心（たいしん）…消極的な気持。
☆ 不退（ふたい）…堅く信じて屈しないこと。不退転。
☆ 有漏（うろ）…煩悩のあること。
☆ 無漏（むろ）…「漏」は煩悩の意。煩悩を離れたこと。また、その境地。
☆ 煩悩（ぼんのう）…心を煩わし、身を悩ます心の働き。
☆ 殺戮（せつりく）…多くの人を殺すこと。むごたらしい殺し方をする事。
☆ 十善（じゅうぜん）…十悪を犯さないこと。不殺生・不偸盗・不邪淫・不妄語・不綺語・不悪口・不両舌・不貪欲・不瞋恚・不邪見の十種の善をいう。
☆ 有為（うい）…直接、間接の諸条件、因、縁の和合によって作られている恒常でないもの。
☆ 無為（むい）…因縁によって作られたものでなく、生滅変化を離れたもの。常住絶対の真実。
２、大御宝塔建立
☆信仰には法統が大切…無学大士は日蓮聖人のご再誕
南無東方善德仏。
光明は東方より、
東方光明の始現地、
千葉県九十九里の浜
濁世末法の人類救済の
大御宝塔を、
先師の聖旨を相承して、
是の東方の聖地に建立す。
維時昭和三十二年一月二十日也。（現在の御宝塔は一九八五年に建立されたもので、大白法塔ともいいます。）
３、贖命重宝鈔(寺泊御書)に云く…ただ無上道を惜しむ
☆無学大士から台学大士へ
「法華経は三世説法の儀式なり。過去の不軽品は今の勧持品、今の勧持品は過去の不軽品也。今の勧持品は未来の不軽品たるべし。其の時日蓮は即ち不軽菩薩たるべし」と。
即ち、常不軽無学大菩薩は、明治三十八年に出現され、濁悪末世の人類救済の行法、先祖ぎょう養道を創始、身を挺して、獅子吼行践され、大正七年十月三十一日入寂された。宝算七十年即ち後学の我等「如是三説、三宝帰依、血脈相承」の所以である。
注 釈
☆不軽品…妙法蓮華経常不軽菩薩品第二十のこと。常不軽という菩薩が、「我あえて汝等を軽しめず、なんだち皆まさに作佛すべきが故に」といって、大勢の人々を礼拝して歩いた。
この菩薩は、人々から悪口を言われ、棒や石で叩かれながらも礼拝を行じた。終には、眼、耳、鼻、舌、身、意の六根清浄を得て、寿命を増し、広く人のためにこの法華経を説いた。
そして、かってこの菩薩をいじめた人々を信伏随従せしめた。その功德によって釈迦牟尼仏となることができた。又、かって菩薩を迫害した人々はその因縁で、現在、仏の弟子となって仏に随順している、というような意味のことが説かれています。
☆勧持品…妙法蓮華経勧持品第十三のこと。薬王菩薩を初めとする大勢の菩薩が、佛前において、「佛の滅後に法華経を奉持し、読誦し、説きたてまつるべし」と誓願している経文で、佛の滅後の濁劫悪世には広く法華経を説こうとすると、人々が悪口罵詈し、刀杖を加えるようなことがあるでしょうが、我等はこの諸々の難事を忍んでいきます、と誓っています。「我身命を愛せず、但無上道を惜しむ」ということが説かれています。
勧持品というのはいわば誓いの言葉で、不軽品はその実践した内容です。不軽の行(人間礼拝)を行ずれば、非常に長い間の後に、釈迦牟尼仏になれるという訳です。
日蓮聖人の時代は勧持品の説相が現れていて、非常な迫害にあってきたわけですが、時代が過ぎて、不軽品の説相が現れる時に再び生まれ変わってきて、不軽菩薩として法華経を実践するということで、その行跡から無学大士こそ日蓮聖人の御再誕というわけです。
法華経を持っても血脈法統がなければ、仏の因行果德は流れてきませんが、浄妙教団には、釈尊～日蓮聖人～無学大士～台学大士と続く法統が有りますので、功德が現れます。(因行果德について以上は方便)
真実はおのれ自身の因行果德…自分の業の深いことを知って、一生懸命人を救うとか、法を施すとか、恵みをするとか、助け合いするとか、法を施すとか、これは行の德でしょ。行がないのに德がありうるか。これがもとになって果德が出てきているわけだ。
