(この御法話は、テープレコーダーに録音したものをテキスト化したもので、要約です。一部聞き取れない部分は省いてあります。また、話し言葉なので、文章になっていない部分もあります。意味不明の部分もあります。長いので段落ごとに番号をふってあります。)
1、皆さんこんにちは、今日は誰かがお天気の話をするんかなぁ、しないかなぁと思って……、山口がお天気の話を……、この二、三日悪かったわね。あの皆さんずっとあの、あのね、どこからか配られたあの毎日の天気をこう書く暦があったなぁ。私はそれを見てね、毎月のお一日のね、天気をこう記していってね、この今はね、みんなこの、いわゆる、その科学万能時代というのかな、あの今朝もちょっと話が出たんだけれども、ま、人間が人間をつくることができる、科学万能時代だな。人間が人間をつくっては恐ろしい世の中になってしまう。だれがお父さんやらお母さんやらわからない。アハハ、人間というものは親がありね、子があり、夫とがあり、妻があり、おじいちゃんおばあちゃんがありね、親戚、縁者がありするから。
あのねえ、人間というものほど恐ろしいものはないんだよ。あんたたち、ご自分をそう思ってみたことないかな。自分は浅ましい人間だなあということを。
うん、私は夕べ十一時半ごろ寝て、一時半ころ目覚まして夢でいろいろお叱りを受けて、起きてあの、私の枕元に私のお師匠さまのお写真を飾っているから、おわびしてお経をあげて、それからまあ今朝がたまでいろんな用件があって、ほとんど眠らないできているけれども、つくづく人間というものは恐ろしいものだ。ああ人間というものは別なものじゃない、自分なんだね。アハハ、この恐ろしい人間が戦争を始めたりね、え、昨日も大阪かどっかで、猟銃で六人か七人殺した。火つけをしたり、泥棒したりね、犯したり、去年のあの十二月三十一日の毎日新聞の記事には、アメリカ人のある人がアメリカの新聞に投書をしてね、その中にはどうもこれからの青年たちはね、その、人間らしくまっとうして生きていくことはもうできなくなっちゃった。恐らく大部分の青年は非業の最期を遂げるだろうということを、そのいわざるを得ない。そんな気持ちの悪い話を言わざるをえない。
2、ちょっと問題が飛躍するようだけれども、あのそんな状態ですよ。今日の新聞もイギリスあたりの人たちは、あの、自分の家庭にある金(きん)の器、そういうものをね、金(きん)を買うところで行列だと言うんだ。それは一触即発の時代と感ずるからなんだ。一触即発ということは、ほらマッチをシュッとすれば火がパッとすぐ即発するように、ね、ちょっと何かにふれるというと、もう原水爆が雨のように降ってくる。そういう時代がきた。うん、ね。よくあんた達ね、少し私の話をその真剣な気持ちで、いや真剣な気持ちと言えばなんだけども、まじめな気持ちでよく聞いておきなさいよ。例えばあの、さっきもちょっとその話が出たんだけれども、お金の値打ちがなくなってくる。ね、例えば石油でもそうなんだ。一升三円で買えた石油が今三十五円だ。一升三円で買えた石油、いや一升三円で買えた石油が三十五円だ。ね、だからこの前の第一回の石油危機の時の、約十二～三年前の話だけれども、三円が今三十五円なくちゃ間に合わないわけなんだ。いいかい、だからあの石油を持っている国が人たちは、金(かね)の値段がどんどん下がっていくから、穀物を買うにしても、自分の国民の生活品を買うにしてもですよね、あのほら三円で買った物、三十五円出さなきゃ買えないわけだから、自分の持っている品物もあげなくちゃやっていけないわけだ。そして上げて、その金がほらだぶつく訳なんだ。ドルの価値、貨幣の価値が、世界の標準貨幣であるドルがどんどん価値が下がっていくわけだから、その石油でたくさん金が入ってきている国では、お札を持っていればどんどんお札の値段が下がっていくから金(きん)を買うわけだ。
いいかね、金をどんどん、そのね、今ね、売るのに行列、あのねイギリスやフランス、ドイツやイタリアあたりではね、日本とちょっと状態が違うんだよ。個人の状態は、日本は国家的には金持ちであるかも知らんけれどもね、彼らよりは。個人的には彼らはみんな内所がいいんですよ。ね、例えば戦争前にみんな金銀やダイヤモンドをいろいろ持ってた日本人の数よりも、今金銀やダイヤモンドをたくさん持っている数の方がはるかに多いし、量が多いわけなんだ。いいかね、まあ我々は、みんなはどれくらい持っているか知れないけれど、私はこんなもので、歯にある金ぐらいだ。ところがフランス人やドイツ人やイタリア人、イギリス人あたりはね、その、長い植民地を占領して、そこから搾り取ったものが、ほら、先祖伝来のものが残っているわけなんだ。
今日本人はいわゆるエコノミックアニマル、経済動物だ、日本人は人間じゃない、あれは経済的動物だという評判を受けるほどの、いいか、やり方をして、今外国から外国の民衆の財力を搾り取ったわけだ。搾り取った覚えはないとみんなは言うだろうけれども、実際やっているわけだ。ま、お前達みんなひとり残らずやっているわけなんだ。自分が直接やらなくても、そうした結果、戦争前よりも今の方が、みんなどうだ。タンスの肥やしにしても何よりも戦争前よりもみんないいんじゃねえのか、今の方が。アハハ、そのように彼らは植民地から皆搾り取った、先祖が搾り取ったそのものが、皆食器にしても、銀の食器であるとか、金の食器であるとかね、家財道具も。
3、あんた最近ドイツへ行くんだろ、今年行ってみなさい。よくわかるから。違うんだよ、みんな国民一人ひとりの富の程度が違う。内所の状態が。ところがだんだん貨幣価値が下がってくる。ね、一触即発を感じとっている。いいかアフガニスタンの問題とか、イランの問題とか、みんなそういうことに関わっているわけなんだ。いいかい、だからアメリカも今議会で昨日からも論戦になって、盛んに問題になっている。
