* 「時」のしからしむるのみ …時代が変わり、仏法も変わる *
仏法とは生活そのもの
日蓮聖人がこうおっしゃった。
「この日蓮は世法を以て論ずれば貧しきこと日本一なれど、仏法を以て論ずれば富めること世界一なり」
この私もこの通り貧乏だから、世法を以て論ずれば貧しきこと日本一だが、しかし仏法を以て論ずれば富めること世界一だと思っている。
まあそれは私の時代と日蓮様の時代とは違うからね。時代が違うと云う事は仏法も違う。時代の回転にともなって仏法も回転するのが本当でしょう。何故なら、仏法とは生活そのものだから。我々の時代が変わるに従って生きて行く道、つまり生活が変わって来るから、やっぱり仏法とその説き方も変わって来るんだね。私が変えるのではなく、自然に…つまり「時」がそうさせるのだ。日本の仏道は今から一千四百年前韓国の聖明王から日本国に渡ったが、日蓮聖人は今から七百年前に出現された。という事は、時に或は時が日蓮を生んだ。こういう事に相成る。だから日蓮は南無妙法蓮華経と唱うるのは、日蓮の智がすぐれているからではなく、「時」のしからしむるのみと言っている。
* 仏法も変わって来なければならない …自分の信仰を信じて貫いていく*
生きて行く道…生命の世界と物質の世界はこれはもう千古不変で何万年経っても変わらないが、それを用いて行く道、精神を用いるにしても、物を造る学問にしても実際生活面にわたって用いて行く方法が違う事になれば、仏法も変わって来なければならないはずだ。
しかし私の唱うる南無先祖
養道に賛成する人は千万人に一人あるかどうか、中々賛成しません。するわけがない。日蓮聖人もそう云っている。日蓮聖人が建長五年四月二十八日、千葉県の清澄山旭ヶ森で南無妙法蓮華経と十声ばかり唱えて、そこから始まったんだ。そして日蓮は、日本中の者が皆日蓮の敵だとおっしゃっている。今日の私もその通りだ。自分の道を立て、自分の信仰を信じてそれを貫いて行くには同じ事が云える。私は日蓮聖人のような立派な偉い人間ではないけれども、その想いは一つなのだから、その想いをかみしめてみるとそのお気持がわかる。世界中が皆この国明の敵ですよ。私の妻も子供も孫も名を親子にかりた敵です。ましてや他人の貴方達は弟子のそして信者の名をかりた敵だ、私を手こずらしてばかりいるから。
* 日蓮在世時には日蓮を信じない…当時の信者は２６０人位 *
信ずる者は少ない
仏法は無量八万四千の法門といわれているが、そのうち日蓮聖人が用いられたのは法華経八巻二十八品である。しかし完全な法華経はこの八巻二十八品に無量義経、普賢経を加えた十巻三十二章なのだ。ところが日蓮聖人以前の時代は、八万四千の法門の中から二千二百余年にわたって色んな信仰をし、特に南無阿彌陀仏の信仰を長い間していたのだから、御自分の云う事を信ずる者がない。かりに今日日蓮が初めて出て来て南無妙法蓮華経と唱えて見たところで信ずる者がなかなかないでしょう。その証拠には、七百年以前の時代でさえ日蓮聖人が鎌倉で布教されたのはたった二百六十人位なんだ。刀を差して決死の想いで布教してもですよ。それはそのはずです。
然しそれが七百余年経った今日、皆南無妙法蓮華経と云ってよろしい。日本中が南無妙法蓮華経と云う様になった時はね、それ程日蓮が有名になるとあっちにもこっちにも日蓮が出て来、日蓮の名をかりた者共や宗教が盛んになる。
* 正法の僧と称して、当に日蓮が法門を破るべし *
だから日蓮は今日を計算してちゃんと書き遺してある。それは、
『末法の中に於て名を法華宗に仮りて妙法の首題を唱ふれども、未だ上行付属の法門を弘めず。意奸しく乱れて、諂曲にして而も正法の僧と称して、当に日蓮が法門を破るべし。未だ出世の本意を知らざるなり』