４、無学大士の行跡を理論的に裏付けた録学大士…恩師も信仰の確信を得る
☆観普賢院常不軽録学大士 御遺文（御俗名…中田
郎）
仏法の回転は時代の回転にしたがう「資生産業の道、皆正法に順ぜんという詞が法華経にあるがために、法華経と人間の生活とは不二一体である、と説くのはいけない。それは旧式の説き方である．末法の説き方は皆順正法ではなく、必ず皆順世間法であらねぱならぬ。
正像の時代は早く既に流れ去った。佛法は佛陀の予言の如く回転している。時代が昔の時代でない如く、佛法も昔の佛法ではない。佛法の回転は時代の回転に随う事、水が方円の器に随う如きものである。佛法既にその方向を換えたとすれぱ、その説法の儀式もまたおのずから異らざるを得ない。
末法は皆順正法というのは、教義の世界においていうのではない。末法は既に教義説法の時を失っている。正像と末法との重要なる異点は、前者は教義が行法を指導するに対して、後者は行法より教義を詮顕する所に存する。今の時代は教えて行ずるのではない。行じて説くのである。説いて行ぜしむるであろうとも、説くものは行じて後に説くべきである。
吾等は法華経徒として、報恩の為に随力演説は許されており、又義務としてなさねばならぬであろう。しかし、正像の随力演説は教義であり、学であり、論であり、従って観念であった。末法今の時は行験してしかる後、初めてここに随力ありとなるのである。
「一滴をなめて大海の潮を知れ、一花を見て春を推せよ」
この聖語の重点は〝なめる〟所にあり、〝見る〟所にある。なめるとは行ずる事である。行じたるものは一滴の微といえども、その人は既に随力演説の人であらねばならぬ。
教より行が先行する
かくて末法今の時は行じて説くのである。行じて後に口舌文章あり、行ずるのみにして、口舌なく、文章なきも又必ずしも不可ならず。ただ佛縁に任せて進退すべきである。「易きを捨てて難きに就くは丈夫の心なり」と、此の聖語に背かざればこの人世間に行じてよく衆生の闇を滅するであろう。
されぱ今時説法の儀式は、教より行を打出せず、行より教を詮顕する。時代回転して佛教回転し、佛教回転せるが故に、説法の儀式もまた回転している。皆順正法の道は先づ説くべきでなくして、先づ行ずぺぎである。信によって行を起こし、行によって学を出生する。これをもって聖祖は、広をすてて略を取り、略をすてて要を取った。要とは上行所伝の題目であって、南無妙法蓮華経の七字ではない。佛法はかくて法華経十巻より寿量品の肝心たる妙法蓮華経に移り、妙法蓮華経より飛躍超勝して上行所伝の題目に回転した。
上行所伝の題目（すなわち、南無先祖
養道）は教義を絶し、言論を絶し、文案を絶し、哲学を絶している。一切の思議と論理の世界を蹴散らして、末法万年の時代に君臨するもの……これを詮顕するの道はただ行験の一途のみ。名づけて題目身唱という。口にあらず、文にあらず、ただ生活―かくて皆順正法は、皆順世間法と回転したというのである。」５、吾等の行ずべき題目は上行所伝の題目…南無妙法蓮華経ではない
☆中田
郎先生の御経歴中田先生は、東京法学院(中央大学)を卒業、弱冠20才で弁護士試験にパスして後、幾度か静岡県弁護士会長に就任。また、市会議長たること３回。昭和５年２月、武藤山治氏の国民同志会所属として代議士に当選された。
一方、明治40年から社団法人救護会の社会事業に参画され、大正14年同会の理事長に就任し、雅子夫人に保育事業を担当させつつ、晩年まで尽瘁された。その間、静岡県社会事業協会副会長、大日本社会事業報国会理事長等に選任され、是等の功労により藍授褒章を２回授与された外、数々の表彰を受けられた。