うん、極東というその解釈、極東周囲というその解釈が、どこまでが一体極東周囲であるか、安保条約によって沖縄に駐留しているアメリカ軍が、日本とその極東を守るために来ているのだから、極東以外のところへアメリカの兵隊が日本から出撃するということは、これは安保条約の違反だということなんだ。いいか、そこでもこの解釈は極東というものは、今のあのイランあたりの海域は含まれてなかったわけなんだ。現在は今度この議会から違ってきた。極東という周域、極東の周囲というものはどういうものかというと、日本に影響がきそうな地域はみな極東の周囲だということに解釈される。わかるか、それがアメリカの水域であろうが、アフリカの水域であろうが、インド洋の水域であろうが、どこであろうが日本に影響を及ぼしそうなところはみな極東の周囲だという解釈に変わってきた。それほど世の中が激しくなってきた。今に大問題になる。それは野党と自民党と論争が、うん。ね、だからそれは結局人殺しをするわけ。いいか、人殺しをするわけ。
廣子は夏、ドイツへ行ったら、帰ってくるか来ないかわかんねえから、水さかずきして行けよ、こら、本当だぞ。アハハ冗談じゃないわ。そんなのんびりしたものじゃないんだ。お前の亭主は大学の教授だから、言っておく。先生こう言っていたと言ってみな。うん、そういう状態なんですよ。うん、だからアメリカでもどんどん軍備を拡張していく。ね、アメリカの国民を、アメリカ人というのはお人好しだね。日本人というのはこすからいよ。え、いい人のつもりでいるだろうけれども、思いあがりですよ、それは。日本人があれだけの自分たちの働いた月給から、働いた、汗、油絞った中からですよね、日本を守るためにそれだけの軍備を出した場合には、日本人が何と言うだろうか、え、どうだ。アメリカ人のようにだまってますか？ うん、ところがね、日本がね、いつまでもねアメリカのいわゆる原爆の傘の下や、沖縄あたり駐留してもらって、ね、あのソビエトを見てごらんなさい。あんたね、北海道の、あんたね、種子島じゃなく、なんとか言うんだっけ。歯舞、色丹は向こうの方だよ。もっともっとそこからそこの所だよ。いいか、伊豆の大島と熱海とのような距離だよ。それよりももっと近いでしょう。国後じゃない、択捉、国後じゃなくて、国後、択捉はもっと向こうの方だ。それは本来の日本の(領土)で返すことなっていたんだ。なっていたんだけれども、また途中で向こうの気が変わって、返さないことになっちゃって、そこへほら、つまりあのね、ロシアのね、ソビエトのですよ、軍備がその伊豆の大島へ、伊豆の大島知っているでしょう。皆あそこで飛行場や、あのほら原水爆の発射する機械ね、それ据えつけているようなもんだよ。そうだよ、アハハ。え、そんな状態ですよ。
4、あんたいいか、だから、このアメリカのある市民がアメリカの大新聞に投書して、これからのアメリカの青年は、いいですか、本当にそういうことは本当に、もっと幸せな子供をおくりたいんだけれども、遺憾ながらおくれない？。ことごとくがと言うんだよ。ことごとくが非業の最期を遂げるだろうと言っているんだ。いいかね、それよりも何よりも、日本人の若い人たちはもっと、それよりもひどい状況でいるんですよ、実は。いいか、日本は軍備を持たない。ね、だからあの、等距離外交をやるというのだから、よその国の神経をとがらせまいとして、みんなこうやって、こうやって抑えてきているわけなんだ。こう抑えてきているから、国民が何も知らないんですよ。抑えるために抑えるんじゃないんですよ。野党はそういうことを言っているけれども、軍備がないんだから、よその国を刺激したくないということで抑えている。こういうことだと私は考える。
だから分からないんだみんな、その実情はまことにひどいものだ。例えばね、そういうことになってきた場合は、日本の百姓たちはもういっぺんにお手上げだ。いいかね、家畜の飼料だけでも二千万トン、アメリカから食糧買っているわけだ。二千万トンもというと、一万トンの船が二千隻、ここに一万トンの船を二千隻、この九十九里浜に並べてごらん。それが止まった場合は、牛も飼えなければ豚も飼えない。鶏も飼えない。牛乳も出せない。全滅ですよ。私は政治家でないから今の話は政治論だけれども、政治と宗教は無関係のものではない。なぜならどちらも人間の生きる道なのだ。わかるか、お前達みんなひざに子供抱いているんだ。おそらくそうなるのは早ければ十年、遅くても二十年は出ないだろう。今、日本にオリンピックがあって何年経つんだ。何でも十二～三年経つんじゃないか。すぐこの間のようじゃないか。え、もう二十年たってお前たちいくつになるんだ。見な、私はいま八十四歳だ。お前たちいくつになるんだ。おそらくはみんな生きているだろう。ね、生きていてもうちのばあちゃんのようなよぼよぼにはならないだろう。
5、目前に迫っているんだ。なぜ摂折、摂折というか、なぜ青年部、青年部というか、私はね、もうみんな、私はこの通りガラス張りで、あの財政も何もすべてやっていますから、みんな分かっているんだけれども、松島園の問題について、明日は、今日冨塚君に来てもらって、相談をして、冨塚君からさっき電話連絡があって、千葉県の弁護士連合会の会長の、千葉日報の顧問弁護士と明日会うんです。それは、それは松島園、あのばあちゃんの遺産の問題についてのことなんだ。そのついでにね、私は私の子供には、私の着てた物は形見としてはやるけれども、いいですか、金目のものは絶対に私の子供にはやらない。いいか、うん絶対にやらない。それはそのことについても相談をして、前もってその法律的な手を打っておこうというのだ。松島園の問題にこりて、じゃあどうするか。それはここに何人かの青年部の教団の幹部の若い連中がいる。私からみると全くなってない。なってなかろうが、なってあろうが、いいですか、その者たちに全部預ける。煮ようが焼こうが、私の死んだあとのことまでも、私の役目ではない。そのわけは私が死んだ後は、縁あるお前達の役目だから。その役目の者がどうしよう、こうしようと、私は干渉するそういう、その立場ではない。煮ようが焼こうが全部預ける。その手続きを法律上ですよ、松島園のおばあちゃんの問題に懲りて、ちゃんとしておこう。