この「成佛法華肝心口傳身造抄」…右の文書を貴方達に書いてやったんだが、私はこれを見て何度も涙を流したものだ。ここで首題とは南無妙法蓮華経を云っておられるのだ。だから今日南無妙法蓮華経を唱える者は、それを指導する坊主や教団は、皆彼の世の赤鬼青鬼が化け生まれて来ているという事だ。これに今皆だまされている。
* この法華経は一念三千ということ *
これ以外になくてやってきた
また御聖人は、「未来は不軽菩薩たるべし」と遺言している。それは常不軽の行為をする、或は行動をすると云っているんだ。何故そういう事を云わなければならないのか。何故説き終わったのに又出てこなければならないのか。生まれて来るなら何時出て来るか。或はすでに生まれ出たのか、それともまだ生まれ出てないのか。
私は学究的に宗教をして来ないし、又僧籍に在って来たものでない。本当に人生の死ぬにも死なれず、生きるにも生きられないその苦しみのどん底から、何とか救われたいという一念で、子供にこの病と貧乏をさせたくない一念でね。それには救われる道はこれ以外に無くってやって来たんです。唯真剣にこの経文の裏を紙の底まで読み取ろうとして来たものです。只事で経文を幾ら読んでもわかるものではない。実際に仏様のおっしゃる通りの事を自分で行じて行かなければわからんのだ。
* 自分の思念・行動が生活を変える…人間らしい生活も自分次第 *
一念三千の原理
この法華経は一念三千ということなのです。一念三千とは例えば池の中へ石をポトンと落す、このポトンが一念で、このポトンが外の全体の波となって広がって行くこれだ。この広がりが三千と云うことなのだ。亦自分の信念を情熱を持って打ち込んで行けば、それを聞いている者がその情熱に動かされるでしょう。従ってこのように自分によって自分の周囲がかわり、その自分の周囲の動きがまた自分に影響がくる。これが一念三千の原理だね。この原理を自分の人生や生活の各面にあてはめて見る。自分の家庭にも、自分の村にしても、自分の一念から起きる。自分の行為と行動が自分に関係のあるあらゆる生命やその生活にそれが成仏のもとともなり、逆に地獄の生活ともなる影響を持つものなのだ。神や仏様や、悪魔や鬼神からくるものではない。
* 真の一念三千は「行」の一念三千 *
然し一念三千にも三つのものがある。一つは理の一念三千、この理の一念三千は中国の天台と日本の傳教大師が唱えたもの、これは理論上、宗教哲学上の一念三千なんだ。天台は千四百年前、傳教は千二百年前に天台からこれを引きついだ。この経典が妙法蓮華経の方便品の原理に依っている。その後七百年前の日蓮聖人がこの理の一念三千から事の一念三千を唱えた。事の一念三千と云う。
理とは例えば家を建てる場合、力学的、美学的、生活的色々な面の理論的な考慮から始まる。そして次にその理論を設計し青写真にしてまとめる。これを「事」と云う。この事の一念三千が寿量品の南無妙法蓮華経というわけ。これをいよいよ建てて我々の生活に用いて行く。これを「行」と云う。これが我々の大乗方等経典の先祖
養道となる。このように三つの順序からなっているわけ。自然は全て三段論法的からなっている。例えば、太陽と光と熱、或は三宝とか。(仏宝、法宝、僧宝)* 日蓮より大事な『我』 *
ここで問題になるのが日蓮聖人の一念三千だ。日蓮聖人は、若しこの日蓮が出て来なかったなら、釈尊から出て来た寿量品の一念三千が空事になってしまう。誰もこれを証明する者がないから、そのまま腐ってしまう。だから日蓮は「釈迦よりも大事な日蓮」と自ら云っておられる。ごもっともだと私は思う。