しかし、先生の真骨頂は、その宗教生活にあった。32才で日蓮上人の信仰に入られたが、天賦の英才により、別頭独一の境界を証悟し、開示せられたが、先生の法華経の特色を一言でいえば、日蓮上人の開宗宣言、観心本尊鈔等、上人在世の題目と、滅後の題目をハッキリ峻別し、我等の行ずべき題目は、南無妙法蓮華経の七字ではなくして、上行所伝の題目であり、これこそ懴悔滅罪の因果の源頭であると力説せられた点にある。
中田先生の多数の著述は、常不軽無学大士の実践された行跡を、理論的に明確に裏付けられた点において、まことに因縁の不思議を感ぜざるを得ない次第である。故に本教団では、無学大土に対し、録学大士の御法号をおくらせて戴いたのである。
昭和32年８月12日、76才で御入寂、御葬儀に際しては、天皇陛下より金一封の御下賜あり更に従五位勲四等に叙された。
☆法とは上行所伝の題目なり
☆ 上行所伝の題目…上行所伝の題目というのは、六老僧の一人日興上人が、日蓮聖人の口授によって筆受した『御義口伝』（重要な文献）の末文にある言葉です。
『御義口伝』の末文には、「子、父の法を弘む、世界の益ありと。子とは地涌の菩薩なり。父とは釈尊なり。世界とは日本国なり。益とは成仏なり。法とは南無妙法蓮華経なり。
今又以て此の如し父とは日蓮なり、子とは日蓮の弟子檀那なり。世界とは日本国なり。益とは受持成仏なり。法とは上行所伝の題目なり」とあります。これについて、中田先生はその著『金剛戒の信仰』のなかで、次のように述べておられます。
…「私は法華経が時代と相、応じつつ生成発展するものであることを確信するが故に、日蓮時代の法華経が即ち現代の法華経であるべきはずがないと思惟すると共に、御義口伝の末文に逢着して、日蓮の弟子檀那の弘むべき要法は、上行所伝の題目であり、地涌の菩薩の弘めた要法は、南無妙法蓮華経であって、両者の間に截然(せつぜん)たる区別が存する事を知り得たがために、いよいよ南無妙法蓮華経は仏のもの、上行所伝の題目こそ吾等衆生のものであらねばならぬと考えついたのである。」
『上行所伝の題目』というのは、要するに、南無先祖養道のことです。６、人類の歴史は迷いの記録…錯覚をそうとは気づかない現代人
☆信仰の革命（歓喜奉行の生活へ）（筆者不明）
東隣りの家へゆくのに、西へ向って歩いているのと同じ錯覚で生きて来たのがわれわれ人間である。
人類はこの悲しい錯覚のために、何千年という長いさすらいの旅をつづけ、何千巻、何万巻というおびただしい記録を書いたが、この人類の歴史は迷いの記録であるといえるであろう。その証拠には平和を求めつつ戦争の危機におびえ、友愛を叫ぴつつ闘争にあけくれ、愛情を求めつつ、憎み合ってくらしているお互いの現実生活を振返って見ればわかるはずである。
罪を感じない事が、罪障の姿
「末法の衆生は皆舎利弗なり」とは日蓮上人の喝破(かっぱ)されたところであるが、現代人は生マ中知識や学問があるために、その浅薄な人間知を頼みとして、自分の錯覚を錯覚と気づかないで、エラがり口を叩いているのである。
提婆達多品には「女人には猶ほ五障あり」とあるが、五障の罪というのは罪が五つあるということではなく、罪があるために五つの世界を見ることが出来ないということである。罪があるということは、罪のあることを知らない事である。罪を知る事は、罪を滅する第一歩であり、五つの世界を見る眼の開く事である。換言すれば、錯覚は確信とウラハラであるように、罪を感じない事が、罪障の姿そのものなのである。
人間は生まれながらにして悟って出て来るものはないから、生まれたままの心で成長したものは、学問や技芸を覚えたからとて、錯覚の人生を五十年、百年生きたからとて、大金持や、大事業家や、有名人になったからとて、仏様の眼から見れば、無知な爺さん、婆さんと同じ錯覚の肉塊に過ぎないのである。