6、それなぜか、それはなぜか、今言ったような一触即発の状態がですよね、目に見えている。それが戦争だけではない。病気、災難、病、貧乏、争い、その他、目に見えている。それを除く道がないだろうか、ところが世の中には宗教がたくさんあるでしょう。いいか、ああ創価学会だけでも、八百万とか六百万とか言っているんだ。霊友会、佼成会、その他仏所護念会、ね、その他合わせればやっぱりあの創価学会よりもむしろ多いくらいだ。いいかね、在家信仰だ、それは。そら高野山だ、身延山だ、ね、東西本願寺だ、えいやキリスト教だ、やあ日本神道だ、それはもう無数に宗教がある。それでいてどうしてこういうことになるんだろう。それは何の役もしないじゃないか。どうですか、それを宗教家がそれを感じ取らないんだろうか、今度、池田大作が、あの創価学会では会長を辞めさせられた。辞任したんじゃないですよ、やめさせられた。私は池田大作の書いた本をたくさん持ってますよ。いいかね、それ読んだから言うんじゃないけれども、私のような宗教家、私のような貧弱な宗教家、私のような貧弱な人間でさえもですよね、いいかね従来の宗教がちっとも役立っていないということがはっきり目に見えてわかるんだ。その池田大作ほどの人物が、そこに気がつかないはずはないはずだと思うんだ。あんた方議会の論争聞いてごらん、そこから出た代議士たちは堂々たるものだ。その連中らがそこに気が付かないはずはない。いいか、池田大作さえ気になって、それが気が付いてきたんだ。自分が夢中になっているうちは、日蓮、日蓮でやってきたんだけれども、いいか、大石寺、大石寺でやってきたんだけれども、自分がその地位になって、立場になって静かなる自分というもの、
『若しは塚間、若しは樹下・阿練若所に於て……』(佛説観普賢菩薩行法経)
とあるでしょう。静かなる境地に自分が立ってみるとそれがよくわかってきた。だから自分流儀の宗教を始めようという気持ちになってきた。分かりますか、ということは、大石寺流の宗教ではもう、もうダメだということが、彼が世界各国歩いてわかってきた。ところが、彼の地盤は創価学会だ。創価学会は日蓮によって、日蓮は大石寺によってできてきたものなのだ。わかりますか、うん。大石寺の、最近死んだんだけれども、藤井日達を無視するわけにいかない。藤井日達は頑として日蓮、日蓮だ。わかるかね、うん、だから彼は辞めざるをえなくなった。辞めざるをえなくなったということは、そのままでやれば自分の良心の呵責にたえないわけなんだ。
あんた方、私の言っているこの気持ちが分からないだろ。どれほど、これ重大な責任のあるものかということ、いいかそれをいい加減のおざなりに調子を合わせるということをやっている。そういうお前たちだから摂折ができない。お茶を濁せるものじゃない。真剣白刃の問題なんだ。それなのにほら、いいかげんに調子を合わせていかなくちゃならん。池田大作自身の自分の口から良心の呵責にたえない。だから辞めさせられる、やめる。いや南無妙法蓮華経じゃだめだ、日蓮大聖人じゃだめだ、ともう彼は言えなくなっちゃった。そうだと分かっても、早い話分かるか、言えば大石寺に背く、大石寺という、日蓮大聖人というものによって出来てきた信者、できてきた地位、自分の、自分の名誉、そういうことなんですよ。
いいかね、ただね、内部の内紛くらいでね、それだけの重大な問題が起きるものじゃないんです。まあそういうことでね、たくさん宗教がある。たくさん何がある。それで、人間のわれわれ人間が、今この地球上に生息していくについて、一触即発の状態を知らないけれども、みんな抱え込んで毎日、日を夢中で送っているわけなんだ。え、それらを解決してくれるものはない。そういうことなんだよ。ところがこういうことを君たちに言ったってね、それこそね、カブトムシ集めて親孝行の話しているようなものだ。えっ、びっきの面に、びっきというのはカエルだ。カエルの面に小便ひっかけるようなものだ。まぁ悪いけれども、それよりも今自分の尻があったまりたい、え、いいですか、ああ自分だけが幸せになりたい。そこでもういっぱいだ。そしてそれを追いかけて、それを追いかけて、やがて一触即発の時がきて、みんな焼け死んだり、かっか？になって死んだり、皆なるんだ。経文にはそうある。え、ちょうど牛がね水や草だけをほら、求めているようなものだ。
7、譬諭品第三読んでみなさい。火宅の譬え、ね、大富者があってそして、大きな屋敷があるんだ。大きな大きな大きな屋敷があるんだ。その屋敷はもう何年も経って、何年も経って、これは経文の説明だぞ。古びちゃっているんだ。今にもね、あの朽ち落ちんばかりなっているんだ。ところが子供たちはそれ知らないから、その中でみんな夢中になって遊んでいるわけなんだ。そこへかたっぽからドンドン火がついて、ドンドン燃え盛ってくるんだ。けれども、子供たちはちっとも気がつかないで夢中になって遊んでいるんだよ。その子供たちを、その焼け落ちんとする、夢中で遊んでいる子供たちを、誘いおびき出すためにあの手この手の方便を使って、色んな、ほら鹿車、牛車といってね、そのおもちゃを預けるわけなんだ。おもちゃを、うん。鹿で作った馬車とかね、いや鹿の馬車とかね、あるいは牛の馬車とか、いろんな段々段々、高級なおもちゃを預けて、だんだんだんだんここまで来い、ここまで来いでおびき出す。で、その経文、譬諭品第三、あんた達あの、仏の信者だといいながらも、あの法華経を読んでいるか、何を一日しているか。