然し釈迦より日蓮の方が偉いと云うのではない。これは私も同じ事が言明できる。何故ならば、日蓮聖人の事の一念三千の南無妙法蓮華経も設計図であり、青写真にすぎないから。この南無先祖
養道が若しも本当のものであったなら、日蓮より『大事な我』であると云う事になる。こう云う事を云えば、各種の法華宗にしても、身延派にしても、或は大石寺派の創価学会にしても、その他あらゆる階層のすべての人々は気狂いだと云って大変な非難をするでしょう。私が『日蓮』より大事な『国明』と云ったら皆笑うだろう。真の一念三千とは、釈迦の一念でも日蓮の一念でもない。寿量品に「自我得仏来」と教えている。「我れ仏を得てよりこのかた」と読む。この自我の『自』がわからないと本当の一念三千がわからなくなっちゃう。本当の一念三千が分明にならなければ、本当の自分がわからない。本当の自身が明らかに教えられてないと、目茶苦茶な自分の人生となるわけだ。この故に、またこの「時」の要請に応えて、南無先祖
養道の浄妙宗が自然に発現したのだ。* いわゆる僧侶なる者はことごとくこれ国賊…守るべき道を守らないから *
「戒」がない
故に中田大士も随分嘆いていらっしゃるが、一般大衆は余りにも宗教に無関心すぎると。つまり自分の生活に関心がないと云う事だね。あーもなりたい、こうもなりたいと慾ばかりかくくせに。守るべき道を守らない「戒」が無い。この字は戒と書いて守ると訓ずる。だから今の坊主も宗教家も大衆も「戒」を知らず、守らないから欲の世界しか求めない。だから無学大士は「いわゆる僧侶なる者はことごとくこれ国賊」だとおっしゃっている。本当だなーと思う。
その国賊様に尊い金を、汗流した金で、先祖の戒名をもらったり、供養してもらったり、全く無智と云う外はない。
* 孟蘭盆の意味は、逆さずりにされた父母を救うと云う事…自己欲をかくのが餓鬼 *
日蓮聖人が目連尊者の事を書いておられる。この目連尊者の母が餓鬼道に落ちてね、何故餓鬼道に落ちたかと云うと、母親と云うものはそう云うものなのだよ。子供の為には愛に溺れるものだ。そして罪を作る。目連尊者が十三才の年から仏様の弟子になるについて、その母が何んとか立派な菩薩様になってもらいたいから、悪い事とは知りながらもいろいろと苦労もしたり、無理な学費を作ったりして来たでしょう、きっと。それらの罪によって餓鬼道に落ちている。そこで目連尊者が成長し立派になって、三明六通の神通力を得るようになって、今迄忘れていた母が何処に何うしておいでるかと亡き大恩の母を案じて、自分の神通力を以て見たところ餓鬼道に落ちている。餓鬼とはあれが欲しいこれが欲しい、自己欲をかく。これが餓鬼なんだ。これは大変と思って、ご飯を送ったところが、母がいとしき我が子より供養のご飯を食べようとするとたちまちご飯が火になってしまう。これは大変と水を送るとその水までも火になってしまった。びっくりしてお師匠様〜お釈迦様の所へ飛んで来て、かくかくで御座いますから何うぞあわれに思召され救って頂きたい。仏様が、汝の母は罪深くして、帝釈、大梵も救うことができない。だから七月十五日が来たなら、十方の聖僧に百味の飲食を作って供養せよ(いわば、大乗を持つ者を供給し供養し)とおっしゃった。
* 自分が成仏して父母も成仏する…孟蘭盆御書が第一 *
孟蘭盆のいわれ
七月十五日と云う事は日本の入梅明けのようなもので、印度は百日間も大雨が降り続く、だから日本軍がインパール作戦でこの大雨には大変な目にあった。この入梅が上がるのが七月十五日なのだ。そうするとこの雨季中は聖僧達が皆んな托鉢が出きず、引きこもって修業しているでしょう。食わず飲まずに。雨季が明ければ町に出て衆生済度に出て行くが、断食同様だから疲労し切っている。仏様が目連に、その聖僧に御供養申し上げよと云われるんだ。だから母が一劫の間の罪業が餓鬼道から救われたんだ。ここから盂蘭盆会が始まっている。お盆だね。梵語では『うらんぼん』と発声する。この孟蘭盆の意味は、逆さずりにされた父母を救うと云う事なのだ。一劫とは八百万年。
