* 普賢菩薩は乃ち東方の浄妙国土に生ぜり *（浄妙のいわれはここから）
本教団青年部報の題号について、すでに御承知の如く本年一月号より「浄妙」と改題されましたが、かたがた私達教団の名称も〝浄妙教団〟であり、この「浄妙」について解説を求める声がありますので、それは当然であり、また大変によい事でもありますので、むしろ私はこの質問の出る日を今や遅しと、実は心待ちしていたと言いたいほどでありましたので、此の機会に少しばかり解説を致しまして、同信諸氏や青年部諸君の御信心の固めと相成らん事を期したいと思うのであります。
第一にその出典(その名が出る根拠となった経典)に就いて申しますと、即ち、仏説観普賢菩薩行法経であります。此の経典の初めのほどに、「普賢菩薩は乃ち東方の浄妙国土に生ぜり」とある所より、不肖ながら命名致しましたる題名であり、また教団名でもあるのであります。
次に浄妙の字義であります。
字義という事は、一般的には浄妙という文字の意味のことであり、またさらにつきすすんでは、その文字の「義」…即ち、その文字がもつ所の「はたらき」…或いはその生命力が不知不識のうちに、私達に大変ありがたい善き功徳力を強く深くあたえて下さることに就いてということであります。
「浄」とは、洗いきよむるの義。清…は本来から「きよい」こと。浄…は大変よごれたものを、あるいは大変きたないものを、いろいろの洗剤や努力等によって、生まれかわったように奇麗に美しくなるの義であり、
「妙」とは、蘇生の義なり。蘇生とは生まれ変わるの義なりとか、或いは治し難きを能く治するなり。故に｢妙｣なり等、外にも種々の義がありますが、ここでは一応上述の訓をとりたいと思います。
* 浄妙とは変毒為薬の義 *
以上をもって要約しますと、浄妙とは、一口にわかりやすく申して、「更生」することであると申してよいでしょう。即ち、愚者は智者となり、弱者は勇者となり、貧しき者は富める者となり、病める者は健やかなる者となり、争いは和にあらたまり、苦は楽とかわりて、地獄たちどころに変じて現身に極楽を現ずる。妙楽大師(中国の天台大師の法孫)の言う「毒変じて薬と為る」の義であります。
これ世界の全ての人々の願う所であり、祈る所であらねばならないでしょう。故に…皆様の朝夕の〝大乗方等経典要結品〟の結末文において、
南無真浄大法 先祖
養 歓喜奉行 我身如来 常不軽大菩薩と朝夕「御本仏…大御本尊様」に向かいたてまつりて、私達の心からの〝誓願〟として、また日々の悪魔を払いのける〝陀羅尼文〟として、十数返力をこめて誦唱する所以であるのであります。
* 常不軽大菩薩とは釈迦牟尼仏 *（「浄妙」の信と行によって）
しかして、常不軽大菩薩とはすなわち、釈迦牟尼仏であられます。此の「浄妙」の信と行によって、吾等罪業深重の凡夫も漸漸に、或いは現身に釈迦仏とは相成るの義であるのであります。
（前記の誓願文は朝夕数十返、御ぎょうよう様と供に、力づよく誦唱するよう致して下さい。必ずその日その日の不慮の災厄が、いわゆる大難は小難に、小難は無難と相成ります。どうか信じて行じて下さい。疑いの前に先づ〝信〟ずる事が凡夫の吾々にとって最も第一であります。例えば幼児が母の乳を疑うことなく飲むことによって、段々生長して自然にそれがわかるように、先づ信じて朝夕行ずるうちに、信心がすすむにつれて自然とわかるようになるのであります。現今はいろいろの災厄が職場に村に町に至るところに牙をむいて待ちかまえているのです。一言心の配りを御注意しておきます。）
さて、浄妙とは日本という事。前記経文の浄妙国土とは即ち日本国土と心得て頂きたい。その故は順次解説してまいりますが、その日本国土の象徴は〝端麗優厳なる富士〟であります。此の富岳の守護神を一般に普賢菩薩と信じられて居る事は御承知の如くです。而して富士登山の時はみんな六根清浄、六根清浄と唱えながら登ります。これは大変に面白いことと申せば、いわゆる語弊がありましょうが、定めし深い深い義と理がひそんでいる事でありましょう。
これを要するに仏道の究極、殊にも法華経の最終結着はこの〝浄妙〟…日本国土にあることは、法華経文の明示する所であり、印度・中国・朝鮮・日本の三千年の仏教史実に於ても明々白々であり、その間四つの国土の先師先徳の方々の御論述、御行践に於ても明白なる所であります。因みに本紙の表紙に〝浄妙〟のもとに富岳を表示することは、深い思いがこもっている事であります。
* 信心の重点は自身の心の配りを正すこと *
その時、その深い思いと言うことは、取りも直さず〝仏様…御本仏様…大み父母〟のみ心と申す事である。その大み父母の吾子に対するみ心は、常にいつでも変わる所があろう筈がないにもかかわらず、子の私達の心が、そのみ心に合って行かないのである。そこから種々の食い違いが生じてくるのである。その食い違いが種々の災厄や不幸の事態と相成って現れるのであります。果して然らば吾々はいわゆる神仏の守り、或いは守らざることを思いわずらう前に、吾々自身の心の配りを正さねぱならないと言うことに深く重点をおかねぱならない。これが現時の宗教信心の重点であり、要点であらねばならない。されぱ、
* 一切の諸法は念々に住せず新新に生滅す *（時代に伴い仏法も廻転）
今日の自分は…この浄妙国土…日本国に人間に生をうけている。その浄妙国土は…仏法上深い深い因縁の国土である。以上は人と国土であるが、更に重要事は〝時代〟である。時代の廻転に伴ないて吾々の生活も廻転している。生活がすでに廻転して、仏法のみが旧態依然たるべき道理がないのである。
◎無量義経説法品に云く。『一切の諸法は念々に住せず新新に生滅す。』
◎日蓮聖人撰時抄に云く。『夫れ仏法を学せん法は、必ず先づ時をならうべし。』
◎妙法蓮華経方便品に云く。『爾時に世尊三昧より安詳として起って、…』
◎仏説観普賢菩薩行法経に云く。『未来世の諸の衆生等の大乗無上の法を行ぜんと欲せん者、普賢の行を行ぜんと欲せん者の為に、…』
◎故中田旺山先生『金剛戒の信仰』に云く。｢私は二十世紀の後半期は新しい宗教の勃興する時であると思うて居る｣等云々。
紙面の都合で結論を急ぐが、わが浄妙教団の御本尊…南無先祖
養道さま…は単なる御祖先崇拝ではなく、久遠元初(世の始めなき始め)よりの御本仏様でいらせられるのである。今日始めて吾々の時代に、吾々の国土に〝大慈悲心…大威神力〟を顕動したまい、而して漸次全世界に光を被らせたまう所のみ仏様であらせられます。 （国明 合掌）あなたのまことの大御親
南無先祖
養道様は、あなたの精神を直くし、
あなたの身体を保全し、
あなたの運命を開拓し、
あなたの経済を富まし、
あなたの家庭を幸にし、
あなたの国土を発展し、
あなたの世界を和合す。
兄弟達よ、私達の一切の祈りと願いが叶う、まことの大御親の仕立てられた大宝船に、さあ早く手に手を取りあって乗りましょう。
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