8、あのね、ここにね、（これちょっと、修一はずしてこい、見えないから）、あのね、あの青年たちも、青年たちも老年たちもこれをよく読んでくれ。これは日蓮聖人が立正安国論に書いた文句なんだ。いいか、立正安国論とは説明しなくともわかるだろう。どういうことを書いてあるか。立正、正しきものを立てれば、国が安んずるというのは、民衆が安んずるということだな、これに書いてあるものなんだ。これは三十九歳の時に書いたものなんだ。身延で六十一歳で亡くなる時も、また立正安国論を再び講義して亡くなられた。これはね、天が曇っていると地が真っ暗になるじゃないか、だから、
「法華を識る者は世法を得べきか」、法華をよく学んで、法華をよく識る者は、識るというのはあのね、この識るという字は、ああそうかということなんだ。あ、わかったということなんだ。このことよくわかったという。我々の時代はわかったという言葉はなかった。畏まりました。かしこまりました。が、今の教育というものは皆うわべだけだ。
「識」という字は、認識とか言って、これは心から知ることなんだ。分かるかね。ああそうかといって、分かったということではなく、心からそれよくということ、認識したということなんだ。だから、法華を認識した者は世法を得べきか。世法を得べきかということはどういうことか。いいかい、世法を得べきかということは、法華経というのは末法に弘まり、末法に教わる教えなんだ。分かるかね、だから創価学会はあの日蓮仏教だ。釈迦仏教じゃない。他の宗教は全部邪教だという。ね、だから私は言うんだ、揶揄(やゆ)して言うんですよ。皮肉っていうわけなんだ。ね、日蓮が生まれたのは今から七百年前だ。日本に仏教が渡ってきたのは、欽明天皇の御宇（？)にあるように、千四百年前に日本に仏教がわたってきたんだ。わかるか、日蓮が生まれた時はもう七百年間も日本に仏教が弘まっていた。
南無阿弥陀仏とか南無大日如来とか、弘まっていたわけなんだ。つまり、日蓮がいう邪教が弘まっていたわけなんだ。わかるか、自分が早く出りゃあ、そんな邪教弘まらないはずじゃないかというんだ。七百年間の間日蓮はどこで油を売ってけつかったかというんだ。こういう言葉を使う。え、七百年も過ぎて、のこのこ生まれてきてやがってね、気の利いたこと言うな。そういう言葉になるんです。どうだそう思わないか。
ああ、そうじゃないんだ。ね、時によって違う。
『爾時世尊……』(佛説観普賢菩薩行法経)という。
爾時世尊…、その時に、時に空中の声、だから、日蓮御聖人も、「仏法を守ぶ者は、必ずまず先に時を学べ」という。今どんな時であるか、侍が通れば土下座する時代か、いいか、百姓があの夏の炎天にね、背中が焼けるほどの暑いところでですよね。一生懸命耕して作ったコメを、作った百姓食べられないで、刀さした奴に皆脅かされて皆とられても、今黙っているときか、だから私は戸村に、向こうにいる時によく聞いたんだ。
「お前、日蓮聖人信じているか」
「信じている」
「ばかこきやがれ、うそつきやがれ」と言っている。いいかね、今どんな時であるか、いいかね、だから親鸞、あの日蓮以前のものは、日蓮が出てくるまでの、その準備教育者なんだ。だから、日蓮の教えが大学ならばね、小学校、中学校、高等学校の教育者なんだ。その教えが終わったから、今度、法華経の教育できるわけなんだ。わかるかね、その大学いくべき年齢と大学行くべき修行の過程を終えた者が、まだ小学校だ中学校だと言っているから、それは邪教だということになるわけなんだ。わかりますか。
9、お天道様はひとつしかないのに宗教がいろいろあるはずがない。だから、我々のお師匠様書いたもの見てごらん。「佛法は一乗にして二乗なく、各種宗派のあるべき理なし」とおっしゃっている。この方が霊友会、佼成会、その他の御始祖様なんだ。この方の直系の教えを引き継いでいる者が、この菅原国明なのだ。わかりますかね。だから「天が晴れれば、地が明らかになる」「法華経を識る者は世法を得べきか」ということは、今の時代、わかりますか、もう一つね勘違いしないで、言うけれども、妙法蓮華経というのは学問なんです。どこまでも菩薩をつくる学問なんです。例えば大学がね、学士課程とか博士課程を作る学問であると同じように。いいかね。だから大変難しいんです、これは。
だから南無妙法蓮華経ということは、地涌の菩薩にあらずんば、唱えがたき題目なり。地涌の菩薩ということは直系のね、仏様と直接血のつながったその弟子じゃなければだめだ、とこういうことなんだ。いいか、だからこれ一般の大衆のものじゃないのだ。
10、親鸞や法然時代は、千中無一と言っているんだから。千人の中に救われる者は一人もない。千中無一と言ってんだ。いいかね、その日蓮も比叡山から出て、比叡山の出身だしね、法然も親鸞も皆比叡山の出身ですよ。同じとこで同じ学問をした人間どもなんだ、仲間なんだ、いわば。わかるか、やたらに拝み倒しちゃだめですよ。軽んじてもダメですよ。
天皇が人間宣言をしたでしょう。人間宣言をしたんだから、国民の一億一千万人の象徴であることにおいて軽んじてはダメですよ。けれども相変わらず、天皇は神様だ。天皇のために命を捨てるんだと、そういう精神ダメですよ。分かりますか、うん、いいですか。その学問じゃあどうしようもないんだよ。ね、あんたたち、聞くが、法華とはなんだ。法華とはなんだ。「法華経を識る者は世法を得べきか」というのは、世法というのは、この激しい世の中、このあんたたちの経文に書いてある通り、「未来世に普賢の行を行ずる」、普賢の行を行ずる未来世、未来世というのは、日蓮の時代じゃないということなんだ。まさしく三千年後の今日のことなんだ。だからそれは仏様が八十歳で亡くなる、ほら二月十五日、八十歳の一月元旦から二月十五日までの、最終の、一般大衆が救われる教えをまとめてあるわけなんだ。わかるか、菩薩とか、学問があるとか、地位があるとか、悟った者とかいうことじゃなくて、わかるかね、だから、この中には、「若しは普賢を見、及び見ざる者の罪数を除却せんこと、今汝等が為に當(まさ)に自分がやってきたことを教える」とこうあるわけよ。
若しは普賢を見、及び見ざる者の、つまり、その普賢という大道理を悟った者、見ざる者、まだ悟ってない者も、等しく皆救われる道をというんだ。