そこで日蓮聖人が孟蘭盆経の経文から取りいれて孟蘭盆御書にこう書いてある。「日蓮思うには、目連尊者と申せらん人は十界の中に声聞道の人にて、二百五十戒を守って守ること石の如く、三千の威儀を整えて缺けざることは十五夜の月の如し、智慧は太陽に似たり、神通は須彌山を十四そうまき大山を動かせし人、かかる聖人でも大恩ある母の恩に報ずることができなかった。あまつさえ報ぜんとしたところが大苦を増し給う(ご飯も水も火となってかえって母を苦しめた)。今の僧等の二百五十戒は名ばかりにて、事を戒によせて人をたぼらかし(お布施の勘定ばかりし)、一分の神通もなし。大石の天に昇らせんが如し。智慧は牛に類し、羊に異ならず、たとい千万人をあつめたりとも父母の一苦を救うべしや。」
* 自分の成仏がなくて父母の成仏はない…今までの先祖供養の仕方は不可 *
目連尊者の色身は父母の遺体なんだね。父母の連なり父母から残されたもの。目連(大目けん連)の体が仏になればその父母も仏になれるという事なんだ。そこで目連尊者がタマラバッセンダンコウ如来となって人を救い、その道に努力する。その学びと懴悔の行によって自分が成仏し父母も成仏したと云っておられる。
自分の成仏がなくて父母の成仏はない。人によってはこの御書を第一とする。私もこれが第一だと思う。日蓮聖人の本尊抄とか開目抄とか色々とあるが、自分が成仏できなければこれ等の五大部十大部も詮ない事だろう。だから今までの先祖の供養の仕方は全部父母をかえって地獄に落とし、苦しめていたことがわかるだろう。
* 一念三千の法門は唯寿量品の文の底に秘し沈めたり *
一念三千とか、自我得仏来とか或はまたこうした話をしたのは、この話をするための準備だったんだよ。
この地球上に我々が生を受けて、仏法では先づ生まれれば八万四千年生きていることになっている。この事は宗教者特に法華経の宗教者は皆これを信じている筈だ。それが百年に一才づつ減って行くんだ、人間の罪によってね。そこでお釈迦様が生まれた時は人寿百才の時。第九の減と云って、百年に一才づつ減って行くと丁度お釈迦様が生まれてから三千年と云われているから、今の平均寿命は七十才と云う事になるね。その通りのようだね。医学の進歩とか栄養とかそんな事ではない。南無先祖
養道が出て来るとだんだんそうなって来るんだよ。私を見ればわかる。とっくに四十か五十代でこの世に居ないはずなんだが、今七十三才でもピンピンしている、若い者と一緒に働いている。寿命の増益なんだ。* 一念三千の法門は文の底に秘し沈めたり…日蓮時代には現れていない *
時を待つべきのみ
この学会の開目抄は(先生は創価学会発刊の開目抄を手にとりて読んできかせる)、
『先づ外典外道の主師親の三徳から説き始め(外典外道とは孔子孟子の教えと云うことなのだ)、一代仏教の三徳を説き、遂に末法下種の三徳を明かされてとある。この下種とは日蓮の事なのだ。この日蓮は日本国の主師父母なり、と。日蓮聖人御自身が末法本未有善の諸人に下種の本尊であることを説き現わされる』……日蓮聖人が人間としての仏であると云う事を明かされたんだね。……
『本文の中に重々の法門は我々は常に拝読して心肝に染めなければならない。特に種脱相対文底秘沈の法門は、当家の骨髄とするところなり』……これはむずかしい文句になるが、自分達はこういう信念で、大石寺派はこういう事で立っているんだと云っているのだ。……