信仰の功德は錯覚に気づくこと、それを悟りという
信心の功德は錯覚が解消して正覚が現れることではない。自分の錯覚に気がつくことである。錯覚に気がつかないことを迷いといい、気がついた事を悟りという。気がつくということは、東隣の家を求めて、西へ向って長い旅をつづけてきた、その方角の間ちがいに気がついたということである。気がついたからといって、仏様と同じ悟りを得たという事にはならない。自分の錯覚に気がついて、西を向いていた爪先を、東の方へ向きかえたというだけである。東への正しい旅路がこれから始まるわけである。
錯覚に気づくことを縁という…縁は仏様のご慈悲
錯覚の旅を千里来て気がつく人もあれば、二千里来て気がつく人もある。また、一生、二生、三生と生まれかわり、死にかわっても気がつかない人もある。千里来て気がつく人には、千里のところに踵(きびす)を廻(めぐ)らす榜杭(ぼうこう)が立っていたのであって、仏教ではこれを縁という。一生、二生かかっても、この榜杭に出会わない人は、まだ縁が来ないのである。
縁をつくるのは前世の善業…縁は仏様のご慈悲
宿善薫発(しゅくぜんくんぱつ)ということは、前世で積んだ善業が、今世にめぐって来て、踵をめぐらす縁にふれさせてくれたことであり、これが仏様のご慈悲である。このご慈悲の故に錯覚の旅に気づいて、東へと方向を転換して歩き出した旅人の眼には、まだ気がつかないで、西へ西へと迷いの旅を急いでいる人々の行列を見て、心から憐れにも、亦気の毒にも思うのである。
しかし、錯覚に気がつかない人々を只気の毒に思うだけでは、法華経による先祖ぎょう養道の行者ではない。この人々を一人でも多く東への旅の道づれに引き入れようとする努力が、われわれの懴悔滅罪の行であり、それより他にわれわれが真に救われる道はないのである。「道は近きにあり、これを遠きに求む」という言葉があるが、東隣の家を求めて、西へ、西へと長い迷いの旅をつづけて来たわれわれが、廻れ右して、踵を東へ向きかえた時、その人は仏様を身に感じとったのである。
仏様と我とは一心同体
今まで仏様は、遥か彼方の別天地においでになって、この汚れた世の中で、みにくい生活を送っているわれわれには、縁の遠い存在と思って居ったのに、そうではなくして、仏様はわれわれと同じ天地で、同じ空気の中に生きておいでになる。仏様と自分とは、部分と全体の関係であった。部分がなければ、全体はない。部分即全体であり、全体即部分である。この意味において、仏様は我であり、我は仏様である。仏様と我とは相対するものではなくして、一心同体である。この故に我身如来である。こう気がついた時、れれわれの人生は喜びに満ちたものとなり、そこから歓喜奉行の生活が始まり、その功德は無量無辺に波紋をひろげてゆくのである。
☆ 参 考 ☆ (中田
郎著『金剛戒の信仰』より抜粋)《部分と全体》
狗子仏性ありという事は、部分が全体である事である。草木国土悉皆成仏の義も同様だ。同情と云う事は人間の美しさであるが、それも部分が全体であるが故に存するのである。思いやりという事がない人に涙はない。思いやりは自身の主観と体験とを、他人の上に当てはめて見た時に起こる感じである。思いやりは経験心理の回向である。自分の心が他人の心であるがゆえに、他人の泣く時自分もまた泣けるのだ。自他の間に何等の連絡がない所に共通の感情が現れるはずはない。某甲と某乙との名は異なれど、その本質は同じ人間であるが故に、そこに相通ずるものがあるのである。相泣くのは甲と乙とではなくして、ただ赤裸々な人間としてである。人間全体として泣くのである。部分が全体であるからである。
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