この道を行う者は、それは一般大衆のことなんだ。だから日蓮は「未来は不軽菩薩と生まれてくる」というわけなんだ。教菩薩、菩薩を作る学問だけでは、ほら菩薩たちだけは、どうにか救われるか知らんけれども、一般の大衆は救われないから、一般大衆を救う役目として今度出てくるとおっしゃるわけなんだ、今度。これは私の意見じゃないです。経文の示す所、世の中の移り変わりを示す所です。ごく簡単で救われる。それはこの先祖
養道、父母孝養・師長恭敬なんだ。11、え、法華、法華という字は、この華はお花さんという花は書いてないだろ。いいかね、この中華民国のこの華というのは、ものの美しさを書いているんだ。すべての物事の美しさを言っているんだ。この「華」は咲いた花の美しさを言っているんだぞ。え、だから、華燭の典をあげるというでしょ。華燭、昔はみんなね、書院にね、ずっとこの燭台を並べて、あの披露宴をしたものなんだ。披露宴というのは、その華やいだ人生の美しさでしょう。それを「華」というんだ。法華を識る者というのは、人生の最も美しいね、生きて生き方、美しい生活の仕方、それが知ることができる。ということはこの末法の時において、ということは一触即発の時において、いいか人間は悪魔だ。いつどこで間違いが起きて、いつどこで感情的になって、いつどこでバーンと出てくるか分からない。一発でてくれば連鎖反応が出てくる。いいか、国がほら兵器を作ってね、その国を安んじ、その国の人たちやその国の青年たちを安住させるために兵器を作ったが、事は志と違って、その青年たちを殺すものになってきちゃった。だから本当に言いづらいことであるけれども、アメリカの青年たちはまもなくみんな非業の最後遂げるだろうと、アメリカ人がアメリカの青年に警告すべきことを、アメリカの新聞に投書したことを、日本の新聞に転載してあったんだ。今たくさん切り抜いて持っている。今度の会報なんかにみんな発表していきますよ。
12、あんた方ね、この教えを本当に守っていくものはね、このね、だから、無冠の大夫という。無冠の大夫、無冠の大夫というものはね、平敦盛が熊谷次郎直実に、ほら砂浜で討たれるでしょ。十五～六の子供がね、それ無冠の大夫、なんにも位を持ってないんだけれども、平氏の御曹司だ。まあ今でいえば、強いて言えば、無任所大臣というようなものだ。文部大臣とか、大蔵大臣とかいうもの持ってなくてもね、大臣なの。あんた方ね、それほどの学問もなく何もなく、地位もなく金もなく、何もないといってもですよ、実はその人は皆、無冠の大夫なんだ。だからお経にある。「真にこれ佛子なり」、この道を守る者は、諸佛・諸大菩薩、普賢菩薩、文殊師利菩薩、薬王菩薩、薬上菩薩、ありとあらゆる守護の菩薩が、その者を昼夜に守護し、昼夜に供養するとあるでしょう。（仏説観普賢菩薩行法経）
無冠の大夫だから、それを私はみんなでやっていこう、みんなでやりなさい、とこう言う。そのために金も要れば、努力もいれば、何もいるんだ。
私は金の亡者じゃないです。ああ、だから今度青年部のことでも、第一回が三千万円は拠出します、と。ええ、宗教は金がたくさんあっちゃだめだ。必ずだら幹になる。みんな金を狙ってくる。教団が大きくなって金がたくさんできてくると、どれもこれも金を狙ってくる。オレはこんなに苦しんで、一生懸命やって、そして教団をあれだけしたのに、オレが苦しい時は知らん顔しといて、みんな金を狙ってくる。その時はもうねえ、餓鬼の集団です。餓鬼の集団！
うん、だから、あとでみんな幹部連と話すつもりだけれどもね、いいか、その松島園のあのいわゆる、遺留分請求している、いわゆる法定相続人という者が、もしそのとおり請求して、「払え！」という、あの裁判所の判定があれば、いいかね、まあ千七百五十万位は払う肚(腹)がちゃんとできてなくちゃいけない。それが払ったからとて、へっちゃらだ。
私は長男の戦死したものがね、今、月ちょっと八万、年間百万位ある。それあればオレは日干しにならない。日干しにならなければ、オレはこれを叫んでいける。金があると、金のためにこんなくだらない用件ばかりだ。私だって人間だから、欲がないわけじゃないですよ。それなくちゃ困るんだもの。今もあの、その方の係りの者が、小金井からあの、明日来ると言って電話きたんだ。その用であの啓信君は、朝会社に出ないで、ここで長く話して、会社へ電話かけておわびをして、で、早速弁護士と打ち合わせをして、またこっちへ連絡する。そんなくだらない用件ばっかり。夕べも夜中にちょっと眠って、いろんな夢で怒られて、起きて老師にお経をあげて、おわびをして、朝方までほとんど寝ない。もう八十四ですよ。とても持ちそうもない。くだらない用件だ。だからとて、なくちゃならない。
うん、わかりますかね、さて話は戻って、法華とはなんぞ。法華を識る者は、この険しき世の中でですよね、立正安国論ですよ。あんたいいかね、三十九歳で説いて、書いて、そして死ぬ時も、このね六十二歳でまた再び、この講演を大森？で、池田家で、池上家でやって、それで亡くなったんだ。いかに大事なことか、政治でさえもそのように厳しいんだ。
法華とは何か、これがわかれば必ず世法を得るわけだ。世法を得るということは、こういう険しい世の中で安心立命して、安心立命した人生が送れるだろう。精神的にも財政的にも家庭的にも、どこにどんな火がつこうが、どんな爆弾が落ちようが、いいか、爆弾が落ちた時に焼け死ぬとか、火がついたとか、焼け死ぬとか、安心立命じゃないだろう。屁理屈をいうんじゃないんだよ。
13、今日もあの、戸村にちょっと言ったけれども、ここにね、とてもあのね、素晴らしいハガキを一枚、私持っている。これはね、滋賀県の藤原、知っているでしょう。皆さんあの歯医者の、知っているだろう。藤原のせがれから来た手紙だ、これ。ハガキだ。藤原は子供がなくてね、養子なんです、あれは。妹か姉の子供なんだ。亭主の方だよ。でこれ、結婚問題で失敗したんだ。でもまあ一生懸命努力して、とうとうあの歯医者の大学出して、歯医者になっているわけなんだ。歯科医になっているわけだ。大変、元かけたわ、親は。