『本門の一念三千の法門は唯寿量品の文の底に秘し沈めたり』と三宝の秘法をなして説かれている。……日蓮上人の本門の法門の中にこう書かれていると云う事。……
『一念三千の法門も唯法華経本門の寿量品の文の底に沈めたり』
このように書いてある。一念三千の法門とは南無妙法蓮華経。南無妙法蓮華経とは一念三千の法門、それが寿量品の文の底に沈めたと云っている。それはもう隠してあるという事なんだ。我々を救う仏様は姿を現わしていないというんだね。だから日蓮聖人は「時を待つべきのみ」と云っている。
* 此の勝妙の懴悔の法に因るが故に、今十方に於て各佛となることを得たり…行法経で救いの方針決定 *
この寿量品を読んで見ると貴方達は何う思う。寿量品の最後に「毎に自ら是の念を作す 何を以てか衆生をして無上道に入り 速かに仏身を成就することを得せしめんと」
何を以てか……つまりお釈迦様の我々を救い給うその方針がはっきり決まっていないでしょう。それが寿量品の結論だろう。私がこの寿量品を読んで見ると何んとも心もとない。併し普賢行法経を読むと何うだね。いわく
『十方の諸佛・諸大菩薩の所行の懴悔の法なり。また諸佛は是れに因って五眼を具することを得たまえり』
『當に知るべし、此の人は佛の功徳を具し、諸悪永く滅して佛慧より生ずるなり』
『諸佛、菩薩昼夜に是の持法の者を供養したまわん』
『大乗真の実義を思うに因るが故に百萬億阿僧祇劫の罪を除却しき。此の勝妙の懴悔の法に因るが故に、今十方に於て各佛となることを得たり』
『一弾指の頃に百萬億阿僧祇劫の生死の罪を除却せん。此の行を行ずる者は真に是れ佛子なり。諸佛より生ず』（以上普賢行法経経文）
このようにこの法によって仏になることが出来たとはっきりしているでしょう。
だから日蓮聖人がもう一度出て来るというお言葉がわかるでしょう。南無妙法蓮華経に不足があることもわかるでしょう。無智では駄目だ。文の底に沈めている時代ではないでしょう。日蓮聖人がこれを当時の人にうち明けても、城主と土民の関係にある時代に、主権在民と云っても通用する時代ではないでしょう。そんな事を云えば気狂い扱いか、打ち首になってしまう。今の戦争前でもこんなことを云えば打ち首になったんだからね。時代が回転しているから、従って我々の立場と人間生活が回転して来ているんだ。それなのに七百年前のもので事が足ると云う事は、実に憤慨を感じない者は人間の痛さを感じない者なんだ。
* 本当に生きて行く道がほしい…人間は死んで無くならない *
縁あるところに生まれる
木の根と先祖は同じ事じゃないの。木の根がしっかりと張っていなければ枯れて倒れてしまうでしょう。人間は死んで無くならないから、お互いしっかり覚悟しなければならない。輪廻すると云うが、我々は生まれ変わり死に変わり、春夏秋冬のようにぐるぐる廻っているんだ。これをもっとはっきり云うと、私が今度自分の子供の腹に生まれて来る。これは変えることができない。必ず我が子・我が孫に生まれてくる。或は縁あるところに必ず生まれる。縁ある者は必ず近い過去は親子なのだ。その時孫から生まれた私は、自分の子供をなんと呼ぶの？ おじいちゃんと呼ぶでしょう。次にその孫を今度お父さんと呼ぶでしょう。これが輪廻で、その象徴がオジュズなの。このオジュズは学問的哲学的な説明として色々あるが、そんなことは学者にまかせておけば良い。我々は本当に生きて行く道がほしいんだ。この自分がジュズの様にぐるぐる輪廻している。
* 外典外道の先祖供養は内典から見れば畜生道 *