結婚問題に失敗して、親を蹴飛ばして、九州へあの、勝手に家出しちゃった。いいかね、Ｋというもの知っているものいないか。隆夫あたり知っていないか。
「会ったことないです」
会ったことない？ ああ、伊藤はたくさん会っているわけだな、うん、いいかね、で、向こうで自分の実家の方へ逃げちゃった。九州の方、実家だから。そこでこっちの養父には何の断りもなく、勝手に結婚して、子供が二人か三人できているわけだ。で、肝臓を患っちゃった。肝臓をね、でまあ親父も心配だし、私も心配だから、一生懸命になって、おばあちゃんや戸村にあの、肝臓の因縁ご供養していただいて、そこで、供養していますよ。あらまし治った、肝臓が。それでもなかなか帰って来ない。ね、父親は今年は七十五歳です、藤原は。母親はもう七十だ。ヨボだ。もう一度言うが、子供のないものほど気の毒なものはないんだよ。うん、そらみじめなもんですよ。だから私が手紙を出して、親不孝の罪ほど恐ろしいものはない。お前は親不孝しているからだ。親の恩義を忘れ、親の定規を忘れ、畜生じゃないか。畜生が幸せになるはずはない。いいかね、速やかに、親はもう両親ともに年老いているのだから、速やかに帰れ。そしてその教えをちゃんと守れ、で、それでびっくりして帰ってきたんだ。自分で家建てたりした家までも全部もうその処分もそこそこにして、皆子供たち連れて帰ってきたんだよう。そのハガキだよ、これ。
お守り送ってやったんだ。そしたら修一が九州にいるつもりで、九州に送ったら、ね、こっち帰ってきたというので心配していたら、九州から送り返して、そのお守りが届いたということで、こう言うんだ。
「おハガキありがとうございます。本日確かに御守護符を受け取りました。これから毎日肌身につけて、離さずいるつもりでございます。本当にありがたいと思っています。本年十二月より診療に従事し、父と二人でやっております。これからもご指導の程をお願いいたします」
診療所に父と二人で一緒にやっているって、え、で私はさっそく返事を書いてやった。
「お前の手紙を見てね、その、父と二人で診療所に立っているというその情景が、情景がいいかね、一幅の名画を見るような思いをする。一幅の名画を見るような思いがする。ああ、なんて尊いことだ。なんて美しいことか。この姿が本当の名画なんだ」
わかりますか、法華ということが。え、いいか、だから、父母孝養・師長恭敬、第二の懴悔の法と名づく。
14、え、いいか、だめですよ、人間が人間を拝むんじゃなければ。人間が天皇拝んだり、神さま拝んだり、日蓮様拝んだりするようじゃだめですよ。それ認めないという話とは違いますよ。拝む主体が違うんだ。心の向ける主体が違うんだ。人間が人間同士で尊敬しあい、思い合いすれば、原水爆起きるはずがない。
法華を識る者は世法を得べきか、いいか例えば、誰がやらなくても、やっている者の所には降ってこないんだ。ね、なぜ降ってこないというか。いいかね、よーくお前さんたち、魂洗って、耳をほじくって聞くんだぞ。これ、五年や十年、二十年三十年四十年かかって得たものじゃないんだから、これは。なぜそうなるかということ、うん、だから私はね、大慈大悲真実義浄妙德発起菩提心という因縁おくる法名を書いてもらうには、少なくても三万円は包んでこい、とこう言うんだ。金ではない。金ではないんだけれども、ただでしてやると、当たり前だと思っちゃう。感謝がない。ありがたみがない。みんなお前たちの子供たちみんな、それで治ってきているじゃないか。いいかね、なぜ原水爆が降っても、なにしても、その者のところにはふって来ないか。いいか、まあ、あの見てごらんなさい。広島のあの原水爆の中心地でさえも、今その中で、中心地で生きている人の、なんだその、なんだ、会ができているという。長崎でも。
佛は滅したまわずと知るべし。あのね、「懴悔に勝るに功徳なし」という言葉がある。そういう目に遭うということは、自分にそういう罪があるから、そういう目に遭うんだ。いいか、日蓮聖人もそういう罪があるから、頸(首)の座にすえられるんだ。だから日蓮聖人は、この自分の臭いこうべを切ることによって、この次生まれる日蓮には、再びこういう貧しい人間には生まれないじゃないか、喜べぞかし。首切られることを喜べというんだ。ただ、だめですよ。拝み倒して、ただありがたいありがたいじゃ、その教えをよく身に守っていかなくては。
15、いいかね、あのね、この間もちょっと話したんだけれども、またこの間こない人もあるから、話今日するが、たとえばこの間ね、先週か先々週だったかに、「ソヒビファ？」という、何とかいうのがあるでしょう。そこにね、その番組に出た、出席した人、それはあのアフリカとかあっちの方へね、皆こう山野を歩いて、動物、動物たちの習性を研究している人なんだ。その人の言うのは、おもしれんだ、これが。面白いんじゃない。私はこれ大変勉強になった。とても勉強になった。それは例えば、ハチがワッーと来る時に、こう歩いた時に、ハッとこのままにしとけと言うんだ。すると、刺さないと言うんだ。いいか、ね、こういった時には、このままになれと言うんだ。こうしたらもう刺されると言うんだ、敵と見るから。向こうは木かなんかに思って、眼球のまぶたがなんとか人間と違うんだそうだよ。こうしたらもう刺さない。顔はって歩いたりね、なんかするんだそうだよ。それでブーンと飛んでいっちゃうんだそうだ。
それでマムシの話、蝮、マムシはね、六尺(約1.8m)までは飛びつくんだそうだな。六尺までは。日本のマムシの話だな。ま、六尺まで飛びつくんだそうだ。そのマムシが、六尺近くに人が来ると、
「おい、オレがここにいるんだぞ」
とシッポを振って音を出すんだそうだよ、知らないか、お前達。ガーガーという音を出すんだそうだよ。え、ガーガーという音を出すんだそうだよ。ああ、その音を聞いたらね、すぐそこにマムシがいるんだから、その時に人間のこっちが、