無智故に目連尊者のように母を苦しめるような先祖供養をするんだ。お釈迦様のこの経文を本当に信ずることができれば、そんな先祖供養は一体どうなるんだ。日蓮聖人もこの開目抄で云っている。「いわゆる外典外道」、外道とは畜生道なんだね。外典外道の先祖供養は内典から見れば畜生道なのです。何故か、『父母の後生を助けず、不知恩の者なり』と。恩知らず者だとおっしゃっている。だからそういう生活をする者は畜生同様の生活をし、三世をわきまえている人は立派な生活をしている。良く世間をごらんなさい。だから外で色々な事故にあう人はこの恩知らずの者だね。本当の父母孝養・師長恭敬している、本当の先祖
養道をしている人は、自動車事故で死んで見ようと思っても死ねない。むこうさまで断わる。何億円積んでも監獄へ入れてくれないと同じことなのだ。偶然なんと云っている者は外典外道の者の云う事で、内典の生命の世界から見たものではない。人間の小さな理智と知識だけで計ったものだ。仏様のおおせの如く本当の智慧ある先祖養をしなくてはいけないはずだ。* 自分の不明不徳をわびる *
我々は仏様の説の如く、親であったり子であったりしているわけでしょう。何が故に懴悔回向唱と読みますか？
「えこう」なんて読むなんてそれは坊主共の勝手な読み方なの。回向唱とは回って向かうんだね。そして懴悔でしょう。自分が親であったときに、自分の不明不徳のため子供に本当の智慧を授けないで、紙屑のような頭で育てて来たんだ。それを詫びなくてはならないでしょう。その罪が残っているから、だから今日のように生んでくれと頼んだわけでなし、養老院でも行けと云うわけでしょう。
* 自分の不明…罪をおかした自分がよくわかる…法華経の鏡に照らして *
借文で自分の身に照らす
自分の不明を無始無終の世界から、この法華経の鏡に照らして見ると、その罪を犯した事が、その自分がよくわかる。このもとに常に仏の教えを頂戴する。経を読む、これを借文と云う。この経文を借りて自分の身に照らし、自分を計って行く。この親と子の輪廻が、鶏と玉子じゃないが、どちらが親か子か、みんな無始無終からあったんだね。だから何時も自分が中心なんだ。わかりますか「自我得仏来」の経文が読めますか。
* 父母のことを思わない者は守られず *
自分の未来のあることも、親の後生のあることも、子孫の将来があることも、私も元は知らなかった。この父母の成仏を願い、父母の事を思わない者が、仏様や日蓮を拝んでも仏様や日蓮様がその者を見てくれるか、見るはずが無い。例え日蓮様をおがまなくとも、この道に精進して行ってこそ御聖人の教えを守る者だから本当のお守りがあるのでしょう。
それから物に対してもそうです。一切が生命の世界(普賢)だから、仏の世界だから、この西瓜を見ても、このリンゴ一つを見てもこれはみんなお釈迦様だと思わなくちゃならない。つまり親と思う。親だと思わなければ食うべきではない。人間なら食う権利があるとすればそれは餓鬼です。ここに祭るのはそれに感謝すると共に、このものの生命を我々はおがむのです。尊く有り難く、それでこそ十界中の人界なんだね。人間が中心だから。その人間の行為一つによって森羅三千が美しくもなり、ならなくもなる。だから病気であろうが、農作物であろうが、家畜であろうがみんな所縁のものなのだから、だからこの精神で朝夕この御宝前でこれを正しく勤めている人は必ず全てが健全になる。本営では農薬など絶対にやった事がない。後で皆んなに持たしてあげるが、あの通りのジャガイモだ。花もその通りそういうものなのだ。
* 一切の責任が自分にある *
従って自分がいつも中心なの、だから一切の責任が自分にある。親の成仏不成仏、子供の成仏不成仏、世間のよしあし一切が自分にある。誰も誰もが皆あるのです。それが仏様によって救われるとか、悪魔によって傷つけられるとか、人がこうしたからなんて云う事は皆嘘なんだ。それが悪魔なのだ。