「オレは絶対おまえに危害を加えないよ」
と言えというんだよ。どうだ信じられるか。専門家が言うんだぞ。世界中歩いた専門家が「オレはお前に絶対危害を加えないよ」と言えというんだ。言葉で言えなかったなら、心でそう思えと言うんだ。
「オレはお前に絶対危害を加えないよ」と。
そして行くというと、草むらに入り込んでいるかわからんでしょう。で、マムシ飛びつかないで、自分は自分でスッと行っちゃうんだという。マムシに通じるだろうか、それが。通じたからそうなるんだろ。どうだい、通じたからそう言うんだろ。
16、いいか、南無先祖
養道というこの懴悔の声が、え、自分の過去の業障という悪魔に通じるだろうか、通じないだろうか。わかるか、さ、話は一番最初の話に戻る。いいかここで、十四年間か十五年間だな。毎月法座十二回はやるわ。十二回はやるわ、そうだね。十四年間やれば百七十回くらいはやっているわけなんだね。その他にほら、大会がなんだかんだ、なんだかんだで二百回くらいはやってますよね。さあ、諸君、二百回のうちに今にも雨が降る、明日は雨だとかなんとか言っていたにもかかわらず、その通りここに雨が降った日があるか。二百回のうち何日あった？いや君たちがお参りに来た経験の中で、雨が降ってどうもいやな気持ちだったという日が何日あった？
「ご法座は雨が降るというのはほとんどないじゃないでしょうか」
「運がよくてな」「運が良くてね」
運が良いとしたんじゃあ、あまりにも運がよすぎるわ、これは。二百分の一回だから。アハハ、わかりますか。だから、天候は神様の顔色なんだという。いいか、「お前に絶対危害を加えないよ」と言えば、蛇は。南無先祖
養道といえば降る雨もふらない。わかりますか。南無先祖養道と唱えれば。だから田んぼへ行って、お経をあげなさい！ 虫がついて、何が付いてえ、お前たちのあのなんだ、津久井のおばさまのうちどうだ、こうぞうのところね、(雨が降った話と畑の出来が良くなった話)
17、雨が降らなくて、干ばつで困っている時、その家の畑だけ雨が降るんだ。それからあの、初心者には念願を持たせるんだ。信者の家でね、その家の亭主は知らんふりしていて、挨拶もしないんだよ。それで、四日目に帰る時に来て、
「先生、お願いがあるんですが」と言うんだよ。
「なんだよ、言ってごらん」
「ウチの畑の出来が悪くて」
「ああ、そんなの簡単だ。ただお前さんが信じるかどうかだ。必ず守れば教えてやる。なにも金や物がいるわけじゃないから心配するな」
そう言ったらホッとしたようだったな。
「それはね、畑へ朝暗いうちに行って、一週間とお経をあげれば、もうそれで良くなってちゃう。ただし他の者に絶対教えるな。教えたらもうだめになるから」と言ったんだ。
まわりの農民がうらやましがってね、夜、お茶飲みに来るふりして、畑がどうして良くなったか聞きに来るから、絶対話しちゃいかん。それからうん、四年経って法座の帰り、三、四年経って帰る時に、信者連がバスの停留所までね、うしろでね、オレを引っ張るから、誰だと見たら、まあ男の信者が、何か見たことがあるような気がして、まあ大勢だったから、一度覚えちゃいないね。
「先生、あれどうしましょう」
「何のことだい？」
「いや、あれですよ。あれですよ」
「あれって何だい？」
「畑の話です」
「ああ、それで思い出した。ああ、よしよし。もう教えてもいいよ。もう教えてもいいぞ」
なんで教えるなと言うかというと、なぜ暗いうちに行ってあげると言うか、え、明るいところであげたっていいんだよ。どうだ、えり子はあのね、惠利子どこ行った？ 惠利子は朝ね、今朝も一番大きな声で、ご宝號を唱えるんだ。
「真浄大法、先祖
養、歓喜奉行、我身如来」と大きな声で。だから、オレ、ほうびをやるんだ。それができるか、お前たち。誰の前でも、え、なぜ正々堂々とやらないか。生意気だから、思い上がりだから。佛の教え、佛の道をなぜ正々堂々とやれないか。え、誰か通りはしないか、気まり悪いとか言っちゃって。で、ちっとも心が入らないでしょう。え、だから暗いうちに行ってあげろと言うんだ。暗いうちに行ってあげると、誰も通らないから、思い切り大きな声で、心をこめて、汗かいてやれるわけだ。それが出来るんなら昼日中でもいいんですよ。え、で、人になぜ三年は教えちゃだめかというと、いいかい、教えれば必ずけなすに決まっているわ。そうだろ。運が良くてね、一年、二年良く出来たってね。なんだい、この拝み屋の言うこと聞いて、迷信たらしない？。こうなるに決まっている。
そう言われると、本人もホントそうかなあと思っちゃう、アハハ。その心理状態をいいか、お前たちねえ、あんまりねえ苦労も何もしないで、のこのこモヤシみたいに育っちゃったから、いいか、病気もしない、貧乏もしない。親に甘やかされて、え、育っちゃったから、そういう、人間が生きる知恵を持たないんだよ。いいか、そして育ったつもりで、おぶ？ したつもりで、ヒゲはやしてけつかる。オレはそうやってきたんだ。
18、え、ある事情で、私、若い時、ヒゲをはやしていた。
「貴様、増上慢だ」と、先輩に。
「オレはこれこういう事情で記念にはやしているんだ。増上慢じゃない。思い上がってはやしているわけじゃない」
聞かないんだ、先輩は。
「貴様、増上慢だから」
伊豆の伊東の法座へ行って、海岸へ引っ張り出されて散々な目にあった。それからねえ、あんまり真剣にそういうものだから、ほんとかしらとそう思って、その晩のうちにヒゲそっちゃったよ。そしてよく考えてみた。やっぱりヒゲを残すのは、「オレは」というものが、どっかにオレにあったんだ。「オレは」というもの、どっかにオレにあったんだ。ヒゲ剃り落としたそれから、はやさなくなった。一時はやしたことがある。風邪引いて、白いヒゲを。今度も白いヒゲはやそうと思うんだけれどもね、もう八十四だから、ジジくせいからやめた。
19、これから青年と一緒に暮らさなくちゃならん。八十四じゃない、三十四だよ。いや、ほんとですよ。そういう力を佛はみな賜る、懴悔の者には。だから、摂折せよ、摂折せよと言う。
言葉が生きていることわかっているだろ。思いが生きていることもわかったろう、そのヘビの問題で。
身・口・意、三業と言うんだ。身・口・意、三業。
この話、あのなんだ、ちゃんとあのテープに録っているだろ。これ、あの原稿にそのまま書き写しなさい。これ三業だ。ここに悪業か善業か、善の言葉か悪の言葉か愛する言葉か。いいですか、憎む言葉か、松島園のおばあちゃん、取られた相手を絶対憎むな！ 憎んだらこの裁判は負けだぞ。
自分の罪があるから、そういうことになってきたんじゃないか。先祖
養道、父母孝養・師長恭敬というのは、懴悔なんだ。そして普賢の時代の懴悔なんだ。大衆が救われる時代なんだ。億々万劫から、もう無量の罪を背負って生まれてきているんだから、それを借金払って、来世も老後からも、老後にあるいは来世にね、本当に救いの人になるために。そういうことなんだ。だからどこの子も絶対にきくんだから、オレ、お前に金を、キリストの言葉にもあるよ。若い女の子を見て、あの女の子ね、ひとつ今晩だきしめてやろうなんて、犯さなくても既に姦淫せるなり。思っただけで既に姦淫せるなり。その言葉がよっぽどわからなかった。犯してないんだから、思うだけだからいいじゃないか。そうじゃないんだ。思っただけで、それでもう。
お前に絶対危害を加えないよと思え、と言うんだ。蛇に通じるんだ。動物だぞ。畜生だぞ。どうして御先祖に、神仏にそれが通じないか、そういうことだ。で、言葉にいろいろ段々がある。南無阿弥陀仏という言葉もある。南無妙法蓮華経という言葉もある。南無四遍照金剛という言葉もある。それぞれに位があり、それぞれに、ほら、力が違うんだ。だんだん高級になってくるんだ。わかるか、いつも言うとおり、お札に一万円札もあれば、百円札も五百円札もあるんだけれども、札は等しくみな札なんだけれども、だんだんに力が違うんだ。そして、違った力のものでなければ、末法にはその罪は消せないんだ。
今まで百円持ってね、女中置いて暮らせたけど、今百円で女中おいて暮らそうたって、できないと同じことなんだ。そういうことなんだ。
20、「佛法を学ぶ者は必ずまず時を学べ」
なぜ日蓮が今生まれないで、七百年前に生まれたかということを悟れ。オレが偉そうに言っているわけじゃないんだ。これはあの創価学会の連中ら聞いたらぶったまげるよ。え、あのね、あの連中ら、創価学会からいまお前達みんな摂折しないから、もと創価学会の本尊がね、あの大きなお盆にこんな山盛りなっていたんだ。粗末にすれば罰が当たる。取りに来るわけだ。そうか、これどれがお前のだ。真っ青になるよ、顔色が。真っ青にさせるためにわざわざ持っていっている。それほど迷信に仕込こまれちゃっている。罰が当たるなら、じいちゃん先に罰が当たっている。どうだい、日蓮聖人がとてもお喜びになっている。日蓮の名を借りて、え、いいか、そして人間が人間の自分の思想を売り込んでいるんだ。日蓮の名を借りて。
もう一度言う。そうじゃないんだ、そういうことだから、どうか皆さんね、あの、みんな、だからその中で、この三業の中で、身業第一なり。身で行う。身で行うということが摂折なんだ。それがなかなかできないから、できるように口で唱え、心で思うわけなんだよ。何とか時間をつくって、あの用も片付け、この用も片づけ、あって言いづらいことを言ってですよね。なかなかそれしづらいわけだから、身業が一番大事なわけだと、こういう一番しづらいのだから。
いいか、もうひとつ。あそこに書いてある、ここで読めるか。
「利行は一法なり」
利行というものは、御利益を得る道というものはね、ひとつだ、とこういうんだ。ひとつね。ひとつだということはどういうことかというと、ね、ほら、裏表あるけれども、ひとつだということだ。
「利行は一法なり、普く自他を利するなり」
いいか、あまねくだよ。すべての者に、自分だけでなく、他をも利し、他に利益を与えば、自分も利益を得る、とこう言うんだ。ところが愚人思わく、愚かな人間はなんと思うかというと、
「利他を先とせば」
摂折に行くと、電車賃使って、ひまだれして、自分の子供泣かしていくでしょう。亭主に小言くいながら、え、その方を先にすれば、
「自らの利省れぬべし」
自分の利益なくなっちゃうじゃないかというんだ。省れるというんだから、ほら文部省とか大蔵省とか、省くという。自分が損をしちゃう。愚人はこう思っちゃう、とこういうんだ。アハハ、だから自分のことは一生懸命やり、人のことはそこそこにしとけ、とまあこう言うんですよ。そうじゃないんだ。自分のことはそこそこにして、人のことを一生懸命やる。私などはそういう性質の人間なんだ。自分のことじゃねえ、どうもねえ、何だかきまり悪いやらねえ。人のことだというと、一生懸命になるんだ。それでどうやらオレ貧乏しねえもんな。健康も良くなるもんな。ええ、いいですか、だから自己といい、他己というんだ。自己、他己というでしょう。
他己というのは、他の己であって、全然他人じゃないんだ。他のおのれなんだ。いいか、他のおのれの最も近い者は父母なんだ。父母のためにしない者が自分のために、それはだめですよ。大罰が来る。うん、ね、利行は一法なり、普く自他を利するなり。愚人思わくは、愚かしい者はそれで利口なつもりでいるんだよ。
それでみんな。ところがこれ、道元禅師が禅宗のほら、永平寺だの、ね、鶴見の総持寺だの開いた方なんだ。この方のおっしゃるには、そうじゃないんだよ。それは愚かしい人間はそう思うんだ。利他を先にすれば、自分の利益がなくなるじゃないか、とこういうんだ。それは愚人なんだ。そういうこと。ではあとは諸君が決めなさい。自分が利口な人になるか、愚かしい人になるか。
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