神様仏様と云うものは大慈大悲と云うのです。この「大」と云うことは、もうそうなってしまっているという事なの。つまり絶対者という事だ。太陽は泥棒でも何んでも皆照らしてしまう。これが「大」だ。〜絶対者だ。でなければただの慈悲なの。慈悲には加減があるがこの大慈悲には加減なんて無く、神様仏様は絶対に衆生を憐れみ給う事になっちゃっているの。悪魔は何んでもかんでも人を引きずり込むことになっちゃっているの。だから大魔王と云うでしょう。
と云って、照らしてくれるからと云っても北向きになっていたら照らしてくれない。自分から出て向かわなくてはいけないはず。唯我々が照らして頂ける立場であるかどうかと云う事なの。心理の面から云ってもそうでしょう。して見れば我々が照らしてくれ守ってくれと思わなくても、災難が来る来ない前に、自分が如何に行動しなければならないか、自分で決定しなければならない。
* 一切が一枚板、境目なし…これが一念三千…だから自分が懴悔、礼拝する *
宗教には証明が絶対必要
それには先づ先祖
養道、先祖養道。共々だもの。全く一つだもの。一切が(仏様と自分が)一枚板なんだ。境目が無い。これが一念三千なんだ。だから自分が懴悔し、自分が礼拝する。先祖が一斉に自分と共に礼拝し懴悔するんだ。自分が本仏に礼拝しなければ先祖は何年たっても礼拝しない。自分に全部つながっているから。だから自身成仏こそ父母の成仏になったと日蓮が云っているのです。その功徳が上七代下七代乃至上無量世、下無量世とおっしゃっているわけがここにあるんだね。如何に自分が重要であるか。我身如来だ。(自分が仏であり、自分が悪魔だ。)* ごまかしは自分にかえる *
大乗方等経典甚深の妙義から云って、自分の落とした一投石が、全霊界に響いて行く。今日の青年はこれを感じ、これを待っている。宗教には証明を絶対に必要とする。この病人をこの教えに導けば必ずなおる。この貧乏この商売の不況には、やれば必ず栄えると云う証明が絶対に必要なんだ。それがなければ信仰は嘘。それを信じない者は信仰者ではない。観音経にある通りなんだ。それでこそ、その人は少しは真実性のある人なの。そうでない人は腹黒く、世の中をごまかして行こうとする人。然しごまかしは自分に還って来る。お経文の通りなの。生命は永遠、仏様も瞭々(了了…物事のはっきりとわかるさま)として生きている。もう毛筋程も自分でやった事が、今こう云い、こうやった事が全く自動式に記録される。一つとして残されるものはない。
「此の六根の業、枝・條・華・葉悉く三界・二十五有・一切の生處に満てり」(佛説観普賢菩薩行法経)
恐ろしいものでもあり、従って尊い楽しいものなの。真剣に守ればその通りの証明が出て来る。南無先祖
養道だから。〜真の実義だから。一枚板だから。つなぎ目がないから。* 人間が人間のままで成仏できる…仏の教え、仏の智慧に照らした生き方…それを成仏という *
懴悔と云う事はいわゆる発心の懴悔ではない。こういう悪いことをしたんだから、今度こう致しますと云うような発心の懴悔ではない。この懴悔は宇宙の法則に照らして自分の生き方を変えて行くと云う懴悔なのです。今まで唯先祖に成仏して下さいという事だけだったんだ。これが立派な行為と思ったところが、事実は親を仏敵にしてしまったんだ、恐ろしい事なんだ。そして世々生々自分もこれをやって来たんだ。道理で自分が低い貧しい人間に生まれて来たはずなんだと、本当に悪かった。だから決して嘘の御供養は致しません。それには隣人も皆血のつながりなのだ。白黒黄の人種を問わず、皆生きる条件は一つなのだ。その人は今悪業の因縁によって、現在その様な状態にいるけれども、根本は等しいんだ、と云う懴悔でなければ成仏しない。草木一本見ても、なんでも愛情だけで無く、更に懴悔の目を以て見ると云う事なんだ。仏の教え、仏の智慧に照らした生き方、それを成仏と云う。だから人間が人間のままで成仏できるんだ。人間を廃業して成仏すると云う事ではない。人間が地球の上で立派に仏になると云う事です。
ウソの御供養は致しません
だから此の道に生きる者は立派な仕事をするのだから若くならざるを得ない。皆若くなるのが本当なの。人間は三十才までは育つ時、六十才までは成長する期間、六十才からせっせと稼ぎ始めるもの、九十から百二十才迄人生の秋の取り入れをすませて安楽になることなの。私はそれが本当だと思う。私はまだ十七、八年働かなくてはいけない。然しそうでないときは自分に懴悔が満たないからその通りに行かなかったが、この次の人生こそは今までの懴悔の修業の実績を土台にして引継いで行く。この精神で生きて行くと、今が現在が好転する。懴悔だから、借金は取りにこない。懴悔しているからしばらく待ってやれと云う事になる。
私が良く皆さんに話すでしょう。私の信者の妻君が今晩医者に見はなされて、その夫が来て私になんとかしてくれと泣きついて来た。そこで私が仏様にお尋ねすると、今晩中に百人導いて来れば助かると云われる。その通りに云うと、その人はハイッと云って外へ飛び出して行った。翌朝一所懸命やったが三人しか導けなかったと云って来た。今でもその奥さんがピンピンしている。その真心を仏様が認めたから、何事も真心がなければ何をやっても駄目だ。そんな事を云っても無理だなんて、そんな資格が何処にあるか、過去世の功徳が何程あるか、使い切ってもう無いはずでしょう。それを良く知ることだ。
* 懴悔以外に救われる道は何処にも無い *
「一日より三七日に至れば普賢を見ることを得。重き障ある者は、七七日の後、然して後に見ることを得、復重きことある者は一生に見ることを得、復重きことある者は二生に見ることを得、復重きことある者は三生に見ることを得。是の如く種種に業報不同なり、是の故に異説す」（仏説観普賢菩薩行法経）
業報は皆ちがうんだ。美と醜、貧と富、健康と病気等、一人一人が皆ちがう。だが、この懴悔以外に救われる道は何処にも無いんだ。
* 生身の仏とは本当の法華経を説く人…日蓮聖人の教え *
自分が受け持ち自分が実践
日蓮聖人は「さる程に法華経は持つにあり」。
受持成仏…自分が受け持って自分が実践して行く事。自分がその通りの生活をすることなのだ。例え凡夫であっても本当の法華経を説いてくれる者を生身の仏と思えと、日蓮聖人が云っている。人間の役々と云うものは、立派な人物を作る者と、その教を守って立派な生活を得る者と夫々違っているものだ。大学の教授がみな大臣になるわけではない。その教え子こそが大臣になるんだろう。
この本尊に、この一念にもとずいていない人は本当に気の毒な人だと思わない者は、自分欲をかく者でしかない。その人は餓鬼道だ。それは通用しないから駄目になっちゃうんだ。どんどん導いて行かなければ駄目。この国明を助けるのではない。私がこれを云わなければ本当の罪人になるからなのだ。だから、しらずしらず邪教邪道にいる気の毒な人々をどんどん導いて共々に幸せになって行きましょう。
この人が真の佛道の実行者であり、大壮厳懴悔道者であるが故に「諸佛・菩薩昼夜に是の持法の者を供養したまはん」と。これ経文(佛説観普賢菩薩行法経)なり。信ずべく仰ぐべし。 南無先祖
養道 常不軽 国明 合 掌
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